鏡開き

ぜんざい


新年を迎えました。考え方や決まりはいろいろとあるのかもしれませんが、竹虎ではずっと以前から年末の大掃除の後に、しめ飾りを飾り、機械や水場など、社員さんやお客様が使うものに一年の感謝と新年からの安全を祈り、お餅を飾るということだけはして新年を迎えるようにしています。


しめ飾りは松の内が終わったあとに片づけていましたが、今朝早くに川で火を焚いて感謝をして燃やしました。どんと焼きに持って行ったりする時もあるのですが、自分でできることは自分でしっかり感謝して処分したほうがいいと思い、機会があればできるだけそうするようにしています。


飾っていたお餅は、今年はぜんざいに入れてみんなで食べることにしました。一番若い社員さんが買い出しをしてくれ、ぜんざいをたいて準備をしてくれました。お昼の時間はそれぞれ違うので、それぞれで飾っていたお餅を焼いてぜんざいに入れて食べました。工場の職人には3時の休憩に持っていきます。


自分は甘いものがあまり得意ではないのですが、焼いたお餅の入ったぜんざいは非常においしくいただけました。一緒に食べた社員さんには、「私らと食べたきおいしいがよ」と言われましたが、そうだと思います。今年もこの方たちに助けてもらいながら、頑張っていきたいと思えた竹虎ならではの鏡開きとなりました。

虎竹の里の記録的豪雨

土砂崩れ


先月の7月4日、虎竹の里は記録的豪雨に見舞われました。高知県初の「線状降水帯発生情報」もあり、竹虎のある高知県須崎市では観測史上最大の時間雨量を計測し、あちこちで土砂崩れや浸水被害が出ました。竹虎の倉庫も一部浸水しました。


あちこちで土砂が崩れ、小さな川は土砂でふさがれ、水が道を流れていました。海沿いの集落に行く道は、土砂崩れを防ぐ金網で土砂が止まり、なんとか片側通行できますが、いつ大きく崩れるかわからない状況でした。竹虎の社員が数名住む中土佐町につながる国道は土砂崩れで通行止めになり、高速道路で須崎の町まで出てから、迂回して出社してもらうよう連絡をしました。


今まで崩れたことのない竹虎の斜め前の国道にかかっている橋の下は大きく崩れています。1998年の高知豪雨の時も降りましたが、今回は短い時間に多くの雨が降ったという感じで怖かったです。川をふさぐほど土砂が崩れてきているということで当然山の道や谷なども水があふれて壊れています。大雨も何度もありましたが、ここまで酷い被害は出たことがなく、これも近年の気候変動によるものだろうなと感じています。


橋のたもとの土嚢


あれからふた月が経とうとしていますが、酷い川の土砂を取り除いた他は何も手が付けられていません。隣町に繋がる国道は片側通行のままですし、国道にかかる橋のたもとは、崩れたところに土嚢を積んでいるだけです。


山に向かう道


こういう状況ですので、市道とはいえ、自分たちしか使わないような山に向かう道を早く直してもらうというのは無理があるのかもしれません。10月には虎竹伐採のための準備で山にも入り始めます。今年の虎竹伐採は道を直すことから始まることになりそうです。

山境の杭

山境の杭


虎竹の伐採時期も終わり、あとは伐り倒した虎竹の枝を払ったり、運び出し作業のみとなりました。短い冬の間だけの伐採時期で1年分の材料を確保しなければなりません。竹虎所有の竹林もありますが、山主さんにお願いをして虎竹を伐らせてもらっている山も数ヶ所あります。


切り子さんと呼ばれる虎竹専門の伐採職人さんたちが伐り出して来てくれる山もありますが、自分たちで山に入って伐採をしている山もあります。どちらも山主さんから虎竹を買い取る形で、大きさや色によって細かく分けられた値段で虎竹の買い取りをしています。


山も宅地と同じように細かく所有者が分かれています。自分が知っている境で多いのは谷であったり、目印の木が植えられてあったりすることが多いです。竹虎所有の山も片方は谷、もう片方は杉が真っすぐに植えられいる部分があり、それが隣との境界とされています。


