有馬籠

有馬籠職人


実は温泉地と竹細工というのは深い関係があるがです。竹細工は昔の生活になくてはならないものでしたので、全国から湯治にやってきた方達がそれぞれの故郷に帰る際にはお土産として実用的な竹細工が好まれ、温泉地周辺では製造が盛んになったという訳ぞね。四国では道後温泉がありますし、九州なら別府温泉、そして今回はじめてお伺いした有馬温泉など、かっては竹細工が、こじゃんと有名やった所です。


けんど、その中でもその温泉地の名前が竹籠に付いているのは有馬だけ有馬籠は、この有馬を発祥としちょります。有馬にも、かっては70名を超える竹職人さんがおられて、茶華道竹器から農作業につかう竹籠、竹ざるまで色々と製造されていたと言いますけんど、今では当社の虎竹でお世話になりよりますのはここ、有馬で五代続く轡(くつわ)さんだけとなっちょります。


ねね


この有馬温泉は、あの豊臣秀吉もこじゃんと(とても)気に入っていて、何と正妻であった、ねねもここに別宅を建てていたほど太閤橋や、ねね橋なるものもありますちや。そうそう、そう言うたらNHK大河ドラマ「秀吉」やったか「前田利家」やったかどっちか忘れましたけんど、この有馬に、ねねが利家の正妻まつとやってくるシーンもありましたにゃあ。


また、この温泉地には、百人一首でも歌われた猪名(いな)の笹という有馬の竹の歴史があり、湯治に何度も何度も訪れた秀吉が千利休を伴ってきたという伝統もありますすきに。有馬の竹細工は、どことなく品のエイ、お茶の世界の香りがするのかも知れませんちや。


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