虎竹名刺入れ、持たないでどうする

虎竹名刺入れ


先日、自分にはあまり似合わないお洒落なカフェに入って財布を取り出したら、「ああっ!あの竹ですね!」と店員さんが口を大きく開けて驚いてくれた。そこまでビックリしないだろうと思いながらも、嬉しい。一日ハッピーな気持ちで過ごす事ができた。そんな虎竹シリーズで一番人気は、やはり虎竹名刺入れだ。


虎竹名刺入れ原版


そして、これが虎竹名刺入れの原版と呼んでいる加工前の部材である。精密に切断された虎竹を丁寧に生地に貼り付けてあり、これから革細工の工程に進んでいく。それにしても数十単位で作られたものを並べてみたのだけれど、すでにこの段階で美しい。


虎竹名刺入れ原版


横から見ていただくと、竹ヒゴがカマボコ状になっていて、手触りが良い事がお分かりいただける。模様のように見えているボツボツは維管束と言う竹の繊維で、表皮に近いほど密になっていて強度が高い。つまり、虎竹名刺入れは使い手に優しく、竹本来の堅牢さを持っているという事だ。


虎竹名刺入れ


竹は松竹梅の中にあって縁起がよく、何より神秘的な成長力から古来大事にされてきた素材。そして、虎は千里行って千里帰ると言うほどの勢いがあるたとえなので、バイタリティあふれる方にはピッタリだと思う。「世に生を得るは事を成すにあり」土佐高知の英雄、坂本龍馬のような事を話すあなたが持たないで、どうする。



竹アクセサリーの思い出

竹ブローチお客様の声


お客様から竹ブローチ(結び)への嬉しいおハガキをいただいた。小学校の頃にお母様からプレゼントされて60年愛用されているなんて、涙が出る。


竹ペンダント


今回、お届けさせていただいた結びの竹アクセサリーは、あの頃とデザインも作りも全く変わらないそのままだ。


竹イヤリング


お客様もまだ小さくて、もしかしたら覚えておられないかも知れないが、実はあの頃には竹で編まれたアクセサリーはブローチだけでなくイヤリングやネックレスなど、色とりどりで本当に何でもあるかのように思えるほどだった。


竹アクセサリー


虎竹髪かざり


竹編みや色合いまで上手に描がいて頂いた絵を拝見するだけで、小さな竹細工への思いの深さが伝わってくる。本当に竹の仕事は素晴らしい、楽しいと思える瞬間でもある。





50年愛用する竹の物差し

50年愛用する竹虎四代目(山岸義浩)の竹物差し


この物差しを50年以上手元に置いて使っている。は真っ直ぐで、安定性抜群、軽くて手触りが最高、さらに竹肌の色合いが飴色に深まり何とも言えない、惚れ惚れしてしまう。


50年愛用する竹虎四代目(山岸義浩)の竹物差し


持ち物には名前を書きなさいと教わっていた、素直なので言われた通りに名前を書いている。一生懸命に出来るだけ丁寧に書いたのが文字から伝わってくる、あの純朴な少年は一体どこに行ったのだろうか?


竹物差し


裏にマグネットが付いていて、黒板に貼り付けられるようになった大型の物差しを教室で見た事があると思う。これも竹で作られている。


竹工場の竹差し


竹の物差しは、一般のご家庭はもちろん、職人の現場で使われている事も多い。当たり前だけれど、竹職人の仕事場には様々な竹の物差しがある、そしてそれぞれが独特の存在感を放っている。物差しがないと始まらいからだ。細い丸竹で20本もの差しを使っている職人がいたが、長短ある一本一本が格好良かった事を思い出す。





漆で仕上げた虎竹茶杓

虎竹茶杓


この30年で茶華道をされる方はかなり減ったのではないかと思う。何を隠そうお茶は続けられなかったが、華道は好きだったので数年間知り合いの先生の所に通っていた。その当時は、どちらも生徒さんも多く、結構厳しかったし熱心に取り組まれている方ばかりだったと記憶している。


