一刀彫の煤竹一輪差し

煤竹一輪差し


「この山は不思議な所だねえ...」


虎竹の古里でもある焼坂の山道で仕事をしていて、歩き遍路の方と出会いますと、よくこんな事を言われるがです。四国八十八ケ所の霊場を行くお遍路さんも今ではバスやマイカーで国道や高速道路を行く旅が主流ではないろうかと思いますが、それに対して、ずっと歩いて巡る歩き遍路の方々もおられるのです。歩き遍路の方も、実は毎日のように見かけますので、もしかしたら皆様が想像されるよりも沢山の方が四国の道を歩かれているのかも知れませんぞね。そして、歩き遍路でも国道など整備された道を行かれる方の他に、先にお話しました焼坂の山道で出会うような昔ながらの険しい遍路道を歩かれる方も最近はおられるのです。


古くから交通の難所とも言われてきました焼坂の山。未舗装の細い山道を峠を目指して登ってこられる方は、山のふもとから、ずっとご自分の足で歩かれて来て、竹林の多い山が、峠の向こうになったらピタリと竹がなくなる。そんな光景をご覧になられて、不思議な山だと言われるがぞね。


四国八十八ケ所霊場を開創したのは、ご存じ弘法大師。空海と言うお名前も有名でご存じの方も多いかも知れませんけんど、この空海が歩く姿を手彫りした竹の一輪挿しが目にとまりましたちや。囲炉裏の煙に炙られて百年近い時間を経てきた煤竹に、まっこと巧みな技で歩く姿をイキイキと刻み込んじゃある。


竹は丸くなった上に表面が滑りやすいですし、煤竹は長い年月を経ちょりますので油分がなかったりして、こじゃんと加工のしづらい素材でもあります。こうやって何気に彫られた中にも、お遍路さんが時間をかけて歩いて遠い道のりを行かれるのと同じように、竹職人の長い長い修練の歴史が隠されちょります。そう考えたら、ここに刻まれちゅうのはもしかしたら職人さん自身の姿ですろうか?棚に戻した煤竹一輪挿しを、また手に取ってみるがぜよ。


黒酢の郷にて

黒酢の里


今日は虎竹の里の話しではないですぞね。黒酢の里やきに。まあ、黒酢の里と呼ばれてはないかと思うがですけんど、初めて訪れた自分からしたら、まっこと黒酢の里という感じの場所でしたちや。場所は鹿児島県霧島市福山町いうところですけんど、テレビや雑誌で見たことのある黒い壺がズラリと並んだ向こうに桜島が見える、まさに、あの例の光景がまさにここにあったがです。


何でも、この辺りは地理的な条件が整っちょって、寒暖の差が少なく江戸時代から続く伝統的な製法で数年間もの熟成期間をおいて黒酢を醸造しゆうとの事。こじゃんと感激して、日本初と書かれた黒酢レストランに食事する事にしましたぞね。


黒酢料理


おっと黒酢の里ではないちや、手元のパンフレットには「黒酢の郷、福山」と書かれちょりますが、この福山は江戸時代には武士の隠居先やったそうです。そして、清らかな水が湧き出ることから隠し田があり、そこから転じて、桷志田(かくいだ)と名付けられたそうながです。まっこと歴史とストーリーが素晴らしく期待が高まるがぜよ。


さて、300名が入れる大きなレストランで出していただくお料理は最初から最後まで兎に角「黒酢」。確か、ご飯を炊くのにも黒酢を使うちゅうと言われよりました。これは、さすがに、こだわっちゃあるぜよ。自分達が虎竹にこだわり、竹虎の歴史や、虎竹の古里焼坂の山々を愛するように、ここのこだわりも愛し方も半端ではないものを感じるがです。


しかも、黒酢を使うた料理を地元の素材とあわせて出してくれますきに、他の土地から来た自分にしたら嬉しいの美味しいの何の。本当に最高のランチを頂いて大満足やったですぞね。


黒酢デザート


さてさて、驚くのはこれだけではないですぞね。最後にクリームソースのかかったデザートが運ばれてきました。まさか、これには黒酢ではないろう...そう思うてウェイトレスさんに聞くと、


「いえいえ、この、デザートも黒酢入りです」


何とコーヒー以外の全ての料理という料理には、こちらのお店自慢の黒酢が使われちゅうという事やったです。外に広がる壺畑には真っ黒い壺が2万個も整列しちょります。黒酢の郷の迫力に圧倒されながら、こりゃあ、虎竹の里も頑張らんとイカンにゃあ。熱い思いやったら、ここにも負けちょりはせんぜよ。そんな事を一人考えよったがです。


古い竹ピクニックバスケットとの出会い

竹ピクニックバスケット


まっこと年代物の角籠と出会う機会がありましたぞね。今では竹ピクニックバスケットとして沢山の方にご愛用いただく籠ですが、この古い竹角籠が活躍しよった昭和の時代には豆腐籠として使われる事も多かった籠ながです。


この角籠だけに限らず、昔の職人さんにお話を聞くと当時に編まれていた竹籠や竹ざるは近くの魚屋さんであったり、八百屋さん、乾物屋さんなど、買い物用として毎日のように使われる生活用品の一つやったと言われます。スーパーマーケットの登場によって小さな商品は無くなり、竹籠を提げて買い物にいくお母さんやお使いに走る子供達の姿も過去の風物詩のようになりました。


この竹ピクニックバスケットにしても、他の多くの竹細工がそうであったように時代の流れの中にのまれ、ともすれば消えてしまいそうでもあったのですが、さすが、日本のお客様は皆様素晴らしいと思うがです。この角手提げの風合いを支持していただき、豆腐籠としては使う用途は無くなりましたものの行楽のお供や、お家の中の小物入れなどとして今の暮らしの中でも、イキイキとして活躍できる場所をご用意していただいちゅうがです。


