年末にお届けした別注袖垣

白竹玉袖垣


毎年、年末に向けては庭垣、袖垣などのご注文が多くなる時期ながです。ご注文頂きましたお客様にはこの新年、お庭もスッキリされて気持ちのよいお正月をゆっくりと過ごされゆうのではないかと思うちょります。ご注文が多くなると言いましたが、特に増えるのが特別注文の竹垣、袖垣や枝折り戸なのです。


お客様の好みに合わせて少しだけデザインを変えたり、サイズを変えるという事だけでも当然ですけんど一からの製造という事なりますので、国内製造をわずかながらも続けゆう竹虎の出番ながです。袖垣については特産の虎竹で作らせていただく事が多いものの、白竹も昔からの定番ですので根強い人気があります。


おっと、そう言うたら、そもそも袖垣をどう使うとか、どこに設置するものだとか、あまりご存じない方も多いかも知れませんちや。実は、袖垣は庭のちょっとした目隠しや間仕切りに使われる事が多いものなのですが、今回の白竹玉袖垣は全面が格子になっちゅうきに、目隠しの役目にならないのでは?そんな風に思われる方もおられるかも知れません。


けんど、こんな袖垣をたとえば少し置いたら、この垣に視線が集まってしっかり目隠しの役割を果たしますぞね。こんな大きなサイズの立派な袖垣が、高知から山を越え、瀬戸内の海を越えて、日本のどこかで、誰かの目を楽しませる事ができゆうがですろう。今年も、そうやってお役に立てる事を、


一つ、一つ、


一つ、一つ、やっていくがです。


玉袖垣のカーブ

玉袖垣


竹垣には、それこそ数十メートルもある長い物があるがです。建仁寺垣という代表的な竹垣がありますけんど、京都の建仁寺に作られたことから、この名前が付いたそうです。実は他にも光悦寺垣、龍安寺垣など「寺」と付いた竹垣があります。広い敷地の目隠しに使われますので長さも必要とされますぞね。


けんど、そんな竹垣とは別に袖垣と呼ばれる垣は玄関脇や庭の目隠しなどに設置するもので、幅は60~75センチくらいの物が主流で大きい物でも90センチくらいまでながです。分かりやすいようにセンチで言いましたが、実際は2尺、2.5尺、3尺というサイズで呼ばれます。実は形も、高さなども様々。まっことバラエティーに富んだ袖垣があるがですが、竹虎で製造する袖垣を大別すると片方が丸くなった「玉袖垣」と両方とも真っ直ぐの柱の「角袖垣」この二つに分かれちょります。


さて、虎竹玉袖垣をご存じない方が見られたら太い虎竹をそのまま使うて造られちゅうように思われますけんど、実は、孟宗竹で袖垣の芯になる部分を作ってその上を細く割った虎竹で芯を隠すように巻いているのです。ただの一本の竹を使っているワケではないのでとても丈夫。庭で太陽や雨風に当たっても少々の事ではへこたれないタフな作りとなっています。


玉袖垣は片方が丸く曲がっちゅうと言いましたが、中の芯の部分の孟宗竹を、どう曲げているかと言うと竹に三角形の切り込みを入れ、このように自然なカーブが出るようにしちょります。何という事ではないけんど製品に仕上げてしまったら外からは見ることの出来ないこれも、竹屋のちっくとした技の一つですちや。


古い枝折り戸

白竹枝折り戸


枝折り戸という庭で使う簡単な竹製の扉をご存じですろうか?普通のご家庭ではあまり使うことがないかも知れません。ただ、好きな方ですとマンション等でもご愛用される方もおられますちや。ベランダにズラリと並べて花やツルものの植物をからませて楽しまれたり、お庭では柱を立てて縛り付けて、ちょっとした間仕切りや飾りにされるなど、色々な使われ方をしちょりますが、本来の使い方は出入りの戸ながです。