谷のほうはわかりやすいのですが、杉林の中での境界の杉を知っている人はもう多くは残っていません。山に入っているからこそ知ってはいますが、山に入らない人には境界がわからない人も多いようです。


この山は竹林の中に境界があり、分かりづらいからかこのような境の杭が打たれています。竹林の中の境はそこだけ木が植えられていたりしており、このような杭を見るのは本当に珍しいです。これが境かなと思える木はありますが、そもそもそれを知らないと境がわかりません。


昔は山に入っていた方の子どもさんやお孫さんのほとんどは、今は山に入らず、境さえ知らないことが多く、竹を伐りたくても所有者が曖昧な場合は伐ることもできないので、こういうはっきりとした境の目印は大変ありがたいと思っています。


こうやってしっかり境も分かり、所有者も分かれば、その方の代わりに山を管理させてもらいながら、この場所の虎竹を守っていくことができます。なんてことないただの杭ですが、これが立っているだけで山主さんの山への愛着や山を大事にされている感じが伝わってきて、それだけで杭の立っている山は好きなのです。

虎竹の里も梅雨入りしました。

踏み竹の天日干し


平年より5日、去年より26日早く高知県が梅雨入りしました。そういえば去年は梅雨入りが遅く、明けるのも遅かった分、夏が長く秋が短かったような記憶があります。梅雨という時期は正直あまり好きではありませんが、1年の中でも大変印象深い時期ではあります。


梅雨時は2年前の西日本豪雨が記憶に新しいように、水害の多い時期でもあります。雨が続き、川の水量が多い時にまとまって雨が降ると、川の氾濫が起きやすくなります。消防団に所属しているのでこの時期に激しい雨が続くときには、いつも須崎市を流れる新荘川の水位をネットで確認し、水防団待機水位まであとどれくらいかを確認したり、虎竹の里を流れる川の氾濫しやすい場所を見て回ることが日課となります。


そして湿気の多いこの時期に一番気になるのが、竹材のカビです。竹はもともと水分を持っていますし、湿気も吸いやすいように思います。カビの生えやすい商品にはいつも気を配っています。梅雨時の晴れ間にはこうやって、まだ乾燥しきっていない踏み竹などは天日干ししています。


竹の害にはカビと虫がありますが、それでもいつも使っていると早期発見できて、対処することが可能です。カビはすぐ拭けば取れますし、虫は熱湯消毒してもらえれば小さな穴が開くだけで、使用には全く問題ありません。竹製品はいつもそばに置いて、使ってもらうことが長く使っていける秘訣だと思うのです。

虎竹の運搬機

虎竹の運搬機


虎竹を伐ってくれる切り子さんの高齢化により、切り子さんが減っています。以前は農家の農閑期のいい収入源という側面もあった虎竹伐採も兼業農家が増え、仕事の休みに農業をやるという人も多くなったことも原因の1つとしてありますし、色付きの虎竹が減ったり、山が荒れて山の整理をやってまでキツイ虎竹伐採をしないという人も増えました。


切り子さんがたくさんいた時には、すべての虎竹を切り子さんに伐ってもらっていたので、自分たちで虎竹を伐採するということはしていませんでした。ずいぶん以前に竹虎の山を伐ってくれていた切り子さんが休んだ2年ほどの期間、竹虎の山に入って伐ったくらいです。


そんなこともあり、伐る人が少なくなれば自分たちで伐ればいいということで、近年から竹虎も自分たちでどんどん山に入って行っています。しばらく入っていない山の整備や道の整備、これからもずっと入る山や道としてしっかりと管理していきたいと思います。


ずっと以前に竹を出していた近所の人に古い運搬機を譲ってもらいました。もう10数年は使っていないらしくエンジンは当然かかりませんでしたが、幸い中古のエンジンが見つかり乗せ換えました。この運搬機は他の人が使っているものより、ほんの少しだけ大きいような気がします。


虎竹の山は道がすぐあるという場所は少ないですし、上から竹を滑らせて下ろしていると竹に傷をつけてしまうため、ほとんどの場所でこの運搬機は欠かせません。遠い山は車で行けるところから、さらに30~40分ほど細い山道を登って行くようなところもあります。