まだまだ寒い日が続きますけんど、これから春にかけて桜も咲きますろう。山や海へのお出かけには最高の季節となってきましたら自然の風合い満点の、このピクニックバスケットなどにお弁当や、お好みの果物、お菓子など入れてお出かけください。暖かな明るい陽射しの中、楽しい一日がさらにさらに笑顔があふれる時間になるかと思うちゅうがです。古い年期の入った角籠も、自分たちの頃とは違う時代の移り変わりを思いながらもきっと目を細めて喜んでくれゆうそんな気がしてならないのです。


武市さんの無農薬文旦と黒竹

武市さんの文旦


まだまだ寒い冬というのに、この辺りは昔から日当たりが良く、南国土佐の陽射しでポカポカしちゅう。だから、それでなくても竹の積み込み作業は汗だくなのに、カーハートの上着もセーターも脱ぎ捨ててTシャツ一枚で黒竹を担ぐがです。


黒々とした稈が特徴の黒竹はその渋い色目から虎竹同様に人気の竹で、細いので用途は限られるものの色々な竹細工に利用されよります。日本唯一の虎竹と違うて黒竹は高知の他は和歌山なども産地として知られちょりますが、高知にしろ、和歌山にしろ成育している地域が似ている気がするがです。どうも海沿い、そして温暖な土地を好む竹ではないろうか?


そしたら、この辺りに黒竹が多いのも納得ぜよ。心地よい海風の吹きぬける南向きの斜面は絶好の場所かも知れんぞね。そんな黒竹が沢山繁る、この山の急勾配の文旦果樹園からガタガタと音をたてて、収穫を終えた武市のおんちゃんはモノレールで上がってきたがやきに。


「ありゃあ、オマンらあ汗びっしょりやいか」


そう言うて一人に一個づつ文旦を手渡ししてくれたがです。周りには自動販売機も何もなくて喉はカラカラやったきに、こじゃんと嬉しゅうて早速いただくと、これが甘酸っぱい香りが口いっぱいに広がってから力仕事で疲れきった身体が何から、またまた元気になってくるがぜよ。


「ワシくの文旦は無農薬ぜよ、美味いろう?」


見栄えはあんまり良いとは言えない文旦ですが、無農薬の安心感と武市のおんちゃんの人柄を感じる一房。皆で草の上に腰掛けてキラキラ輝く太平洋を眺めながら食べるがです。まっこと贅沢な休憩時間があるもんやにゃあ。


竹灯りのあしらい

竹照明


竹編みの素晴らしいところは色々ありますぞね。色々ありますけんど、今日、ちっくと(少し)お話させていただきたいがは竹と灯り。細い竹ひごで美しい編み目を見せてくれる竹細工たち。竹籠にしても竹ざるにしても手提げ籠バックなどにしても、まっこと、それだけで綺麗やにゃあ。すばらしい職人技やにゃあと感嘆してしいますぞね。竹の色合いの美しさ、竹編みの表情。まっこと魅力がつきることのないのが竹細工ながです。


けんど、この編み込みが灯りと出会うたら、どうですうろか?人の人生まで言うたら大袈裟かも知れませんけんど、一生は出会いで決まると思うちょります。竹もそう。竹×灯りで、今まで思いもしなかったような魅力と面白さが発揮されるがです。そして、その通りですぞね。この力は、もともと竹が持っちょったもの、灯りと出会うて、さらに竹は昇華するがぜよ。


竹丸窓


訪れた、この旅館さんは、まっこと(本当に)なかなかのモノちや。大迫力の竹のパーテーションも素晴らしいですが、ちょっとした、こんな丸窓をあしらう遊び心。竹の好きな自分などは一日ゆっくりいたくなるような場所やきに。目隠しにもなりつつ、竹の編み目を愛でて外から入る光と影を楽しめる。一粒で二度美味しい言うキャラメルどころではないきに。竹と灯りの組み合わせは、明かりの角度や見る方向によって何度も何度も美味しいがではないろうか?


日本唯一の虎竹林に入って腰をおろし、朝日を望む時、夕日を見る時。竹はエイにゃあと、つくづく思う時。こんな竹の顔があるんだ...新鮮な発見のある時。そこには光があるがです。


素材からこだわる手箒

手箒


たとえば囲炉裏を囲むことのできる贅沢な家があったとして、楽しい団らんあの後かたづけの際などにこんな手箒があったらサッと取り出しササッと使うて仕舞えるので、使い勝手も良く、こじゃんと便利やと思うたがです。しかし、小さく手軽である分、どうしても掃除機や大きな箒の補助的な位置づけて考えちょりました。考えちょりましたが、実はこれが結構間違うちゅうと知ったがです。


何と都会のみなさんにお話を聞かせていただきますと、もちろん長柄の箒も座敷箒も使う事があるらしいのですが、その一方で、ほとんどのお掃除をこの小さな一本で済まされる方もおられるようながです。


いやいや、それは一人暮らしのOLの方とかですろう?そう思って聞くと、どうやらそれも違う。3人、4人で暮らされる普通のご家庭のお母さんが掃除機ように音がうるさい事もなく、コードもつなぐ面倒もない。手軽なこの手箒でリビングも、キッチンも、ほとんど家中を済ませます、そう話してくれたがです。住宅事情が違いますので、まっこと(本当に)聞かないと自分たちではなかなか分からない事ながです。


けんど大きさの事だけではなくて、この手箒のこだわりは色々とあるがぞね。その一つが一番大切な穂先部分にありますちや。密度と柔らかさを両立させて掃きやすくするために箒草の先端部分をカットせず、自然のままの草を揃えて作られちゅうのです。


国産の箒草にこだわるのは当然ですが、模様のように見える美しく縛った紐にしても何気に見過ごしがちですが、薄い黄色い紐は、まっこと日本でも虎竹の里にしか成育しない誰も使うていないと思うのですが虎竹染め。虎竹の青々とした葉の色から淡い色合いに染まるがです。