出たり、入ったりしますのでの自由に動く可動部分が必要です。可動部分と言うますと、まず蝶番など思いうかべられる方が多いですが、竹はご存じのように中が空洞で釘が効きません。なので、先の割れた特別なピンを使います。そのまま打ち込むと竹が割れてしまいますので、まず竹に穴をあけ割りピンを差し込み、反対側で先の割れを開いて固定するがです。


ヒジツボ


この金具はヒジツボと呼びよりますが、オス、メスがあって、オスはL字型になった釘状のものですのでこれを焼き柱に打ち込み、メスのヒジツボを上からのせて可動させます。


それにしたち、年期がはいってサビついたヒジツボですちや。竹は青々としていたり、白竹でも晒したばかりの美しい白さという出来たての新品のうちはもちろん清々しくて大好きですけんど、こうやって古くなってきてからは、更に味わいが深まります。ヒジツボのサビまでも、なにやら風合いの良さを感じてしまいますぞね。


杉皮の門セット

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竹細工は竹籠竹ざる等、室内で使うものばっかりではなくて、庭園用としても竹は多用されちょります。竹の垣根には建仁寺垣や四つ目垣、御簾垣など、実に様々な種類の庭垣がありますし、玄関脇などにしつらえる袖垣、庭の出入り口の枝折り戸、縁台そして、かなり大がかりな作りになるのが門セットぞね。


何枚も杉皮を重ねて仕上げていき、屋根の上にも内側にも虎竹の押さえ竹が入り、亀の甲羅のような形をした亀甲竹という銘竹を飾りに使うがです。かなりの重量になる、この屋根を太い2本の焼き丸太の上にのせて、焼き戸を取り付けたら完成。真新しい門セットは、ピンと背筋が伸びるようで、何とも格好のエイもんですけんど、これが数年たってから杉皮にコケが生え、草が伸びたりするようになったらまた違う魅力が出てきて、それはそれで風格がでて格好がエイがです。風合いのが深まってくるというのは竹籠や竹ざると、まっこと同じやにゃあ。


別注の枝折り戸

別注枝折り戸


枝折り戸と書いて「しおりど」と読むがです。裏庭などの入り口に、控えめではあるものの、しっかり境界線を引く。そんな役割を持っている門戸のひとつだと思います。ワシは縁側が大好きやったです。小さい頃、日当たりのよいここで遊びよったら、近所のおばちゃんやら、おんちゃんがやって来る。郵便配達のお兄さんが声をかけてくれる。


まっこと、日本の庭の良さというのは、この風通しの良さですきに。先日の竹サミットで話しを聞かせていただいたC・W・ニコルさんも森の風通しの事を何度も言われよりましたが、生け垣、竹垣など自分の空間を確保しながらも、他の人を拒むことない通気性のよい日本の暮らしは素晴らしいと思うがです。枝折り戸も、まさにそんな日本の文化の現れですが、最近は製造されている職人さんも竹屋さんもめっきり少なくなってきたがやろうか?遠い町からの別誂えのご注文があるだびに嬉しさもあるがですが、ほんのびっくと(少しの)寂しさも感じることがあるがです。


穂垣

竹


竹は、こじゃんとエイですぞね。1本の竹を伐ったら無駄にするところがないがやき。竹の桿、竹の枝、竹の葉、竹の根。使おうと思うたら、どこでも使えるがです。主に使うのは桿の部分。割ってヒゴにしたり、丸竹のまま使用したり、ご存じのように色々な竹細工や竹製品に製造できます。竹炭竹酢液にするのもこの部分やき竹の葉も竹虎では虎竹茶にしっかり使います。それでなくても近くの方や職人さんは家庭菜園用によく持ち帰って畑に使いよりました。竹の根もバックの持ち手やら、カトラリーなど使うことができますぞね。


穂垣


そして、竹の枝の部分、枝の部分は山で竹を伐採して山だしする際には邪魔になるのでその場で枝打ちしてきますけんど、後でその枝を全部集めてくるがです。細い竹の枝やきに繊細な細工に使えるがですが、主に使用されるのが庭垣やにゃあ。竹虎で製造しゆう袖垣にも飾りとして多用しちょりますし、枝垣というて、この竹の枝だけで作りあげる垣もあるがです。


木製の物や石垣などと違うて風通しが良い上に手軽な素材で目隠しの効果も高いですき穂垣などという長いものやったら数十メートルもあるような竹の枝でしつらえた竹垣もたまに見ることができますぞね。竹が、こじゃんとエイ言うのが分かりますろう?


