けがきコンパス

けがきコンパス


を割る方法で一般的に考えられるのが菊割りといって、丸い鉄の輪に6枚とか、7枚とかの刃がついていて、それを竹の切口の中心に合わせて、等間隔に割ることを想像される方も多いと思います。しかしそれではなかなか大きさのまちまちの竹を割った幅を綺麗に揃えるということが難しいのです。割る竹の幅が広かったり、大量生産で作る場合は菊割りで割ってから幅を揃えたりすることもよくあるようです。


取りたいヒゴの幅が狭かったり、貴重な材料を無駄にしたくなかったりする場合には、このけがきコンパスで竹に割りこみ用のすみつけをすることもあります。布巻尺や手製の寸法竹などで印をつける方もおられるようですが、それはその方の手法や地域性なども大きく関わってくるのではないでしょうか。


私が修行に行った別府ではこのけがきコンパスで習いましたが、布巻尺や木の物差しで印をつけているかたもいて、どれがいいということはないのかもしれません。このけがきコンパスの刃先を竹に押しつけて、半回転ずつ回しながら等間隔に印を付けていきます。その印にそって竹割り包丁で割り込みを入れ、竹を等間隔に割っていくのです。


5mmのヒゴを取るなら、5.5mmか6mmほどに印を付けて荒割りをするか、11mmに割っておいて、それを半分に割るという方法もあります。それを幅取りナイフで5mmに揃えていくのです。いずれにせよ、職人さんたちは長年の経験の中で、自分のこだわりを持ちながら、作る籠の種類や技法に合わせて、いろいろな方法で物作りをしているのです。

虎竹縁台用の虎竹

虎竹


夏に近づくと竹虎人気の商品の一つに虎竹縁台という商品があります。虎竹で枠を作って、足は四万十桧で頑丈に作ります。座る面には隣町の中土佐町産の黒竹を並べた竹虎のオリジナル商品の一つです。今年も家庭画報さんにも取り上げていただいて、多くの方にご愛顧を頂いています。


この虎竹はその材料用にカットしたものなのですが、虎竹縁台には長さが3種類あり、1m、4尺(約120cm)、5尺(約150cm)とあります。なんてことない節止めでカットした竹に見えますが、その3種類の長さの両方で節止めをする必要があるために、その長さで両方に節がくる虎竹を選別しておく必要があるのです。


どうして節止めをしておくというと、竹はどうしても乾燥などによって割れが生じてくる恐れがあります。割れがきても、針金などで縛っていただくと全く強度的に問題はないのですが、できるだけ割れにくくするためにも節止めにカットしているのです。


大体、虎竹縁台に使う虎竹の直径は1寸5分前後(4.5cm前後)ですが、たくさんある虎竹の中から、その大きさで、その長さで両方に節のくる虎竹はそんなに多くはありません。自然のものなので節の位置や間隔も当然違っていますし、虎竹自体も出来るだけ割れにくそうな竹を選別しなければいけないからです。


だから虎竹縁台用の虎竹は、山から下ろしてきて土場に広げて1本1本選別作業をする際に、抜きだしているのです。それを工場に持ち帰り、油抜きをし、真っ直ぐに矯正をした後に、節止めにカットして、やっと製作にとりかかれるのです。なんてことのない1本の虎竹縁台用の竹ですが、製作は虎竹が山から下りてきたその瞬間から始まっているのです。

黒竹が生え出しました

黒竹


竹虎工場のすぐ後ろには太平洋が広がっています。工場横にはその太平洋に流れ込む川が流れていますが、その川辺には少しですが黒竹が生えていて、仕事の合間や通りかかった時には私たちの目を楽しませてくれたり、ホッさせてくれたりしています。その黒竹が今年も新しく生え出しました。


