新しい天然藍染の国産焼き磨きの女桐下駄

天然藍染の国産焼き磨きの女桐下駄


女性用の桐下駄が出来あがってきた。焼き磨きで仕上げられた下駄は、どうやって作るかと言うと、まず桐材をバーナーで焼いて焦げ目をつける。真っ黒くなった木肌を、今度は機械を使って丁寧に磨いていく。そうすると木目が浮かび上がり、光沢のある美しい下駄に仕上がるのだ。


国産桐下駄


近年は下駄というと、海外で製造されたものも多いのではないかと思うけれど、軽くて肌触りのよい桐材を使ったこの下駄は国産で作られている。


天然藍染の国産焼き磨きの女桐下駄


天然藍染の国産焼き磨きの女桐下駄


下駄は夏の浴衣にあわせて履いたりされる方がほとんどで、日頃は鼻緒の履物はあまり履き慣れないと思う。そんな若い方々には、足のホールド感のよい幅の広い鼻緒をオススメしている。


天然藍染の国産焼き磨きの女桐下駄


高知のお隣、徳島県藍住町には代々続く藍農家さんがある。その中でも、白花小上粉と言う品種にこだわって十九代続く佐藤家での仕事には感銘を受けた。そして、そこで出来たスクモを使って藍染される職人さんが又スゴイ。鼻緒の生地は、こうして染められたもの、藍染の事をよく耳にするものの実際はどんな風に職人の手が加えられているのか?ウェブサイトを見るとお分かり頂けます。



天然藍染鼻緒の国産磨き桐下駄

天然藍染め国産焼磨き男桐下駄


素足に下駄が良い季節になってきた。コロナ禍で中止になったり、規模を縮小したりしていた夏祭りも今年あたりからようやく全面的に再開されると皆さん心待ちされているのでないだろうか。やはり、日本の夏は浴衣に下駄で夕涼みしたいものだ、そこで竹虎も天然藍染鼻緒を新調して国産磨き桐下駄をリニューアルした。


天然藍染鼻緒


そもそも天然藍染を鼻緒に使うようになったのは、もう十数年前にもなるのだがお隣の徳島県藍住町で十九代目という藍師の方との出会いからだった。ずっとこの地で藍生産を続けて来られているが「色素の質が違う」と言われて白花小上粉(シロバナコジョウコ)という品種にこだわっておられた。藍染は知っているが、実際にどのように作られているのか初めて見せていただき衝撃を受けたのだ。


吉野川


しかも、その藍染の歴史には、この30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」に護岸用の真竹の話題で、何度か登場する吉野川が深く関わっていると知って更に興味が沸いたのだ。藍農家さんから、染め師の技までは藍染下駄のページに詳しく掲載しているので是非ご覧ください。


天然藍染め国産焼磨き男桐下駄


こだわりの天然藍染鼻緒を取り付けた国産桐下駄の履き心地の良さのひとつは、この曲線にある。


男下駄


そして、桐材を一度焼いてから磨き上げる技法によって足入れが非常にスムーズなのだ。


天然藍染め国産焼磨き男桐下駄


藍染の作務衣には当然良く似合っている。


天然藍染め国産焼磨き男桐下駄、竹虎四代目(山岸義浩)


桐材は軽さと柔らかさ、そして適度に湿気を吸う事から下駄としても適材で昔から多用されている。鼻緒の履物が慣れない方も、太めの鼻緒だから歩きやすいと思う。鼻緒の生地にここまで思いを入れなくてもと思われるかも知れないが、あの歴史ある藍農家さんの生産現場を拝見すると、こうなってしまう。



鼻緒職人の秘技!?極太鼻緒をすげて八割BLACKが完成

 
八割BLACK、下駄


夏はカランコロンと素足に下駄で音を鳴らして歩きたいものです。近年は新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)によって全国各地のお祭りも開催されない事が多いようですが、今年こそは花火や縁日を楽しめるようにと願っています。でも、この八割BLACKはそんじょそこらの下駄とは違います(笑)、下駄の台部分にご注目いただけきたのですけれど、実は桐材部分に切れ目が入っていてソフトな履き心地が大人気なのです。だから浴衣に合わせてというよりも、ジーンズなど普段履きにされる方が多い下駄です。


鼻緒職人の道具


別に新しい下駄ではなくて、昭和の時代には動きやすい事から仕事場で使っていたと言う本当に普通の履物のひとつでした。令和になっても皆様にご愛用いただきたいので、竹虎では特注で極太鼻緒を製作して専用にすげています。鼻緒の履物に慣れない若い皆様が足が痛くなるとのお声をいただくからです、ところが、実は極太ゆえに少し苦労している事があります。


下駄に鼻緒付け作業


それが鼻緒の取り付けなのです。竹皮をしっかり張り付けた下駄台にすげる鼻緒が特別太いので鼻緒職人さんは大変だと話します。そこで鼻緒職人さんが編み出した秘技がこの太い竹串!