山の整理や急な斜面での伐採だけでも大変です。それに運搬機を使っての運び出しなどを自分たちで全部やることで、社員たちが今まで以上に虎竹のプロとしての知識を学び、自覚し、そして虎竹を身近に、大事に感じてくれることも期待しての伐採です。


虎竹の伐採シーズン真っ盛りです。これからはこの運搬機に大活躍してもらえるように、山の整備や道の整備、そして虎竹の伐採に頑張らねばと思うのです。

草刈りと竹切り

山道,虎竹の里,高知県須崎市安和


先日、虎竹の里の草刈りが行われました。安和青壮年会では年に2回、安和駅、安和交流会館、安和小学校、放棄畑や小学生がお米を作っているあわたんなどの草刈りをしています。自分たちの地域で出来ることは自分たちでやろうという取り組みで、当たり前のようにみんなが集まって自主的に草刈りをしています。


特に安和駅は海岸が真下に見える綺麗な駅で、地域の人にとって言葉には出しませんが、この地域の自慢できる、それぞれの想いのある大切な場所です。自分にとっても高校生のころにはこの景色を見ながら毎朝通学した思い出深い場所となっています。


春と秋にこの草刈りは行われますが、秋の草刈りのあとには竹の伐採があります。これは安和天満宮の秋の大祭での竹練りという踊りに使用する竹を伐採するためです。花取りを教える郷土芸能保存会や神役などもありますが、天満宮の大祭の行事の段取りは主に青壮年会に任されています。


1年に1回、神様が御旅所まで出ていきますが、その道を竹を割りながら清めていく竹練り踊りやそれを警護する天狗役など、神事に欠かせないものを受け持っています。前日の祭りのふれ太鼓や、提灯設営、当日の出店なども青壮年会の役目です。


安和で生まれ育った子どもはほとんどが花取りや竹練りを経験します。そのことで天満宮のことを知り、地域の大人を知り、自分たちがやらないといけないことを知ります。そして大人になったら今度はそれを子どもたちに伝えていくという役目があります。そのおかげでこんなに小さい地域でもなんとか人が集まり、続けられているように思います。


竹練りの竹も自分たちで切ることで、日本唯一ここでしかない虎竹があることを直に知り、山に入り、伐り方を学べます。そんな経験が若い人たちの心の中に少しでも残れば嬉しいなと思います。そしてこの大好きな地域のために一緒に動く仲間がいて、その中で自分も何かできるということは幸せなことだと思うのです。


山道,虎竹の里,高知県須崎市安和

山道の整備

山道,虎竹の里,高知県須崎市安和


虎竹の伐採時期を控え、山道の草刈りを行っています。山といっても一般の土地のように細かく分けられていて、それぞれに土地の所有者がいます。宅地のようにはっきりとした境界はなく、谷川や目印となる木を植えてそれを境界としていることが多いです。


竹虎の土地も一方は谷、もう一方には木を真っすぐに植えて境界としています。この境界を知っているのも自分以外には、以前にこの山の虎竹を伐ってくれていた切り子さんくらいしか知りません。竹虎の山でさえ、それくらいの認知度ですので、他の山主さんの境界も山主さん以外ははっきりとわからないことが多いようです。


以前はこの山の山主さんも元気で、数人が切り子さんとして虎竹の伐採をしていましたので、焼坂地主会という会を作って毎年この山の所有者で草刈りや道の整備をしていました。山主さんの高齢化に伴い焼坂地主会も解散し、数年前から竹虎で山道の整備をさせてもっています。


舗装された道ではないため、台風や大雨などでどうしても道が崩れたり、削れたりするため、2年に一度は重機をいれた整備を行います。その重機をいれるための下準備がこの草刈りです。


自分たちが毎年虎竹を取りに通うこの道を自分たちで整備することは当たり前のことなのですが、以前までは誰が整備してくれているのかさえ考えずに当たり前に整備された道を通っていた社員や職人にこの作業をやってもらいます。