虎竹茶杓(漆)


そもそも茶華道と竹とは深い関係があって、竹は多用される。竹虎の本店でも茶道、華道で使用する道具は手頃な物から作家の創作した高価な物まで沢山取り扱わせてもらっていた。


虎竹茶杓(漆)


茶杓は虎竹はもちろん、今くらいの時期に湯抜きして天日に晒した白竹でも作っていた。虎竹をガスバーナーで油抜きする事を乾式と呼んでいる、この仕事の時の香りも素晴らしいけれど、湿式と言う白竹の湯抜きで竹が放つ香りも好きだった。


虎竹茶杓


虎竹茶杓は全て漆で仕上げる事にした。自然の虎模様に深みが増すのが気に入っている。



懐かしくて新しい結びの竹ブローチ

 
竹ブローチ


竹ブローチと聞いて懐かしく思う方は多くないのかも知れません。ところが、今よりもっと竹が身近で手頃な時代には生活の中の実用品、必需品としてだけではなく、アクセサリーとしても竹細工を自然に楽しんでいたのです。


竹ブローチ


竹ブローチ


竹編みの技は昔から多々伝えられ種類も多いので、ブローチ一つにしても竹の軽さや柔軟性を遺憾なく発揮した個性的なものが沢山作られました。


竹かんざし


竹ネックレス


竹のかんざしや、少し凝ったネックレスのような装飾品まで竹で出来ないものはないと思えるほど種類があって、竹職人の創造性の高さや竹の無限の可能性を子供心に感じていたことを覚えています。


竹ハンドバッグ


そうそう、竹ビーズのハンドバックなどもありました。孟宗竹の身の厚い部分を球形や楕円など小さなビーズに削り出した物を繋いで作られていたのです。このレトロな竹細工は、自分がたまたまお伺いした古い竹工場の倉庫から45年ぶりに奇跡的に発見して皆様にご紹介させて頂いた事があります。バッグ類はすべて無くなりましたけれど竹ビーズネックレスは少し残っています。当時の古き良き日本の竹を感じていただける手掛かりにはなろうかと思っています。


竹レトロブローチ


少しづつ編まれる現代の竹ブローチは、そんな竹アクセサリーの昔と今をも結んでいます。




虎竹六ツ目編がま口財布ができました

 
虎竹六ツ目編がま口財布


がま口財布に虎竹六ツ目編みが似合っています、どちらも和のデザインだから親和性が良いようです。下半分だけに竹編みで飾るのも、まるで竹割で壁を飾る腰張りに通じるものがあって気に入りました。


虎竹六ツ目編がま口財布


試作で出来あがった虎竹六ツ目編がま口財布は6色、それぞれ限定販売して最終的には人気色を一つか二つに絞っていきたいと考えています。


虎竹六ツ目編がま口財布


虎竹六ツ目編がま口財布


しっかりした力竹が入ったり、内側の生地色も洒落ていたり、作りも丁寧ですし、若い感性で仕上げられた、ちょっと面白い竹細工ではないでしょうか。


虎竹六ツ目編がま口財布


可愛さが目を引くのか、女性の方にかなり人気です。好みの色目でワイワイできるから最強です(笑)。




一本づつ手づくりされる名人作耳かき

 
名人の耳かき


名人作の耳かきを手にして感じるのは軽さ、触り心地の良さ、ぬくもり。


名人作竹耳かき


そして、何と言っても肉厚真竹の特徴を活かした持ち手の部分の太さです。


竹耳かき


しなりの竹耳かき


竹のしなり、柔軟性を活かした首の細さと竹ならではのやさしい耳当たりの皿。


名人作竹耳かき


薄く表皮を剥いだ竹肌はすべすべつるつるです。


竹耳かき


耳かきには色々な素材のものがあるますけれど、やはり竹より優れたものはありません。




丸亀うちわ職人

 
団扇、竹虎四代目(山岸義浩)