そして、青い紐は藍染めですが、これもただの天然藍染めではなく、高知のお隣の徳島県で代々十九代も続く藍生産農家さんのスクモ指定で、天然灰汁発酵で染め上げる藍染め作家さんの手によるもの。これぞジャパンブルーと呼びたい紐ながぜよ。こんなにして、ひとつひとつの素材から時間をかけて、こだわり製造された手箒ですきに、一生涯お手元に置いてずっと、ずっとご愛用いただきたい逸品の一本となっちゅうがぞね。


竹花籠の花留め

竹花籠花留め


最近は華道を習われる方も少なくなったと言われよります。それは、少し寂しい事ではありますちや。何を隠そう自分もお花を習いよった時期があったがです。どうしてかと言うと、お店や催事等でデパートや展示会などに行った時には花籠に花を活けよりましたが、自己流でやっているうちに楽しゅうになって、もっと、もっと色々な技法を身に付けてみたいと思うたからながです。


花籠は花が入ってこそ初めてその魅力が引き立ちますろう。なので、花籠だけで一つの完成された作品のような扱いというのは個人的には、あんまり好きではないがです。活ける花により花籠は活かされ、また、花も花籠によって活かされると思うのです。


実は花展なども大好きで、時間を作って見にいく事があります。いつやったか京都で池坊の大迫力の花展を拝見しましたけんど、その規模の大きさ、その品の良さ、そしてヒシヒシと感じる伝統に圧倒されしばらく放心状態やったことを覚えちゅうがです。


一昔前やったら「花嫁修業」などと言う言葉もありましたけんど、今では死語になっちょりますろうか?花嫁修業が普通に言われよった時代には竹花籠も随分と作られよりました。朝早くから夜遅くまで職人さんフル稼働で作っても作っても足りないので、


「この花籠、誰か食べゆうのか?」


そんな事を言われた職人もいると笑い話があるほどぞね。竹花籠は当家には、今でも何個も何個もありますが、当時なら普通のご家庭でも、ひとつやふたつはあったと思うがです。そんな昔を懐かしく思うわけではないですけんど、竹の花籠などでなくても何かの空瓶でもエイきに、ほんの一輪の花がお部屋にあったらやっぱり生活にうるおいが出ますぞね。


竹職人さんが花入れ用に創作した面白い竹細工があるがです。花籠の中に水を入れる筒があり、これをオトシと呼びますが、太いオトシに花を投げ入れると自分の思うように花の形が決まらない事があります。けんど、オトシにこんな竹組を入れちょったら、茎の部分が固定されて、格好の整った花活けができそうながです。


もちろん、水に浸けて使用されますきに、機能的な事だけを言うのであれば金属製等でもっと耐久性が高かったり、汎用性も高く使い勝手のよい専用の花留めもありますけんど、竹職人さんならではの発想と手近な竹素材で作った一品。なかなかエイにゃあと思いよりますぞね。


オリジナル竹炭パウダー入りの飴

竹炭飴


先日、竹虎オリジナル竹炭キャンディーの事を少しお話しましたけんど、いよいよ、この竹炭飴プレゼントを始める事になりましたぞねっ!!!


なに?なに?竹炭飴とな......?まさか、竹炭が入っているワケではあるまいね?


いえ、竹炭が入っているがです。


無味無臭の竹炭は、現在いろいろな食品に使用されるようになっちょります。大手コンビニや量販店でも微粉末の竹炭を使用した竹炭パンや竹炭入りケーキなどが並んだ事がありましたけんど、竹虎でも竹炭入りのお菓子などいくつかご用意させて頂いちょります。


白をベースとした中に黒色の入るツートンの飴。竹炭を混ぜ込んだ黒で描かれた「虎」という文字、そして、その上には竹葉をあしらったデザインになっちょります。このロゴマークは二代目義治が大阪天王寺の工場から虎竹の唯一の仕入れ先でもある虎竹の里に本社を移した戦後から、ずっと当社で使われてきたマークながです。


日頃、竹職人さんの匠の技には触れる機会が多いですけんど、この飴づくりも、まさに職人技。白と黒の飴素材を上手くあわせて細く細く引き延ばし、丸い形に整えて、輪切りにして製造されちゅうがです。どこを切っても同じ竹虎マークが浮かび上がるとは...?金太郎飴と言うがですろうか。まっこと、どうして出来るのか不思議に思うほどです。飴職人さんの長年の経験と、技に脱帽するしかありません。


この熟練の技が生みだす竹炭飴を日頃のご愛顧の感謝の印として、まっこと気持ちばかりにしかならないかも知れませんが3150円(税込)以上のお買い物をしていただいた方全員にプレゼントしたいと思うちょります。3個セットでお届けしますけんど、先着1200名様限りの特別サービスです。竹炭キャンディーが無くなり次第終了しますぞね。バレンタインデーは過ぎましたが、竹虎からのホワイトデーとしてお届けしたいがです。


虎竹の里のすべり台

虎竹の里の山々


虎竹の里と言うたち、まっこと狭い小さな谷間ぞね。けんど、ここには日本唯一の竹林があって、ちっとやそっとでは伐り切れない程の竹か広がる山々があるがです。


「虎竹が無くなる心配はありませんか?」


そんな、ご質問をいただく事もありますが、竹は地下茎で毎年ドンドン生えてきてたったの3ヶ月で親竹と同じ高さに成長するという凄い植物ですので、そんなご心配は全く必要ありませんぞね。ご安心ください!!!