虎竹もそうなのですが、最初のうちは黒竹もこんなに青々とした竹です。竹は成長力の強い植物として有名ですが、数か月で大きく成長して、親竹と同じ大きさになります。生えた当初の竹は青々として、まだ柔らかく、触るとブヨブヨしているのですが、それがだんだんと身が入って、堅くなり、そして2年目くらいからだんだんと色もついてくるのです。


もちろん、それには個体差があって、色の良くつく物や、薄いもの、すぐに日に焼けて白っぽくなるもの、竹の厚みが薄くて弱いものなどなど、マチマチですが、それが自然の色の良さであり、不思議でもあり、作ってできない魅力的な色だと感じています。


竹皮の下から枝らしきものが延びているのがおわかりでしょうか?竹皮の下にちゃんと枝になる部分が格納されており、この竹皮が落ちると、枝が横に広がり、延びて、葉をつけるのです。だから竹の枝のついている部分の上の幹にはその名残の溝がついているのだと、勝手に理解をしています。


こういう成長の過程を見ていると、本当に竹も生きているんだと実感できて、親しみも湧いてくるものなのです。

虎竹手ほうき

虎竹手ほうき


先日のブログで日本唯一の虎竹竹馬のことを書きましたが、春の運動会シーズンに保育園でよく使われるのが竹馬で、小学校でよく使っていただいているのが、この虎竹手ほうき用に使われる竹です。


この50cmほどの長さの虎竹をどうやって運動会で使うかとういうと、踊りに使われています。小学校の運動会に踊りはつきもので、年によってや踊りによっても違うのですが、この虎竹手ほうきを使って踊る踊りがあるのです。


この虎竹の里の安和小学校でも以前は、竹で組んだ足に大きい孟宗竹(もうそうだけ)を渡して、それを虎竹手ほうきで音楽に合わせてたたきながら踊る踊りをやっていました。子どもたちが大きくて長い孟宗竹に向かって並び、音楽に合わせて虎竹で孟宗竹をたたいてリズムを取る踊りを初めて見たときは、何とも言えない感動があったことを覚えています。


全校生徒30~40人の小さい学校ですが、その踊りを代々踊ってきた中高生も飛び入りで参加してくれて、みんなで踊っている姿にこの地域のまとまりを感じ、その中に虎竹があることに嬉しさでいっぱいになったことを覚えています。今では音楽も変わり、その踊りはやらなくなっていましたが、同じ市内の小学校さんの春の運動会で使っていただくことになりました。


よそ地域の小学校では普通の色のない竹が使われていると思うのですが、こうして地域の子供たちに使ってもらことで、少しでも日本唯一の虎竹や地域のことに興味を持ってもらえたら、またそのお手伝いができればこんなに嬉しいことはありません。

竹の刃物

竹割包丁


竹細工を初めて一番先にやることは刃物の研ぎ方を覚えることです。一般的には刃物というものは切れるのがいいとされていますが、竹細工に使う刃物で切れていいものはあんまり無いというのをご存知でしょうか。


もちろん削ったりする切り出し小刀やの表皮を薄く剥ぎ取る磨き包丁などは、切れなければいけません。でも竹割包丁や竹の幅を揃える幅取りナイフ、竹の厚みを揃える裏スキ銑などは切れすぎてはいけないのです。


切れすぎると刃が竹に食い込んで、割りにくかったり、刃物に竹が取られて均等に割り剥ぎができないからです。もちろん最初は綺麗に切れるように研いでから、刃先を少し潰して切れにくくするのですが、その微妙な切れ具合を調整するのが面倒で、いつも割り剥ぎばかりをしているわけではない私などはあんまり研ぐということはしていないのです。


特に竹の幅を取る時に使う左右対称の幅取りナイフなどは、2本を向かい合わせて立てて使うので、左右のナイフの切れ具合が違うと、どちらかに竹が取られて綺麗に幅を揃えることができないので、余計に今の切れ味が変わるのが嫌だったりするのです。


