虎竹の古里焼坂の峠にて

虎竹の里


虎竹の里は、たったの1.5キロ程度しかない細長い谷間にあるがぞね。日本一の森林県である高知にあって、しかも竹林ばっかりやと言うきに、どうしても山の印象が強いのではないかと思うがですが、実はすぐ前には美しい土佐湾を望める安和海岸があるがです。


それにしても、ここからの景色はいつ見てもエイもんぜよ。すぐ下にはJR四国の線路が走っていて、安和の無人駅があるがです。自分の子供の頃には、この駅には2~3人の駅員さんがおられて駅舎も立派やったぞね。乗り降りされるお客様も結構おって今より全然賑わうちょりました。今では無人駅になってしもうたがですが、目の前に海の広がっちゅう抜群の景観、良くお弁当を持ってきてランチに使う場所ですきに、勝手にレストラン「安和駅」と呼ばせてもろうたりしゆうがです。


安和の集落があり竹虎の工場も見えますけんど、その向こうにそびえる山が虎竹の古里、焼坂の山、小学校低学年の頃に国道が新しく出来て、この焼坂の山にトンネルが出来たがぞね。たしか当時は四国で一番長いトンネルやったと記憶しちょりますが、自分たちにとっては標高以上に大きな大きな山ながぜよ。


虎竹の山出し


山肌に薄緑に見えるのは全て竹林ぜよ。山の麓から曲がりくねった遍路道にも使われよります昔ながらの古道は、ずっと続いて焼坂の峠まで続いちょります。普通なら誰も通らない未舗装の山道ですきに荒れ放題かも知れませんが、竹虎や山の職人にしたら毎年、虎竹が伐り出されてトラックが登り下りする現役の、まさに生活道と言えるがぞね。だから、峠までは2トントラックが登れるし、長い竹を積んだままでも下りてこられる様なしっかりした道が、今でも無事に残っちゅうがですちや。


焼坂の山道


ところが、やはり土の道路というのはアスファルト舗装した道と違い、大雨が降れば流されるし、轍は深くなる、山側から土砂が崩れ落ちたりもする、まだそれならエイですけんど草だけでく大きな木が生えるということもあり、人が通らなくなった途端に、元の自然の姿に戻ろうとするがです。


今でもお遍路の方がたまに通るだけの山道を歩いてみるがぜよ。焼坂の峠を越えると虎竹の姿がパタリと見えなくなりますけんど、急に景色が変わるのは竹のせいだけではないがです。振り返ってキラキラ光る須崎湾を眺めよったら気持ちのエイ風が吹き上げてくる。竹虎120年、決して簡単な道のりではないにゃあ。改めて思いをかみしめるがです。


コメント(2)

chom 返信

四代目の視点を借りて、わたしもその山道を歩いたようです。

澄んだ空気にむせかえるような草木竹のかおりがするんでしょうね
行ってみたいなぁ…

竹虎四代目 返信

chom様

虎竹の里の山道は素晴らしいですぞね
曲がりくねった道をゆっくり登っていくと
小鳥がさえずり虎竹たちが出迎えてくれるがです

是非一度お越しいただきたいですちや(^^)

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