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「竹ざるから始まる、地球と私にやさしい暮らし」JR名古屋タカシマヤ・竹トークショーを終えて

JR名古屋タカシマヤ・竹トークショー、竹虎四代目(山岸義浩)


竹フェス!の孟宗竹

ジェイアール名古屋タカシマヤさんで開催させていただいたのトークショーが、無事に終了いたしました。会場となった8階のローズパティオに足を踏み入れると、そこには孟宗竹でダイナミックに設えられたディスプレイが立ち並んでいて、まさに「竹フェス!」と呼ぶにふさわしい圧巻の光景。デパートの中で、これだけの竹の設えがされるのは珍しいのではないでしょうか?催事担当の方の並々ならぬ意気込みが伝わりました。清々しい竹の香りに包まれた素晴らしい雰囲気の中、多種多様な竹製品が所狭しと並び、訪れるお客様の目を楽しませている様子に、ボクも少し興奮してきました。


JR名古屋タカシマヤ・竹フェス孟宗竹


竹ざるから始まる地球と私にやさしい暮らし

今回のテーマは、「竹ざるから始まる地球と私にやさしい暮らし」。竹が地球や環境にやさしいとは一体どういう事なのか?疑問に思われている方もいるかと思っていました。このタイトルには、竹という植物が持つ驚異的な成長スピードを、もっと多くの方に知っていただきたいという強い願いを込めています。


JR名古屋タカシマヤ・竹トークショー


驚異の天然資源としてのポテンシャル

竹の成長は、植物の中でも群を抜いています。春に顔を出した筍は、わずか3ヶ月という短期間で20メートル近い親竹へと成長します。木材が資材として活用できるまでに数十年かかるのと比べれば、その差は歴然です。この圧倒的な再生力こそが、竹が世界で「継続利用可能な唯一の天然資源」とまで称賛される理由です。一度植えれば、適切な管理のもとで永続的に収穫し続けることができる。これほど現代のサステナブルな社会に合致した素材が、他にあるでしょうか。


JR名古屋タカシマヤ・竹フェスの竹販売台


竹の国・日本

日本は小さな島国と思われているかもしれませんが、実は南北に長い世界有数の森林国です。ボクたちの暮らす高知県では84%が森林です、日本全体でも70%近くは森林という豊かな自然があり、さらに多様な気候に育まれていますから世界に1300種ある竹の仲間のうち、なんと半数近い約600種がこの日本に成育しているのです。日本に暮らす皆さんは気づかれていませんが、実は日本は世界的に見ても稀な竹の資源大国、竹の国なのです。


竹虎四代目(山岸義浩)、虎竹


日本三大有用竹

しかし、この豊かな恵みが現在の日本ではほとんど活用されないまま眠っています。日本三大有用竹と呼ばれる孟宗竹、真竹、淡竹(はちく)も、今では管理されない放置竹林となり、時には竹害などと心ないことを言われながらも、静かに人々のお役に立てる日を待ち焦がれています。


JR名古屋タカシマヤ・竹トークショー竹の経年変色


作り手と使い手の竹細工

トークショーの中でお伝えしたかった一つが、ボクが数十年来ずっと言い続けてきて、少しづつ広がってきた竹製品ならではの経年変色の素晴らしさです。竹は、手にしていただいた瞬間が完成ではありません。作り手と使い手で出来あがるものなのです。竹細工は使い込むほどに飴色に深みを増し、独特のツヤと輝きを放つようになります。その経年変色は、使い手と竹籠が共に歩んだ時間の証であり、愛着の深まりでもあります。


竹フェス!