仕事は増えますが、実際に自分たちでやることでいろんなことに気づき、考えるいいきっかけになります。虎竹を知ることはこっから始まっているのです。

職人の小夏

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長いGWが終わり、休み明け初日に竹虎工場の職人が自分の山で作っている小夏を持って来てくれました。小夏は5月頃に収穫時期を迎える柑橘系の食べ物で、大きさは温州みかんほどの大きさです。小夏が出回ると夏が近づいていると感じさせてくれる果物です。


身は酸味がきついのですがナイフで白皮を少し残してむくと、ほんのりと甘く、冷やして食べると非常においしい夏の果物という印象です。こうして書いているだけで小夏の味を思い出し、口の中が少し酸っぱくなるほど、自分たちにはとても身近にあり、よく食べる果実のひとつではないかと思います。


仕事が休みの週末だけの世話で、無農薬ですので決して見てくれはよくありませんが、普段は無口な職人がみんなに食べてもらおうと持ってきてくれる気持ちが嬉しい。ゴールデンウィーク明けには休みの間にあちこちに行っていたとの報告と共にお土産のお菓子を机の上に置いてくれている社員さんもいます。


毎日、当たり前のように出社して仕事をしてくれる社員さんがいます。野菜を黙って自分のトラックに乗せてくれる人、魚が釣れたと持ってきてれる人、貝を取ってきたからと飲みに誘ってくれる人、使わなくなった運搬機をくれる人など、ありがたいことにわまりにはたくさんの与え、支えてれる方々がいます。


与えられるばかりではなく、与えられるように、そしてすべてのものにいつも感謝の念を忘れず、謙虚に、おかげさまの気持ちで日々を過ごしたいと改めて考えさせてくれた小夏となりました。

今年の営業もあと2日となりました。

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竹虎の年内の業務も残すところあと2日となりました。一年間の汚れを落とすために店舗、配送場の外装や窓ガラスを掃除してもらっています。いつも当たり前のようにある、この店舗や配送場があるおげで毎日お客様をお迎えでき、注文いただいた商品を発送することができます。


わかっているつもりですが、感謝の気持ちが疎かになっている時がよくあります。毎朝出社すると神棚に手を合わせ、「よろしくお願いします」とは言いますが、帰りに「ありがとうございました」というのはたびたび忘れて帰ってしまっています。以前はできていたことができなくなっているのは本気でそう思えていないからだと思います。


それは竹虎に来てくれている社員さんたちに対しても言えることです。いつも支えてもらい、助けてもらっているおかげでこの一年もなんとかやってこれました。毎日来てくれてありがとうという気持ちはいつも感じていますし、伝えているつもりです。


しかし時にはその気持ちを忘れて接してしまったり、狭い自分の尺度で見て判断することが多かったのではないかと反省をしています。年末に向け、竹虎工場内を掃除、整理しながら、自分の気持ちもしっかりと整理整頓し、来年に向けて少しでも向上できればいいなと思うのです。

焼坂の整備

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虎竹の伐採シーズンに合わせて、焼坂の山道整備を行いました。今年は集中豪雨が多く、また短時間に集中して雨が降ることが多かったために谷を流れる水が山道に溢れた箇所もあり、例年以上に山道が荒れたと感じます。


イノシシや鹿などがエサを求めて山の斜面や山道を掘り返しているのも、もう一つの原因としてあるように思います。山の斜面から土が落ち、道は掘り返されて所々盛り上がっています。そのため踏み固められた道が柔らかくなり、山道を流れる水で掘れていきます。


困ったことではありますが、この山にこうして車の通れる道があることだけでもありがたいことで、おかげで山の頂上付近までトラックを乗り入れられ、虎竹を伐採し、運び出せることができます。車の乗り入れのできない遠い山からはワイヤーを張って、そのワイヤーを伝って竹を下ろしていた時期もありました。


一般の道路は綺麗に舗装されており、どこにでも車で行くことができるのが当たり前のように思っています。しかしそれは誰かが整備し、管理してくれているおかげでもあります。道が悪くなったとはいえ、そこに道があることに感謝し、大事に整備をしながら、この山道を大切に使っていきたいと思うのです。