竹を割る

竹を割る


竹を割ると一口に言っても、長さや竹の大きさ、用途などによって様々な割り方があります。菊割りという数枚の刃のついた金具で割る方法や、割りたい幅にけがきコンパスで印をつけて鉈で割る方法など、どんな割竹やヒゴを作りたいかによって割り方を変えています。


内装材として竹を丸いまま壁に貼りたいという場合によくお客様から「竹を半割にできますか?」というお問い合せをいただくことがあります。竹を半割にすることは可能ですが、竹は縦の繊維に沿って割れるため、どうしても割面が波打ってしまいます。


また竹を割ったような性格といった言葉がある通り、竹を縦に割ると一直線に割れるというイメージがありますが、長い竹を真ん中に真っ直ぐ割ることはそんなに簡単なものではありません。


鉈で割ろうとすると、力が入りにくく、また調整もききません。竹虎ではこのように竹を丈夫で動かないところにしっかりと立てて、それに先を割った竹を差し込んで、押しながら割るようにしています。


真っ直ぐ押していくのが基本ですが、どうしてもちょっとした力加減で偏って割れていってしまうので、力を入れる方向を調整しながら、できるだけ真っ直ぐに割るのです。これは職人の技というよりは、知恵と呼ぶほうがしっくりくる割り方です。

竹馬

竹馬


竹馬と聞くと竹の竿に横木をつけ、それに乗って遊ぶ遊具を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。ここで言う竹馬は、江戸時代に竹を棒が通せるように曲げたものを組み立て、それを天秤のように前後で担いで物を運ぶための竹馬です。


これは参勤交代の際に、お弁当代わりのおにぎりを運ぶために使われたそうです。これに底板を付けて、布をかぶせて使用していたそうで、大名行列の後方にこの竹馬を担いだ人が道具を持った人達と一緒に付きしたがっていたそうです。


これはある地域のお祭りで大名行列をやるところがあるらしく、その保存会からの依頼で製作したものです。最初はそう難しく考えていなかったのですが、棒を通すために竹を薄くして熱を入れて曲げる部分でつまづいてしまいました。


竹を曲げるためには熱を入れて曲げるのですが、厚みがありすぎると割れてしまいます。ある程度薄くする必要があるのですが、削った厚みが不均等だと、薄い部分が負けてしまい、そこだけが大きく曲がってしまって綺麗な曲がりにならないのです。


結局、出来るだけ削らずにうまく熱をいれながら、竹の特性を生かして大きく曲げることにしたら、なんとか綺麗に曲がってくれたのでどうにか作ることができました。やはり初めて作るものはやってみないとわからないことがあるなと痛感しました。


しかし出来上がったものをお届けした保存会の方には、よくできていますねと合格点をいただき、ホッとしたところです。今回こうしてご注文を頂いたおかげで、こういう竹馬があることを知れましたし、こうして竹が昔から人々の暮らしの中にあったことや、それを今こうして改めて竹虎が形に出来たことが嬉しかった製作でした。