そんな刃物たちでも、たまにはこうして磨きあげて油をしみこませてあげる。こういう作業が気持ちをリセットすることになったりするのです。いろんな刃物があり、それぞれの切れ味があって、それぞれの持ち味の仕事をしていくっていうのは人間も同じのような気がするのです。

職人の持って来てくれた小夏

小夏(こなつ)


小夏(こなつ)とは高知の名産として知られる柑橘類の一種で別名ニューサマーオレンジとも呼ばれる春~夏にかけて高知を代表する、もっともポピュラーで愛されているフルーツです。リンゴのようにするすると薄く黄色の皮部分だけをむいて、その下の白い甘皮と一緒に食べますが、冷やして食べると一層おいしく食べられます。


その小夏を竹虎の工場で働いてくれている職人さんが小夏をたくさん持ってきてくれました。おじいさんが作っていたらしいのですが、今はその職人さんが休みの日に世話をしていて、形は悪いけど無農薬でおいしいからと持って来てくれたのです。


たしかに形は悪いけれど、ほのかに甘くておいしかった。何よりも普段は無口でおとなしい、その職人さんが自分のところで取れた小夏を、社員みんなに食べて欲しいと持って来てくれたことが、すごく嬉しい出来事でした。


家で作っている野菜や花を持って来てくれたり、どこかに出かけたからとお土産を買ってきてくれたりと、竹虎のスタッフ達は本当に優しく、仲良く、竹虎や仲間を思って、仕事をしてくれています。そんな素敵なスタッフに支えられて竹虎は幸せだな~と感じずにはいられません。

祖父の白竹屋根付建仁寺垣

白竹建仁寺垣


祖父・竹虎二代目義治が亡くなって30年近くにもなるのですが、先日祖父に作ってもらった白竹建仁寺垣が傷んだので、作り変えて欲しいとお客様からご依頼がありました。祖父に作ってもらった白竹建仁寺垣を壊してしまうのは忍びないですが、ともおっしゃって頂きました。


一般的にはもう少し早いサイクルで交換されることが多いのですが、祖父の作った白竹建仁寺垣は、お客様のお宅で長い間、愛され、親しまれ、お客様と祖父と共にあったんだなと思うと、なんだか凄く嬉しくなりました。


その当時のものとは仕様が多少違うかもしれませんが、大きさなどはほとんど一緒です。祖父の作った白竹建仁寺垣と今回作った白竹建仁寺垣。これを取りつけた時に、お客様にどう感じていただけるか。同じように感じてもらえたらこんなに嬉しいことはありません。


また、今回作らせて頂いた白竹建仁寺垣も、何十年後に古くなって交換される時に、取り壊すのは忍びないと思って頂けたらいいな。そう思ってもらえるような商品作りはもちろんのこと、そんな会社になってなきゃいけないな。この出来上がった白竹建仁寺垣を見ながら、そう感じました。

洗顔の時間が楽しくなった炭石鹸

虎竹の里炭石鹸


私は洗顔にこの虎竹の里 炭石鹸を使っていますが、他の石鹸との違いはやはりつっぱらないということでしょうか。それほど石鹸に対して関心がなく、正直なんでもいいと思ってきましたし、今もそんなにこだわりはありません。身体を洗う場合は特に、何かに不満があったことはありませんでした。


しかし、顔を洗うと、石鹸の違いがはっきりとわかるので、普通の石鹸で洗うのは好きではありませんでした。普通の石鹸で顔を洗うと明らかに顔がつっぱるのです。何かカサカサになって、肌が傷んでいるのではないかと思うことさえあったのです


よくある「しっとりとなる」という謳い文句の洗顔フォームでは確かにしっとりはしますが、何か不自然な、しっかり洗えてるのかなっていう感じがあり、すっきりと汚れを落とす爽快感みたいなものがありませんでした。それは自分が少し顔があぶら症だからということもあるかもしれません。