虎竹と白竹

竹の種類によっても、その趣は全く異なります。竹虎が四代にわたって向き合い続けている、高知のわずか地域にしか成育しない不思議な模様の土佐虎斑竹(とらふだけ)。そして、清廉で凛とした気品を漂わせる白竹。同じ竹細工でも、虎竹には力強い野性味と土佐藩政時代から続く歴史の重みがあり、白竹には洗練された清潔感があります。それぞれの個性が、使う方の暮らしに異なる彩りを添えてくれるのです。


JR名古屋タカシマヤ・竹トークショー、青竹踏み


竹は山で泣いている

かつて世界的に有名で、ミスターバンブーと呼ばれた故・上田弘一郎博士は、「竹は山で泣いている」という言葉を残されました。竹は、稈はもちろん、枝、葉、根、そして筍から竹になるときに脱ぎ落とす竹皮に至るまで、無駄なものは一切ありません、すべてを有効活用できるスーパー素材です。そんな竹を使い、青竹踏みや竹串、竹楊枝、竹割箸、竹皮など、もともとは国内で沢山製造していた竹製品をふたたび日本の職人で復活したいと考えてチャレンジしています。竹など沢山あるし、割ったり切ったりするだけだろう...と、簡単そうに見えるものほど、実は現在の日本では製造が困難になっています。けれど、そんな大変な道程の延長線上に、ボクたちが地元の竹文化を繋いで皆様にご紹介している孟宗竹の竹ざるやエビラ篭があるのです。


竹フェス、竹皮


国産竹皮

日本人と数千年にわたって寄り添い、役立ち続けてきた竹が忘れられて数十年。まさにこれからの季節、竹林に行けば大量に落ちている竹皮も、そのほとんどが全く活用されることなく朽ちています。おにぎりを包むだけで、殺菌効果や絶妙な通気性でお弁当が格別に美味しくなる竹皮。若いお母さま方にも、魅力を思い出していただきたくて今回のトークショーには数枚持参いたしました。触った感じは硬そうに見えるものの、水に浸すとまるで柔らかい革のようなしなやかさです。竹と同じく縦に繊維が通っていて、細く裂きやすいので最後にお弁当を縛る紐にもなるスグレモノです。


竹フェス、竹虎


いつ、誰が、どこで、どんな竹で、どうやって作る?

いつのことだったか、あるお店で輸入の竹籠に大きく「国産」と書かれて販売されているのを目にしたことがあります。お客様は、まさか海外の竹だと思わずに購入されますから、それを持ち帰り使って耐久性が低ければ「日本の竹も大したことはない」と評価を下げてしまいます。お店で販売する方が、がそれを海外製品だと知らず悪気なく接客されていたりして、更に深刻だと感じています。もちろん、海外の竹製品が悪いわけではありません。特に近年では安価で素晴らしいものも多く、日本人向けに研究され開発された籠もありますし、世界的に竹が見直されていることを肌で感じて嬉しくも思います。ただ、大切なのは竹に関わる全ての人が、もっと竹に関心を寄せ、竹を知り、竹を愛すことです。日本の竹の未来を心配される声を耳にすることもありますけれど、そうすれば日本の竹の明日は明るいと思います。


JR名古屋タカシマヤ・竹トークショー、竹虎四代目(山岸義浩)


「No Bamboo No Life」出会いに感謝

当日は、思いがけなくも本当にたくさんの方にお越しいただき、立ち見が出るほどの盛況となりました。名古屋という街は、自動車産業のイメージが強い一方で、木曽川沿いには美しい竹林があり、茶道などの竹と関係の深い伝統文化が今も大切にされている場所です。ボクが学生の頃には、お取引いただく会社様も多くてアルバイトで大型トラックの助手として竹製品を運びに何度も来た地域です。


名古屋タカシマヤ、竹虎四代目、YOSHIHIRO YAMAGISHI


竹に対して深い親しみと関心を持ってくださる方も多く、新しい竹人との出会いに感謝の気持ちでいっぱいです。素晴らしい竹の会場を用意してくださったジェイアール名古屋タカシマヤの皆様、そして熱心に耳を傾けてくださったお客様、本当にありがとうございました。「竹のある暮らし」が、皆様の毎日と、この国のこれからを少しでも豊かにするきっかけになれば嬉しいです。



竹虎四代目

竹虎四代目
YOSHIHIRO YAMAGISHI

創業明治27年の老舗竹虎の四代目。100年守り続けた日本唯一の竹林を次の100年に繋ぐ。日本で二人だけの世界竹大使。

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