さて、そんな山の一つに登っていくと、初めての方やったら「ありゃあ?何ぜよ、これは...」と言われる様な、こんな不思議な場所に行き当たる事があるのです。ずっと上のほうまで続く急斜面には草木がなく、まるで、ちょっとした滑り台のようになっちょります。


そうそう、自分の小さい頃にはキンマと呼ばれる木製のソリや、そんな立派なものが無い時にでも段ボールをお尻に敷いてこんな下り坂を勢いよく滑って遊んだ覚えがあります。今やったら怖いと感じるかも知れんけんど、友達と一緒に笑いながら滑ったあのスピード感は気持ちよかったちや。


まあ、それはさておき、このスペースはもちろん子供達が遊ぶための場所では無いがです。そしたら何のためですろうか?確かに滑り台は間違いないのですが、滑り降りて来るのは子供達ではなくて虎竹達。竹林で伐り出した虎竹の枝をはらうと、竹は表面がツルツルしちょって滑りやすいこともあってこんな坂道やったらススッーーーーーと面白いように下まで運ぶ事ができるがです。


虎竹の色づきや年齢によって選別しながら伐採するのも経験を必要とされる目利きのいる大変な仕事ですけんど、伐ったばかりの生々しく重たい竹をトラックの入る山道まで運び下ろすのが又こじゃんと苦労の多い仕事ぜよ。虎竹の里の事ではありませんが、ご自分で気に入った竹を伐って竹細工をされる職人さんも竹を選び、伐採はしますけんど、竹出しの際には、力のある他の方に人手をお願いすると聞きます。竹の山だしは熟練の竹職人さんにとっても大変ながです。竹を滑りおろしたり、反対に竹を担ぎ上げたり。山の職人さんの大変な骨折りが一本、一本の虎竹には隠されちゅうという事を、皆さんにも是非知っていただきたいと思うちょります。


竹職人の独創的道具たち

竹職人の道具


竹細工の職人さんの所に遊びにいって面白いのは使いゆう道具ぞね。まっこと、道具を拝見させてもろうたら作られている竹籠や竹ざるは当然ですけんど、その職人さんの性格から腕前まで分かってくるがです。


みなさん道具には神経を使われて、こじゃんと大事にされよります。中には明治時代の包丁ぜよと言うて、師匠の師匠が使いよったという年期が入って短くなったものを嬉しそうな顔で見せてくれる方もおられて、こっちまで嬉しゅうになる事も多々ありますぜよ。


自分たちからしたら、それ自体が一つの作品のようにも見える竹職人の道具たち。それぞれの方が、それぞれの使い勝手や考えで工夫していく道具だけに、使い方は基本的に同じようでも見た目は千差万別。この時に気になった一本の道具も職人のお手製やったです。


こりゃあ、変わった金具ぜよ・金属部分は何かを加工でもしたがやろうか?そう思って聞いてきましたら何と、古くなったカーテンレールの部材の一部との事。ご自分でやり替える時に気がつかれたようですが、日頃から竹に親しむと同時に加工道具の事を考え続けられゆう職人さんならではの事ではないかと思うがです。


虎竹ねこ籠バック


「こうやって竹編みの目を詰めるのに使うよ...」


ちょうど編み上がりよった虎竹ねこ籠バックで使い方を説明してくれます。ああ、なるほどこれは便利やにゃあ。感心して見回すと、竹ひご取りの刃物や道具類もこじゃんと工夫して使いやすいようにアレンジされちょりました。


腕のよい職人は、竹編みの技術も日々進化させると同時に、手業だけではなくて道具も進化させるがやにゃあ...まっこと感心してしまうがです。弘法筆を選ばずと言うますけんど、弘法大師が自分の使いやすい筆を持ったら最高の傑作が書けるというものではないですろうか?それやったら、竹職人がそれぞれ少しでも美しく、お客様に満足いただける竹籠づくりのためには、やっぱり、まず道具からこだわらんとイカンようです。


竹皮スリッパの底張り作業

竹皮スリッパ


竹の皮は、まっこと素晴らしい素材ぞね。昔の人はすごいですちや、竹皮の抗菌性を研究した訳ではないろうけんど、ずっと食品の包材として多用してきた事からも分かるように竹皮の力を知り抜いちょったようです。


昔と言うたちそんな前の事ではないがぜよ。自分の小さい頃には、まだまだお肉屋さんでは天然の竹皮を使うところも残っちょりました。自然素材は、だいたい湿気には弱いですけんど、比較的水気にも強いし、丈夫という事でお弁当箱代わりにもされてきたがです。そうですちや、テレビの時代劇などで竹皮にオニギリを入れちゅうのを思い出された方もいるのではないですろうか?


毎年、毎年、ドンドン竹は生えてきます。木のように植林する事もなく人の手を借りずとも地下茎で皆とつながって筍を出し、雨がふって水分が十分やったらなんと一日に120センチも伸びる事のある成長力のある竹。そして、天をめざして高くなるごとに、竹皮は一枚、また一枚と剥がれ落ちていくがです。その頃になったら職人さんは毎日のように竹林に通います。剥がれ落ちた、その竹皮を拾い集めて来るがですきに。


今、日本の竹林は、ほとんど大部分が活用されず、「放置竹林」という、あまり名誉と思えない呼ばれ方をしよります。そんな竹林で竹皮も、ほとんどが誰にも使われる事なく、誰のお役に立つ事もなく竹林に落ちたままになっちゅうがです。限りある資源は大切に使うていくべきなのに、こじゃんと(とても)、もったいない事。竹達にとっても、せっかくの自分たちの資源は人様の役にたち、人様に喜んでもらいたいと願うちゅうがです。


なので、竹虎ではこの地元の竹皮で編まれた竹皮草履を都会の皆さんに是非とも履いていただきたいと思うちゅうがぞね。国産でこんなにエイ、室内履きのものがある事を、フローリングに最高の履き物だという事を一人でも多くの方に知っていただきたいがです。


この作りかけちゃある竹皮スリッパもそうぞね。EVAスポンジ底を張り付けて外履き用に製造しよります。角の余った部分を切り取ってから、綺麗に削りだしたら完成。グラインダーに竹皮を当てることなく、スポンジだけを削らんとイカンきに、気がぬけない作業やき。けんど、熟練の職人が一生懸命に加工した完成品を見たら。これが本当に何かで削ったがやろうか?そんな風に思うてしまうほど、綺麗に仕上げられちゅうぜよ。