虎竹建仁寺垣

虎竹建仁寺垣


ドドーンと大迫力の虎模様が並びます。虎竹は淡竹(はちく)の仲間なのですが近年は太い竹が少なくなってきました。白竹建仁寺垣は太い孟宗竹や原料やき直径も太くて身も厚いきに、一枚の板のような竹材をとる事ができるがですが虎竹はそうはイカンがです。このような竹垣も半割の虎竹を使うようになっちょります。


それにしたち、これだけの長さになったらやっぱり壮観ぜよ。十数メートルの長さの竹垣でも焼柱のところで継げるように加工されちゅうので、いつくものパーツでお客様の現場までお送りすることができるがです。前に京都の町を歩きよって当社からお届けさせてもろうた犬矢来にバッタリでくわして、まっこと嬉しい事がありましたけんど、この竹垣もいつか、どこかで会うことができるろうか?

女竹

女竹


まっこと偶然やけんど、車を停めたら、目の前に何やら良さげな竹垣がずっと続いちゃあるきに、へんしも(早く)見にいってみろう、思うて来てきたら、ありゃあ、こりゃあ、珍しいよ。女竹(メンチク)をズラリとならべちゃある。メンチク言われても、どんな竹やろうか?思われるかも知れませんけんど、ボールペンらあよりびっくと太いばあな細さの竹で、川辺らあに良く生えちょります。


以前は四万十川上流域あたりまで、トラックで何台も集めに回らんとイカンばあ、全国あちこちから注文がありよりました。出荷量も結構ありましたきに、細かい細工用というよりも、壁竹やら、こんな竹垣用に使われちょったがやにゃあ。幅広に割った竹やら黒竹で、竹垣を作ることはありますけんど、女竹を使うち、この辺りでは、よう生えちょってから手に入りやすがやろうか?まっこと、竹垣ひとつ取ったち、それぞれ素材、形に特徴があって面白いがぜよ。


竹のある庭

竹のある庭


「まっこと、なかなか見違えたちや。」玄関から入ってきてから、奥まった裏庭につづく通路やったところが、室外機やら、何やら、きれいに片づけちょいてから、虎竹をあしろうて、袖垣を取り付け、つくばいらあ置いたら、ちょっとした癒しの空間になってから緑もよう映えるが違う。春、夏、秋、冬。四季折々の自然を感じて、びっくと豊かな気持ちになる。365日、毎日の事やあきに、まっこと、良いがぜよ。


土佐の一本釣りの町で

建仁寺垣


漫画家やった故・青柳祐介さんの代表作のひとつ、「土佐の一本釣り」あの漫画はよかったちや。まっこと、よかったぜよ。何回、泣いたかわらん、何回も何回も読みかえしても、やっぱり、泣ける。げに、エイ漫画やったです。その物語の舞台となっちゃある中土佐町久礼の港町は、虎竹の里から車やったら、7~8分いうところやろうか?太平洋をのぞむ海岸は、みんなあの憩いのスポットになっちゅうけんど、そこな、トイレの、目隠しの竹垣を施工させてもろうたがです。


建仁寺垣いうて、幅を揃えた白竹を壁のようにギッチリ並べちょります。出来上がったばっかりは、もちろん綺麗やけんど、これが、月日を経てくると、竹の落ち着いた風合いが、また、エイがぜよ~。まっこと、まっこと(本当)。