八割BLACK、下駄


お手製の太い竹串を、鼻緒が通る穴に突き刺して型が付くまで置いておきます。こんなちょっとした、ひと工夫が仕事の効率を良くして、とどのつまりは歩きやすい鼻緒すげにつながります。




竹皮下駄の理由

 
竹皮下駄


この緻密な編み込みをご覧ください、素材は竹皮。竹皮と言っても良くご存じない方がおられますが、筍の皮の事です。室内履きに愛用していた竹皮草履を外履きにするのにEVAスポンジ底を貼り付けたスリッパを作った後、竹皮下駄にしたいと思って特別な竹皮編みをお願いしました。


竹皮下駄


竹皮草履は職人の手編みのまま愛用できますし、EVAスポンジはある程度竹皮編みの形を整えていればスポンジ部分を竹皮に合わせて削りだします。ところが下駄となると木製の台を削るわけにはいかないので、台に合わせた竹皮編みが必要となります。腕の良い職人の竹皮編みでしか製作できないのは、こういう理由なのです。


筍から竹へ、竹皮


今年も筍が伸びる季節がやってきます。1日に1メートル以上も成長する事のある竹林は、まさにダイナミック、毎日景色が変わるように感じます。


竹皮


竹皮女下駄


大きくなっていく過程で脱ぎ落していく竹皮は抗菌性があり昔からオニギリを包んでお弁当にしていました、肉屋でも最高級のブランド牛は竹皮で包装されています。編み込めば足当たりの心地よいこんな素敵な履物になるので竹は、つくづく万能選手だと思います。




虎竹右近下駄の修理

虎竹下駄

 
昨日は山葡萄手提げ籠バッグの修理のお話しでしたが、手直しするのは他にも色々とあります。たとえばこの虎竹右近下駄、四角に切り取った虎竹を美しく並べた台部分が傷むことはないものの底がチビてしまいます。あまり下駄を履く機会が少ないと思いますので履き心地についてもご存知ない方が増えたように思いますけれど、桐の歯下駄などお使いいただくと柔らかい材質が歩きやすい反面、意外に歯部分が早くチビていくものです。


虎竹右近下駄


虎竹右近下駄も桐材ですので底の減りは早く、しかもご愛用いただくお客様の歩き方のクセによりチビ方は様々です。そこで修理にお預かりさせて頂くと底部分を均一になるように一旦すべて削り直します。新品の下駄と比べると、このように台部分が薄くなっているのがお分かりいただけます。


虎竹下駄の色合い


それにしても使い込まれた虎竹の色合いというのは良いものです。右側の新しい虎竹に比べ飴色のような深みのある風合いに変わっています。こうなってくると新しい下駄というより「手直しして使えるものならそうしたい」自然とそんな気持ちになってきます。自分も下駄は使用頻度は高くありませんので、30年以上使っているものが3足、4足あります。思えば安価な履物です。




八割下駄に特大ブラック鼻緒付

八割下駄


下駄の中でも「八割」は異色です。一時は姿を消していたもののソフトな履き心地を若い方々に支持いただいて人気となっているのです。


八割雪駄製造


履き心地の柔らかさは底材に入った切れ目から生み出されます。下駄は一枚の板で作られますのでカランコロンと音も良いのですが、どうしても硬めに感じてしまうようです。それこそが下駄の良さとも言えますが、やはりスニーカーしか履いたことがなくて慣れていないと確かに長時間は歩けないかも知れません。


八割下駄


その点、しなかやに曲がる八割は足のへの負担も少なく歩きやすい事は間違いありません。鼻緒の履物を敬遠される方も増えていますので、初めての方にはオススメしやすいアイテムです。


竹下駄の色々

虎竹右近下駄


虎竹下駄は、特産の虎竹を正四角形に切り取って下駄表に貼り付けた職人技を感じさせてくれる逸品。本当に履くのがもったいなくなるような美しい出来映えで、何度も何度も手で撫でてから、ようやく足を入れて外に一歩また一歩と踏み出した覚えがあるのです。


竹皮男下駄


竹皮下駄も別段何という事がないように見えますが、実はこの下駄表に使える竹皮編みは特別腕のよい熟練の職人だけなのです。機械で成型する竹皮ではありません、手編みだけで下駄の台と同じ形に仕上げられる技術は長いキャリアと鍛錬の賜と言えます。


竹下駄


いずれにせよ竹下駄はそれぞれ手間暇かかったものが多く、消耗品というにはもったいないものばかりです。下駄を履くシーンは多くはありませんが革靴などでもカカトを張り替えて長く愛用できるように、竹下駄も底のスポンジ部分をやり替えて長く愛用いただきたと思っています。


八割れ下駄、二つのこだわり

八割BLACK下駄、竹虎


いよいよ鼻緒の履き物が気持ちの良い季節になってきて毎日出来る限り素足で過ごしたいと思っているのです。竹皮スリッパを初めとして竹皮下駄、虎竹下駄、ちょいワル雪駄まで色々と鼻緒の履き物は沢山持ってはいるのですが玄関までやってきて上履きの竹皮草履を脱いで、いざ外履きに履き替えるとなりましたら、ついつい足が選んでしまうのが、この八割BLACK下駄ながです。