高温多湿の日本には、サラリとした涼しい履き心地がまっこと最適な竹皮スリッパは、夏のシーズンにむけて今から頑張って作っていきゆうがです。汗ばむ季節に、清々しい竹林の風に吹かれるような、気持ちのよい笑顔を思い浮かべながら竹工場の作業は続くがです。


虎竹の里、自衛隊?ではないぞね

虎竹搬出機械


虎竹の里の今時分を歩いたら山道で出会うのは、こんな機械。キャタピラーが付いちゅうし、ごっつい感じが、ちっくと物々しい感じがしますろうか?けんど、向こうに見えるレバーを引いても、大きな音がして弾が発射される言うことはないがぜよ。そうちや、自衛隊の装甲車ではありませんきに(笑)


いっつも竹虎四代目30年ブログをご愛読いただきゆう、ごくごく少数派の皆様やったらお分かりの通り、これが細く急な山道から虎竹を搬出させるための機械ながぞね。


山道と言うたち、本当に獣道に毛が生えた程度の所もあります。そんな険しく曲がりくねった道を竹伐りの季節にはキャタピラーの足でしっかり掴んでゴトゴト登っていくがです。竹林によったら何と1時間以上も上がっていく場所もあり、そこで伐採して満載した長い竹を運び下ろしてくれます。伐ったばっかりの竹は、コレが又重たい重たい。なので機械にとっても、骨の折れる重労働ぞね。


けんど、どうですろうか?所々色落ちしたボディや、サビが、なんとも歴戦の強者という雰囲気をただよわせる。山の職人さんにとったらこじゃんと(とても)頼もしい、タフな相棒ながぜよ。このシーズンも、一生懸命頑張ってくれた、終わったばっかりの竹の季節を振り返りながら、


「まあ、とりあえず一息ついとうせや」


そんな、あたたかい山のおんちゃんの声が聞こえてきそうちや。


おっとメジロの鳴き声にまざってウグイスも元気に遊びよります。南国土佐の春はそんなに遠くないような気がしゆうがです。


竹虎新春動画が日本ネット経済新聞に掲載

竹虎新春動画が日本ネット経済新聞に掲載


最近の若い方は新聞を、ひとつも読んでないそうですのう。イカン、イカン、イカンぜよ!特に、この新聞は読まんとイカンがやきに。日本ネット経済新聞ぞね。ええっ?もう一回言うちょきますか。日本ネット経済新聞、インターネット関連では唯一の新聞ぜよ。


ほんで、どうして購読せんとイカンかと言うたら、そりゃあ、そうぞね。竹虎が毎年恒例にしちょります新春動画が公開わずか1ヶ月で1000回を超える閲覧回数を記録しましたが、その事をいち早く察知してドドーーーンと掲載してくれちゅうがですちや!


いやいや、まっこと竹虎のような四国でも高知の片田舎、虎竹の里という小さな小さな谷間のこれまた小さい竹屋まで、こうやって目を向けてくれちゅうとは本当に感謝感激ながです。


日本ネット経済新聞


日本唯一の虎竹が成育する、この小さな竹の里にはイギリスBBC放送が来たとか、ユニクロとコラボTシャツ作るとか、まっこと竹の事以外は何ちゃあ知らん自分たちからしたら夢のような事がたまに起こるけんど、こんな竹の仕事でもコツコツとやり続けよったら誰かが見てくれゆうがやにゃあ。


こんな地味な仕事らあ誰も知らんし、誰も関心もってくれんろう。そう思いよりましたけんど、明日からまたコツコツ自分たちの出来る事を自分たちの身の丈に合わせてやって行こうちや。大きな新聞掲載の記事を見ながら、そんな事を思うちょります。




強さと優しさの竹車椅子

竹車椅子


竹で車椅子が作られゆうのをご存じですろうか?たまに見かける金属製のものにくらべるとこじゃんと高価なものではありますので、あまり見かける事はないかと思うがです。いつやったか香港に行った時、高層ビルの足場が全部竹で組まれちょりました。聞いた事はありましたけんど、この目で見たらさすがにビックリやにゃあと、感心したことがあります。


けんど、何ちゃあ海外の事ではなくても、実は日本でも鉄材が乏しくなった大戦当時には竹筋コンクリートと言うて建物の建築資材として鉄の代わりに竹が使われよった事もあるほど竹というのは強い素材でもあるがです。風にたなびく柔軟性とやさしさと、強靱さを併せ持って、日本にはずっと昔からあり暮らしに溶け込んできた竹なので、こうやって竹車椅子に出来上がったのを見たらまっこと心が安らいできますぞね。


座らせて頂いた事がありますが、まっこと竹に包まれちゅうような感じがして心地がエイ。手触りも自然素材のぬくもりがあるし、レバーなども握りやすい。一日の中で長い間を過ごすという事を思うたら、こんな竹素材の車椅子ほどエイものは無いような気がしたがです。


高知は日本の中でも高齢化が一番早くに進みゆうそうです。お年寄りの介護などにも車椅子は欠かせんですろう。コストの問題などあるのですが、竹がこんな分野でもお役に立って人の暮らしや生活に、ちっくとでも潤いや豊かさを感じていただけるやったら、こんな素晴らしい事はないと思うがです。


新旧、竹ひご取りの道具たち

竹ひご取り


竹細工は、竹ひご取りが一番大事やと職人さんは口をそろえるがです。どんなに腕のエイ竹編み職人が、こじゃんとりぐって(丁寧)に編み込もうとしたち、素材の竹ひごが綺麗でなかったら美しい仕上げは出来ません。竹も極めていったら、自分の作る竹籠の竹素材そのものも人まかせにせず、山に分け入り、自身の目でしっかりと確かめてお眼鏡にかなった竹だけを伐りだし、竹ざる竹かごを編む。そんな、昔気質の竹職人もおるほどです。


