棕櫚箒

棕櫚箒(シュロほうき)


棕櫚箒などと言うても何と読むのかも分からない方もおられるかも知れませんちや。棕櫚と書いて「しゅろ」と読みます。そうそう、皆さんが良く知っているものやったら束子(たわし)ちや。束子も、この棕櫚を使うて作られよります。一度、束子の製造工程を職人さんに見せてもらいましたけんど、さすがに昔から作られているだけあって棕櫚の特性を活かしながら、ひとつひとつ仕上げていく伝統の技に、まっこと(本当に)驚きましたちや。


棕櫚ほうき


今は電気掃除機になってしもうちょりますけんど、ワシの小さい頃にはどこの家庭にもこんな棕櫚箒があったがです。棕櫚箒は、まず畳のお部屋に使うて、古くなったら板の間で使い、さらに古くなったら土間を掃いて、最後の最後には庭掃き箒として使われよりました。だいたい1本の棕櫚箒が20年から30年はゆっくり愛用できたと地元のお年寄りも言いよりますけんど、お嫁入りした時にお母さんから譲られた箒をずっとずっと使っていた話も聞いたことがありますきに棕櫚の耐久性というは、まっこと(本当に)凄いのです。


竹虎でも袖垣や枝折り戸などにこの棕櫚の繊維を縄にあみこんだ棕櫚縄というものをずっと使いよりますが水にも強くて、雨ざらしの室外でも、棕櫚の丈夫さは他の天然素材では見られんものです。棕櫚皮を採る職人さんはご高齢でおられなくなってしもうちゅうようです。けんど、日本の箒作りの職人さんは細々とではありますが、まだまだ頑張られちゅうがです!


電気を使わずエコでもあるし、マンション等の場合、夜遅くに帰宅して手短にササッとお掃除される時は音を気にしなくていい事が人気の秘密ちや。ワシらあには懐かしゅう見える棕櫚箒が、ひょっとしたら若い方には初めて出会う、新しいお掃除グッズに見えちゃあせんろうか?まさに古くて新しい箒ぜよ。



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