歯下駄や右近下駄など竹皮の台であったり、竹貼りであったりですから足裏への感触が最高ですが、どうしても普通の靴のようには歩けません。けんど、このような下駄でしか見ることの出来ない風景もありますので自分の場合は、どちらかと言うと休日の日や少しゆったりできる時に履くようにしています。そうそう思い出しましたがパリに行った時の事、もう二度と行く事もないと思うて街を竹皮男下駄(歯下駄)で歩きたくて持参しちょりました。ところが歩いてみると石畳の多い街です、足元が不安定で少し歩きづらくやはりその場所ににあった履き物があるのだと思うたものです。


その点、八割BLACK下駄は普通の右近下駄と同じように桐素材の台でありながら八割の言われもとなっています切り込みが入っていて履き心地が木製の下駄と思えないようにソフトながぜよ。あの石畳の道も難なく歩けたのではないかと思いますが、鼻緒の下駄の良い所と、運動靴の歩きやすさという良い面と、両方の良い所取りをした履き物ながです。


八割BLACK下駄、極太鼻緒


昭和の古い時代は良く履かれていた履き物ですので、熟練の職人さんの中には懐かしまれる方もおられますが、この八割には、いつくか自分のこだわりもありますぞね。そのひとつは「BLACK」と名付け事になった黒染めの竹皮。白っぽい竹皮の色合いを落ち着いた黒色にする事で焼き磨きした桐台とも相性よくマッチして全体的に渋い雰囲気になっちゅうのです。


そして、もうひとつのこだわりが極太の鼻緒ながです。竹皮の色合いに合わせて黒一色のご用意しかない鼻緒ですが、この八割BLACKのために専用に仕立てた鼻緒ながです。最近の若い方を中心に鼻緒の履き物に不慣れな方も多くなりました、実は下駄を履くと足が痛いというお声を頂く事も多いので、せっかくソフトな履き心地で多くの方に馴染みやすい、この八割は少しでも快適にご愛用いただきたいと特別に製作する事にしたがです。


アケビ下駄

あけび下駄


下駄は高さのある歯下駄か、右近下駄か形が比較的シンプルなものです。素材が桐だったり杉だったり、あるいは仕上げで白木とか焼き磨きとか、ある程度の違いはあるものの、それほどの違いがあるわけではありません。けんど、下駄の表、つまり足をのせる部分には、まっこと色々な加工がされ少しでも履きやすいようにと、職人さんが試行錯誤されてきた生活道具ながやにゃあと思うがです。


竹虎で言うたら、もちろん真っ先に日本唯一の虎竹を張り付けた虎竹下駄や、熟練の竹皮職人さんに台に合わせて編み込んでもらった竹皮下駄などが思いうかびます。また、八割(やつわれ)と呼ばれる底の台に切れ目が入っちょって、それぞれのパーツに別れた形でソフトな歩き心地の下駄など昔の逸品を復刻させて、より歩きやすくしたものもあるがです。下駄の台には別の素材を張り付けるという他に、彫りを入れた下駄なども見かけた事がありますし、もう随分前の事ですけんど青森の職人さんに東北弁で寒い地方の手仕事について色々教えてもらった時に、山葡萄のツルをしっかり編み込んであしらった下駄を履かれていて、ええっ!?と驚いた事がありますぜよ。


そして、またこれも珍しいものではないかと思いますが、アケビ蔓を使うた下駄を拝見させてもらいましたぞね。アケビ細工と言うたら手提げ籠をまず思い出される方が多いのではないろうか?手提げ籠に良く使われちゅう蔓よりも細く、編み込みは緻密です。女性用しかないものですき履き心地を想像してみるがですが、足裏に細やかな蔓の刺激があって特に夏は最高ですろう。山葡萄の下駄といい、アケビの下駄といい、こんな個性派の下駄は、好きな方にはたまらないモノながです。


漆仕上げの虎竹下駄

虎竹下駄


鼻緒の履物を履く事が多いですけんど、どれもこれも竹ばっかり。よくよく考えたら普通の下駄や雪駄やスリッパはないがぜよ。竹や竹皮で作られた履物しか履きよりませんが、そんな中でもピカリと光る渋さの虎竹下駄。


漆で仕上げられちゅう独特の雰囲気。どんな鼻緒が似合うろうか?下駄の季節は過ぎちょりますので来年のシーズンまでにじっくり合わせてみろうちや、そう思うて傍らに置いたままになっちゅうがです。


履物は、その宿命でもありますけんど、気に入って使うたら使うほど底がちびてきます。下駄箱にはそうやって履けなくなったものがありますけんど、これが愛着が湧いて来てしもうて捨てられないがです。この虎竹下駄も履けなくなったとしても、一生手元におってくれますろう。竹の下駄には、そういう所がありますぞね。