まあ、そこまで出来きないとしても竹職人がこだわり、時間も十分にかける竹ひご取り。もちろん今でも比較的沢山製造される竹製品の中には機械を使った工程もある事はありますが、通常の竹ひご取りは全てが手作業ぞね。


けんど人間の手というのが凄いにゃあと、いっつも思うのは、手の感覚で厚みや幅を覚え込んでいる熟練の職人さんは、指先で竹ひごを持っただけで、まるで物差しで測ったようにカッチリと厚みや幅を知る事ができる言う事ちや。先日見せていただいた竹ひご取りの道具はまだ使うた事がない新品でしたけんど、こうやって竹ひご取りの道具も自分で考え作る、竹細工によって使い勝手の良いように工夫されゆうがです。


竹ひご抜き


こじゃんと年期の入った竹ひご取りの道具もありますぞね。ひご抜きというて鉄板の小さな穴の片方から、竹ひごを引っ張り竹を細くそろえていくがです。


一体何年使いゆうがやろうか?近くの鉄工所で作ってもろうたと言いますけんど、その工場は今でもあるがやろうか?けんど、鉄も長い時間が経過したら、なかなかエイ味を醸しだします。台に使うちゃある木も渋い感じです。初代から数えたら何代目やろうか?新しい道具もあり、古い道具もある。まっこと面白いがです。


虎模様の不思議な竹

虎竹選別


日本唯一の虎竹は間口がたったの1.5キロくらいしかない、この虎竹里の谷間でしか成育しない不思議な竹ながです。遠く向こうに見える山が虎竹の古里でもある焼坂の山。山頂ちかく、標高228メートルの所に焼坂峠がありますが、その峠から先には虎竹は全くなくなっちょって、以前、歩き遍路で出会うた遠くから来られた方が「不思議な所だねえ...。」と首をかしげて言うた事を印象ぶかく覚えちゅうがです。


山で伐採されて、運び出された虎竹たちは、広い土場でこうやって一本一本づつ選別されていくがです。太さ別、色づき別、同じ竹林から出された竹でも色が全く違いますし、竹半分には色づきがあって、あとの半分には色づきが無い事も。根元部分に近いほうは虎模様があって、ウラ(竹先端)の方には無い等、虎竹も千差万別。まっこと竹一本づつに個性がありますので全て見ないとイカンがです。


虎竹は品質管理のために寒い時期にしか伐らず、そのシーズンに伐った竹だけで一年間製品づくりをしていきます。どうして、この土地でしか虎竹が成育しないのか?京都大学から調べに来られた事もあったそうで、どうやら土中の特殊な細菌のせいとも言われよりますが高知県の地質地図を見たらこの谷間だけ地質の色が違いますきに。なにか、その関係やろうと思うちゅうがです。


潮風が良いとか、温暖化の影響で虎竹の虎模様も色づきが悪くなったとか、山の職人さんたちも、それぞれ意見があるがですが、いずれにせよ、初代宇三郎からずっと守り続けてきた虎竹。昔なら続けてきた仕事が今日も続きよります。




竹のわびさび色々

竹垣


青竹の清々しい色合いは、いつみても気持ちのエイもんです。青い色目の濃い竹は真竹なのですが、虎竹は淡竹(はちく)の仲間で真竹とは大きさは同じくらいでも色合いや、竹の性質というのは面白いばあ違います。当然虎竹の里には虎竹ばっかりですきに真竹はこじゃんと少ないですけんど、真竹の多い地方に行って道路脇などに竹林があると、ついつい車を停めて見入ってしまうこともあるがです。この真竹の青々とした色合いと、スパッと竹を切った時の身の部分の白さが日本人の一番好む色のコントラストだと聞きますが、まっこと、門松など見ても納得しますぞね。


さて、そんな真竹は湯抜きという油抜き加工を経て、天日に晒され、晒竹(さらしたけ)とか白竹と呼ばれる竹になります。しかし、日本唯一の虎模様の入った虎竹にしろ、青竹や白竹にしても、屋外で雨ざらしとなる袖垣や庭垣として使用される場合等にはその色合いを長く保っちゅうことはありません。特に青竹などは、すぐに色あせ、落ち着いた色合いから枯れた色合い、最後には苔がはえるような経年変色があるがです。


穂垣


竹のエイところは、この時間の経過とともに変わっていく所やと思うがです。若々しい華やかな見栄えもエイですが、いつまでも、そうではなく歳と共に年期を感じさせる風格が出て、周りの景観にもしっくりと溶け込む竹の色。古くなれば、なるほどに新しい魅力が醸し出される。時間とともに成長するような竹の魅力。自分が竹に教わる事は、まっこと多いにゃあと思いよります。


山の白竹角手提げ籠

白竹角手提げ籠


竹の手提げ籠は大好きでもありますし試作も色々しますきに、実は個人的にも、かなりの数を持っちょります。自宅や仕事場はもちろん、車の中にもあったりするがです。そんな竹手提げ籠の中でも、このシーズン活躍してくれたのがこちら。太めの割竹を全面と側面に二枚づつあしらって、ちっくと男性的な感じに仕上げた男の手提げ籠ぞね。


買い物などにもはもちろんながですが、お弁当やペットボトルのお茶、タオルなどをはじめ重たい荷物にもビクともしませんきに、虎竹の林に上がって行く時には、なかなか頼りになる相棒として頑張ってくれるがです。


手提げ全体の幅が広めで、動いて暑くなってきたら脱ぎたくなる上着やセーターはめていた手袋をポイッと放り込んだりする使い勝手もエイし、底が平らになっちょって安定感があるのもエイ。太めにしてもらった籐持ち手は持ちやすいし、腕を通しても快適ながです。


そして、何より、一番気に入っちゃある所は、この形。昔の旅に使いよりましたトランクを思い出すようなカクカクと角張った籠は、タフで堅牢な作りを体現しちょります。竹籠にオニギリを入れて竹林に座り風の音や小鳥の遊ぶ声を聞く、まっこと贅沢なランチタイムがはじまるがぞね。


竹風呂とは!?

