津波避難道

津波避難道


虎竹の里の、集落のすぐ上の山の木がまるごと伐採されました。その小山に上に向かって重機で道が作られだしました。伐採した木材を運び出す道なのかなと思いましたが、これは津波避難道になるようです。


紀伊半島の紀伊水道沖から四国南方沖を震源とする周期的な巨大地震、南海地震がいつ起こってもおかしくない状況とされ、30年以内にはかなり高い確率で地震が起こると予想されています。


竹虎本社工場のすぐ裏には堤防があり、その向こうには太平洋が広がっています。東日本大震災以降、私たちは地震そのものの恐怖はもとより、津波への恐怖が日に日に大きくなっています。東北に津波が押し寄せた際、この須崎市にも2.6mの津波が観測され、1000名を超える人が避難をしました。


前は海に面し、後ろは山が控えているこの虎竹の里では、地震が起きた際には近くの山に逃げるというのが基本的な考え方ですが、山道も狭く、またそこに行くまでの道や橋や家がどうなっているかわかりません。


竹虎に勤めてくれている社員さんたちも、地震の際の行動や、避難経路には不安を持っている人が多いようです。この避難道は一つの選択肢として頭の中に入れておいてほしいと思います。


この山の山主さんは、この山を避難道に提供してくれたそうですが、このように集落の近くに避難道ができるのは大変ありがたく、心強いことです。このような避難道が一本でも多くできることを願うとともに、何かお役に立てることはないか、できることはないかと考えずにはいられません。


毎朝、会社に向かう道で目にするこの光景は、地震が迫ってきていることへの現実的な危機感とともに、地震や津波への備えを促しているかのようにも見えるのです。

別注黒竹玄関すのこ

別注黒竹玄関すのこ


別注の黒竹玄関すのこです。通常は長さ90cm、奥行き40cm、高さ7.5cmなのですが、今回は長さと奥行きは同じで、高さを16cmにして欲しいというお客様のご要望でした。


黒竹すのこを置く理由には玄関の段差を少なくしたり、靴を履いたりするスペースが欲しかったり、黒竹をインテリアの一部として利用したりと、いろいろあるかと思います。そんな用途に合わせて作ったり、玄関のサイズや高さ、形状などに合わせて、別注で黒竹玄関すのこを作ることがよくあります。


黒竹玄関すのこは長さ40cm、高さ約5.5cmの四万十ひのきで作った足を3本並べ、それに黒竹をスクリュー釘で打ち付けています。この足はまとめて作っていますので、別注でもこの足をそのまま使える大きさのものですと、黒竹の長さを変えるだけで済みます。しかし高さや奥行きを変えるとなると、足から作る必要があり、時間を余分にいただくことになります。


この別注黒竹すのこの足の高さは約14cmですので、5寸幅(約15cm)のひのきの板をカットし、四面を綺麗に削り、裏にはガタつき防止用のアジャスターの入る穴を開けてから塗装を2回かけていきます。それに高さがあるので、使っている間に下の足がグラつかないように、補強も入れています。


ただ高さを高くしただけなのですが、別注品というのは、いろんな工程を経て、また職人の工夫も入れながら、満足していただけるようにと一つ一つ作っているのです。

菜の花畑と桜と安和駅

安和駅


あたたかい日が増えてきて、もう春真っ盛りの虎竹の里は桜が散り始め、菜の花が満開となっています。この菜の花畑は安和駅のすぐ下にある虎竹の切り子さんの畑です。山で伐採した虎竹を出してくる時期と、菜の花を収穫する時期が多少重なっているために、山に上がっていないときは、いつもこの畑で作業をしていました。


向こうに見える青い屋根の小屋がJR安和駅の待合所です。以前は大きな駅舎が立っていましたが、ずいぶん前から無人駅となり、老朽化が進んで、今のこの形になっています。


この駅の最大の魅力はその景色です。駅のホームの向こうには安和海岸が広がり、すぐ下に砂浜が見える、大変景色の美しい駅として、知られています。私が高校生のころには一つ上の学年の女生徒達が、この安和駅と美しい景色と一緒に、JRのポスターにもなったほどです。


小学生のころは遊び場の一つとして、学生時代には通学の駅として、また大人になってからは子どもの通学の送り迎えに通った駅です。また年に2回の駅や斜面の草刈りをしたり、地元安和小学校の愛校作業時にはグラウンドに入れる土をこの駅構内の段差を利用して、11トンダンプから2トンダンプに積み替えをしたり、夜間パトロールの集合場所であったりと、JRを利用しなくても、この駅に集まる機会は本当に多いです。


他にも婦人会の方々が花を植えたり、整備したりしながら美化運動をしています。この駅を虎竹の里の、この安和の玄関として、またJRを利用する人や子どもたちに気持ち良く使ってもらおうという気持ちで綺麗にしています。この虎竹の里の住民の中では、いろんな意味でこの安和駅は本当に大きい存在としてあるように思います。


須崎方面から安和に帰ってくる国道からもよく見えるこの駅をいつも見ています。安和に帰ってきたと思いますし、草が伸びていると、そろそろ草刈り時期だなと思います。


考えてみると子どもの頃の遊びや通学に始まり、何度ここの草刈りをしたり、集まって何かをしたりしたか数えきれません。ポスターになるような海を見下ろす綺麗な景色の駅としてよりも、こちら側から見るこの駅の姿が、私の中では思い出のいっぱい詰まった安和駅なのです。

職人のリアカー

職人のリアカー


最近はめっきり見ることが少なくなりましたが、竹虎本社工場ではまだまだ現役で頑張っているのが、このリアカーです。本社工場から少し離れた倉庫に置いてある材料や製品を取ってきたり、袖垣用の孟宗竹を竹置き場でカットして持ってくるのに、職人が使っています。


クルマを使うほどの距離でもなく、かといって人ひとりが担いで持ってくる量は知れたものですし、何かに乗せて来たいことは結構あるものです。そういう微妙な距離感や量や重さの物を運んでくるのにリヤカーはうってつけの道具なのです。


このリヤカーは自分が知っている限りでは2代目なのですが、先代が壊れて買い替える時に、まわりに売っていなくて困った思い出のあるリヤカーです。結局、知り合いの自転車屋さんにお願いして取り寄せてもらったことを思い出します。


一昔前は、クルマの免許を持っていない人が自転車の後ろにリヤカーを取り付けて、人力トラックとして使っているのをよく見かけたものでしたが、最近はめっきり見かけなくなりました。しかし竹虎工場では、まだまだ有効に、効率よく、エコな運搬道具として、ずっと活躍していきそうです。