土佐和紙工芸作家、伊与田節子先生

土佐和紙工芸作家伊与田節子先生


インターネットは、まっこと素晴らしいものながです。自分のような田舎で誰にも知られていない「物」や「者」を沢山の方に知っていただくチャンスをいただけちゅう、地方の自分達にこそ、初めて本当の意味での光を当てていただけた、それがインターネット時代のひとつの側面かと思うちょります。


けんど、それまではどうやったか?広く告知をするような費用はなく、人もいない、どこかに販売に行くにも田舎ほど時間と費用がかさむ、まっこと不便な場所のメリットというのは何ひとつ感じる事はできんかった。そんな中で、せっかく日本唯一の虎竹という素晴らしい竹がありながら、だんだんと人の生活から遠くなり、役立つ機会は減り、虎竹は、これからどうなっていくがやろうか?日本の竹に明日はあるがやろうか?色々な思いに悶々とする長く暗いトンネルが続きよりました。


土佐和紙を使うて作品を創作されている伊与田先生は、そんな自分達を見るに見かねてお声をかけて下さったがやろう。同じ地元高知ならではの素材という事で、ご自身の土佐和紙と虎斑竹のコラボ展示会をご提案頂いたがです。先生は人間国宝の方が漉いた土佐和紙を使うた繊細な作品なども発表されちょって工芸の世界では名前の知られた方ぜよ。まっことエイ機会やと思うて何度となくご一緒させてもろうたがです。


高知県内の有名旅館、ホテル、お寺、公共施設など、普通なら工芸品の展示には使われないような素晴らしいスペースを、土佐和紙の花と虎竹で一杯にさせて頂いたのは、まっこと自分にとってもエイ経験となっちょりますし、まだ当時の創作が残った場所では、あの頃の自分を感じさせてもらえる、特別なパワースポットのように思うたりしゆうがです。


一番の思い出の場所は何というても竹林寺。歴史のある有名なお寺、そもそも竹にちなんだお寺でもありますし、虎斑竹の命名の父であり世界的学者であられた牧野富太郎博士の牧野植物園のある五台山にあるお寺でもあります。この広い客殿にどのような竹の創作をするのか、今、考えたら稚拙な部分も、こじゃんとあるがですが、あの時期の職人を巻き込んだ試行錯誤が、現在取り組んでいるドイツ人デザイナー、ステファンさんとの作品作りに少なからず生きちゅうようにも思うがぜよ。


最近は久しくお会いさせて頂いていなかった伊与田先生、お元気なお顔を拝見させてもらえて、まっこと嬉しい気持ちが込み上げてきますちや。自分達は、本当に沢山の恩人に囲まれ、多くの人に助けられ、今こうやって生かされちゅう事を気づかせてくれますぞね。虎竹を誰かのお役に立てたい、そうやって恩送りしたい、そんな思いを新たにするがです。


コメントする