竹皿づくり


「竹風呂」と言うたち、檜風呂のように浴槽が檜で出来ているとか、竹の清々しい香りでリラックスできるとか、そういう事ではないがぞね。竹の表皮を薄くけずった半割の竹を鉄釜で茹でているのです。早い話が竹が入浴しよります、言うことですちや。


竹の油抜きには「火抜き」と「湯抜き」があってから、火抜きはガスバーナーや炭火を使いますし、湯抜きは熱湯を使います。ぐらぐらと煮える熱湯に真竹を入れて拭きあげる事はたまにする仕事ですけんど、半割にした竹をそのまま茹でて、一体どうするがですろうか?


実は、こうやって十分に煮立てて竹が熱くなったところでお湯から出して、熱を利用して半割の竹を外側に広げて、出来るだけ平らな形にしていくがです。丸い竹を半割しちょりますので、急なカーブの竹は、ゆるやかなカーブを帯びたお皿のような形に出来上がります。大きな孟宗竹を使いよりますので使い勝手の良さそうな料理の盛り皿や、おしぼりが数本のせられるおしぼり入れなど、いろいろな商品に加工される元の素材作りをしゆう所ながです。


竹の曲がりの加工は、熱がポイントぞね。竹虎では虎竹や黒竹の曲がりを矯正するのに、ガスバーナーで熱を加えて熱くなっている内に矯め木で真っ直ぐにします。反対に、花籠の持ち手などUの字型に曲げる場合にも、竹に熱を加えて曲げていくがです。細い黒竹などは、こうやって熱と熟練の職人の手業によってまっこと竹とは思えないような複雑なカーブをもつ作品もできあがりますちや。


しかし、この竹皿づくりも、ひとつひとつ全て手作業。考えたら昔から何ちゃあ変わっていない工程ですろう。職人さんの仕事ぶりを見させてもらいながら改めて竹は手仕事やにゃあと思うがです。


竹虎オリジナル竹炭キャンディー

竹虎ピンバッチ


竹虎のロゴマークは二代目義治が考案したものながです。戦後、大阪の竹工場が空襲で全焼しちょりましたので、疎開先の虎竹の里で営業を再開してから後に使われちゅうマークで、竹の葉に「虎」で、竹虎としてはこじゃんと分かりやすいマークでもあるがです。このロゴマークの入ったピンバッチは、もう6、7年も前にある経営者の方が作られたものを見て、これは真似をせねばと思うて、すぐ作っていただいたもの。


けんど、いざ作りましたものの、自分はいっつも作務衣やし、職人や社員も作業着やエプロンですきになかなか付ける機会が少ないがです。まあ、それでもたまにジャケットやスーツを着る事がある社員はこのバッチを付けてくれちょりまして、見ると、なかなか格好がエイものながです。


竹炭キャンディー


さて、実は先日ある飴屋さんを知る機会があったがです。何でも、そこの飴屋さんでは色々な図柄でオリジナルの飴を作ってくれるとの事で、こりゃあ、ひとつ竹虎のロゴマークで出来るろうかと相談しましたら何とか出来そうやと、お返事いただきましたきに、さっそくお願いさせていただく事にしましたぞね。


皆様は金太郎飴というのをご存じかと思いますが、何処を切っても、同じ絵柄が出てくる飴ですちや。ただ、普通の飴を作るのも芸がないという事で何か無いろうか?と考えよりましたら、そうぜよ、そうぜよ、竹炭パウダーを使うたらエイぜよ。と言う事で竹炭入り竹虎キャンディーが完成したがぞね


思えば、今月はバレンタインデーなるものがありますちや。女性からチョコレートを男性にプレゼントするという、自分には昔から、あまり縁のないものではありますが、竹虎からお客様の皆様に日頃の感謝の意味をこめてお届けしたいにゃあと思うたりしよります。


バレンタインデーと言いながら時期はまったくズレ込みそうですけんど、せっかく作ったオリジナルの竹炭キャンディーですきに皆様に味わうて頂きたいと思うて、今ちっくと考えゆうところながです。


虎竹の細道

虎竹山だし


松尾芭蕉の「奥の細道」は有名ですけんど、虎竹の里にも、ありますぞね、「虎竹の細道」。まあ、ご想像のとおり自分が勝手に付けちょりますが、竹を積み込んで焼坂の山道を下りてくるトラックの左側に小道があります。何と言うことのない、けもの道のような小さな小さな道。ともすれば見逃してしまいそうな位の道ですけんど、この小道を通って山の職人さんは竹林に入り、虎竹が機械に載って運び出されてくる道もこんな小さな山道ながです。


虎竹林


さて、今年も日本唯一の虎竹の伐採は先月の1月いっぱいで終了しちょります。後は、こんな小さな道から少しづつ伐り出され、トラックの通れる道路脇に積み上げられた竹たちを山のふもとの土場まで運んで一本づつ選別し、太さや色付き別に保管していくがです。外に野積みする竹にはブルーシートをかけますぞね。


そして、これからの一年近い間に使える竹はこのシーズン中に伐採した竹だけ。竹は丸くて、真っ直ぐで同じようなモノやと思うちゅう方もおられますけんど、実は同じ竹は、あれだけ沢山のある竹林の中からでも一本も無くて、虎竹にも色付き、太さや、長さや、身の厚みやら、性質やら色々千差万別ありますので、竹細工によっては限られた数量しかできないものがあったり、出来ない製品があったりもするのです。