それが炭石鹸で洗うと、汚れを取ったという爽快感とともに、しっとりとまではいきませんが、つっぱりが非常に少ないのです。そのままでももちろん泡立ちはいいのですが、泡立てネットを使うと、少ない量ですごく泡がたちます。テレビの洗顔フォームの宣伝によく見られるような、きめの細かい、顔にくっつくような泡なんて、どんな石鹸でどうやったらできるの?って感じでしたが、初めて実際にその泡を見たときは少し感動しました。


嬉しくなって、洗顔の時間が楽しくなりました。友人にもこの竹虎の炭石鹸じゃないといけない人も多くいて、たまに買ってくれているようで、大変嬉しく思っています。出張や旅行にはミニ石鹸を持っていっていると言ってくれている人もいました。やはり知人が自分のところの商品を気にいってくれて、使ってくれるというのは嬉しい事なんです。

虎竹の竹馬

虎竹の竹馬


春の運動会シーズンになると、あちこちの学校や保育園から玉入れかごのご注文を多くいただきますが、近くの保育園から数は多くないですが、ちょこちょこ注文いただく物に虎竹の竹馬があります。


文字通り竹で出来た馬なのですが、最近ではプラスチック製の物も多く見られるようになりました。しかし、当然ながらこの虎竹の里では竹製の竹馬が使われています。それも日本唯一の虎竹製の竹馬です。


自分が子どもの時も竹馬に乗っていましたが、当然虎竹の竹馬でした。だから竹と言えば、こういう虎模様がついているものだと子どものころからずっと思っていました。違う色の竹や模様の無い竹があるのを知ったのは、ずっと後のことで虎竹は珍しい竹なんだと驚いたことを覚えています。


ここ虎竹の里の子どもたちにも、虎竹のことをを知って欲しくて、またここ安和はこんなに珍しい、不思議な、綺麗な竹がある素敵なとこだと気づいて欲しいと思っています。


2年に一回、地元の安和小学校5~6年生を対象にした、虎竹の花かご作り体験をやらせてもらっているのも、そういう気持ちがあるからです。虎竹を知らない全国の方々はもちろんですが、まず何年後かには進学や就職で他の地域に出て行くであろう子供たちに、この虎竹の里のことを、虎竹のことを誇りに思ってもらえるように、竹虎のできることはまだまだ沢山あるように思っています。

日本唯一虎斑竹の山

日本唯一虎斑竹の山と聞いて、皆さんはどう感じられるでしょうか?日本でここにしかない虎斑竹(とらふだけ)が生えている山。その山はどんな山なのでしょうか?色のついた虎斑竹がびっしり生えている竹ばかりの山だと思われている方も多いことだと思います。


また、製品になっているような油抜きをした綺麗な色のままの竹が、そのまま生えていると思っている方も大勢いることやと思います。けれど、決して綺麗なままの竹が立っているわけではありませんし虎斑竹の山でも色のついた竹は一部でしかないのです。また虎斑竹だけではなくて、山には杉も桧もたくさん生えています。


一口に山と言っても、その山にはたくさんの山主さんがいて、境があって、山の向きや日当たりや、風当たりによって竹は様々で、なかなかひとくくりにはできないのです。焼坂と呼ばれる山だけでも複数の山主さんがおられます。その中の一つ、竹虎の会社の山だけでも僕と切り子さんと呼ばれる虎斑竹を伐採してくれている人の間にはまた3つの境界があるのです。


それぞれの場所の日当たりや向きや、地質や傾斜などで生えている竹の大きさや色つきがそれぞれ違ってきます。それによって、今年はここを切ろうとか、竹を休ませようとか、ここはよくないとかっていう話をしています。虎竹の里の中にもたくさんの山があって、それぞれの場所によって、それぞれの切り子さんがいて、それぞれの思いやこだわりがあって、その中でいろいろな虎斑竹が毎年出てくるのです。


そんな山の話、虎斑竹をはじめとする竹の話、職人さんたちの話、製造現場での話など少しずつではありますが、ご紹介出来ればと思っています。