団扇(うちわ)と言えばエアコンの普及した現代では夏祭りに手にするくらいの方もおられるかも知れません。しかし、やはり身近な夏の小道具には変わりなく目にする機会は多いと思います。一口に団扇と言っても様々でプラスチック製の物あり、竹団扇もありですが竹製の団扇はほとんどが輸入となっています。


丸亀うちわ竹骨


完成品はもちろん、竹骨の状態で海外から運ばれてきて国内で紙の部分だけ加工すれば完成するのです。ところがそれでも、安価な製品が出回る中で国産の竹にこだわり、昔ながらの伝統の製法を守り続ける団扇職人がいます。


太助灯籠


これは太助灯籠と言って香川県は丸亀港のシンボルとなっています。その昔、今のように交通機関が発達していない当時は金毘羅詣は船が中心でしたので参拝客はこの灯籠を目印に入港して来たのです。そして、丸亀団扇は、大勢のお客様でにぎわう丸亀のお土産物として全国に知名度を上げていきました。


丸亀うちわ竹骨


その伝統は続いて現在でも香川県の団扇出荷額は40%の京都を抑えて全国シェアの47%近くを占めて全国一位を誇っています。


うちわ竹骨


この団扇の本場丸亀の地で今回国産団扇にこだわる職人の技を拝見したのです。


丸亀団扇竹骨


団扇

うちわ竹骨

うちわ


現在竹虎では虎竹和紙に柿渋で仕上げた虎竹和紙渋引団扇をウェブサイトに掲載しています。これは100年経過した柿渋の美しさに憧れて製作しているものですが、もうひとつ丸竹を使った団扇を前々から復刻したかったので来夏に向かって進めていく予定です。




別注で作った5種類の竹ヘラ

竹虎四代目(山岸義浩)、竹ヘラ


竹ヘラと言えばキッチン道具とばかり思ってしまいそうですが、実は料理関係だけではありません。粘土細工や絵画に使う事もありますし、焼物作家の方が使う事もあれば、塗壁など建築関係に使用するなど色々なモノ作りにも使われます。また、化粧・メイク用や美容用としてスキンケアの際に使うジェルやクリームを塗る際に使われてたりと結構多岐にわたっています。


別注竹ヘラ


今回の竹ヘラ5種類も建設現場で使われるとの事でしたが、幅や先端部分の作りがそれぞれ異なっていますので微妙な使い分けをされているようです。


別注竹ヘラ


初めて見本をお預かりした時に、非常にしっかりした作りでしたので別の仕事をされている職人さんが手作りしたと聞いて驚きました。


別注竹ヘラ


しかし餅は餅屋と言います。これだけしっかりした竹ヘラですと、旬のよい孟宗竹が必要ですけれど何処でも一年中材料があるわけではありません。せっかくお問合せがあっても今時の竹では細工には使えなくて結局お役に立てる事はないのです。日頃から竹材を持っている強みは、こんな時に発揮されるものです。


竹ビーズネックレスでほっこりコーデ

竹ビーズネックレス


色とりどりのビーズでつながれたネックレスですが、言わなければ一体何で出来ているのか?分からない方がほとんどかと思います。実は孟宗竹で作られた竹ネックレス、しかも現代に作られたものではなく原点は60年も前にさかのぼる古い歴史のあるものなのです。かっては一世を風靡して多くの女性の胸元を飾っていた竹細工も時代と共に忘れられ今では知る人もありません。


竹ブローチ


ところが、数奇な運命とでも言いますか、たまたま訪れた工場の倉庫の片隅にホコリをかぶっているのを見つけたのでした。約45年ぶりに光を浴びた竹アクセサリーたち、竹のハンドバッグやポシェット、そして母の日にご提案しています竹ブローチなども人と竹が今よりずっと近しい関係だった頃に思いを寄せていただくには最適の品々です。