近年、太い虎竹が少ない年が続きよりました。太い竹が無いという事は身の厚みのある竹が無いという事でもあるがです。けんど、今年は嬉しい事に若干大きな竹も混じっちょって、昨年には在庫がなくなり皆様にお待ちいただく事も多かった虎竹男箸なども、ある程度は製造していけそうで、ちっくと安心はしちょりますぞね。竹屋は自然が相手。楽しくもあり、けんど、まっこと楽ではないがですぞね。


菊炭の床

菊炭


いやいや、まっことビックリしましたぞね。竹虎にも地元の炭焼き名人が昔ながらの炭窯で焼く菊炭がありますけんど、この圧倒的な使い方には目を見張ります。


菊炭はその割れ目模様が菊の花の形に見えることからその名前が付いちゅうがですが、まさに、これは菊炭の床ぜよ、床。これだけズラリと敷き詰めて並べられちゅうのは初めて見ました。茶道用には、この美しい炭が使われよりますが、一般のご家庭で菊炭を使うというたら、やっぱり飾り用ぞね。見た目も格好がエイですし、消臭、調湿効果にも炭は優れているので、機能性のあるインテリアとしても結構人気があるがです。


しかし、しかし、飾りに使うと言うたち、普通やったら、せいぜい菊炭を3個か5個くらい並べるだけ。この床一面に敷き詰めるという発想は、まっことダイナミック。自分がこうやって足をとめて見入るように、一体、今まで何人の方が同じく足をとめて、


「ふう......ぅぅぅぅぅ」


この量の凄さに小さなため息を付いた事ですろうか。


土の下に埋める埋炭(まいたん)や床下に施工する床下炭。そして、お部屋にこうやって置いていく置き炭など、今の生活には炭もひとつの癒しアイテムとして定着しちょります。そんな中、丸竹をそのまま高温で硬く焼き上げた飾り竹炭(丸竹)という商品があるがです。竹は中が空洞になっているので割れやすく管理もかなり大変ですが、それだけに丸竹のまま竹炭にした商品は貴重でもありますきに。お部屋のインテリアとしてご愛用いただきよります。


自分は日頃から竹や竹炭に囲まれて暮らしよりますので、初めての場所にやってきて、室内にこうやって炭があるのを見ると新鮮な気持ちで炭を感じる事ができるがです。そして、都会の方が自然な竹炭をお求めいただく気持ちが改めてよく分かるような気がするがです。それにしても、沢山の菊炭は、まっこと格好がエイ。落ち着いた気分になって、まだしばらくここに立ち止まっちょりました。


小さな竹の間仕切り

竹垣


竹垣の良さは何ですろうか?自分が魅力的に感じる竹垣と言うのは、たとえば背の高い建仁寺垣のように向こう側が全然見えなくなるような、塀に近いものではなく、四つ目垣などのように細い竹を粗く組み合わせた簡素なものぞね。竹垣は、自宅の庭があるとしたら、その庭と、たとえば公の道路であったり、お隣の家との境界をハッキリと区別するために竹垣をしつらえます。境をしっかり示しつつ、時には目隠しの役割も果たしながら風通しが良いのが竹垣の素晴らしいところではないかと思うがです。


日本の文化というのは垣根にも表れちょって、他を完全にシャットアウトする事はせずに、ファジーと言うか、やさしい領域を作ることを得意としてきたと思うがです。そういう空間は、最近の家には少なくなったかと思いますけんど、「縁側」なども、そのひとつかも知れませんちや。


あと、庭で言うたら枝折り戸のような簡易な扉もそうです。間仕切りという役割があって外と内を区別しよりますけんど、その気やったら誰でも簡単に出入りできるがです。けんど、簡易な目印のような本当に小さな間仕切りであっても、そこに、カッチリとしたルールというか線引きを感じる感性。日本の竹垣文化と言うてエイのか分かりませんけんど、まっこと素晴らしくはないですろうか?


先日見かけたのは、竹垣と言うて良いのか、どうなのか、本当にわずか数センチの高さの竹の囲い。地面に打ち込んだ竹に粗割した二枚の竹を交互に差し込んだだけの、まっこと簡単な作りですけんど、これが、ちっくとあったら、全然違う。面白いものやと思うたがです。


竹のある朝食

竹卵入れ


竹のエッグスタンドの事を以前のブログでお話したと思います。毎日の暮らしの中で、こんな上品なものは使うた事はないのですが、白竹を使うた簡単な竹編みでいながら食卓のテーブルにそのまま出して使えるような、可愛くて、ホッと心の安らぐような名脇役やったがです。ひとつ、ひとつが職人の手により形が微妙に違うのも、味わいがあって好きやにゃあと思いよりました。


さて、先日の朝に出して頂いた卵入れも、なかなかエイものでしたぞね。焼き物の器に穴の開いた竹編みを載せちゅうだけですけんど、陶器と組み合わせる事によって安定感が良く、まっこと実用的にできちょります。一度に沢山のお客様の分を用意される旅館さん等では、見た目は、もちろんですが扱いやすさや収納含めた機能性は最優先で考えられると思いますが、これは女将も大満足ではないですろうか?


上から見たら鳥の巣にある卵のようにも思えてきますけんど、こうやって別素材との組み合わせによって、かえって竹の優しさや、面白さが引き立つ事があるにゃあ。しかも、使い勝手が良くなりますきに、何ちゃあ、一から十まで全て竹で仕上げる必要はなくて、こういう竹の活かし方は素晴らしいと感じたがです。竹ばっかりに囲まれて、竹の事ばっかり考えるのは楽しくて幸せな事かも知れませんけんど、ちっくとでも違う視点を持つことが出来なくなりがちですきに、こうやって見聞を広めることは、こじゃんと大切な事ですろう。


それにしたち、最近はお醤油にしても卵かけ専門の醤油まであってから、なるほど、ぬくぬくのご飯にかけてサラサラとかき込んだら香りもエイし、まっこと美味しい竹のある朝食ぜよ。