塩月寿藍さんの世界

塩月寿籃さん作品


塩月寿籃さんとは祖父の時代から、そして父の代からずっと懇意にさせて頂いてきました。だから寿籃さんの作品も何点も店にはあって、学生の頃から家に帰って来るたびにワケも分からず眺めては、何という人を引きつける作品やろうかと、ため息をつきよったがです。もともと、好きになった作品は漆が多用されていて、竹細工か、焼き物か、塗り物か...?もしかしたら何かも分からないような器です。


何度も何度も塗り重ねられた漆の肌に、作り手の底知れない情熱のようなものを感じたがです。そして、値札を見て、確か腰をぬかした...!けんど、人の手が作りだしたものが竹細工が、こじゃんと(とても)雄弁というのを知ったのもこの時からかも知れませんちや。


それから、この竹芸士とは一体何者やろうか?


他にどんな竹細工をやりゆうろうか?


興味がわいて来て店にあった寿籃さんの作品を次々に見ていきました。他にもすぐに、まっこと自分で買いたくなるような(もちろん、高額で買えませんが)気に入る作品があったがです。網代編みした内側を漆にぬった菓子器、月とウサギの模様が浮き出ちょります。今まで、一体何回手にして眺めた事やろうか?ウサギは自分の干支でもあるし、丸い器に丸い月とウサギは何度見ても不思議と飽きがこんがです。


色々な作品を拝見して自分が寿籃さんに持った印象は、気の遠くなるような緻密な作業を淡々とこなす精神力の持ち主。独特の自分だけの世界観をハッキリと持たれた方。そして、「竹」を変えようとされちゅうイノベーター。竹の可能性に挑戦されている、高い高い壁に向こうて、もがいている姿を想像して竹の世界に入ったばかりので、まるで迷宮に迷い込んだ頃の自分と、まっこと同じではないろうか?勝手にそんなに思うた時期もありましたぞね。


さて、画像のこの作品、どんな思いで創作されたがやろうか?寿籃さんとは、その後、何度かお会いする機会がありました。けんど、静かな一室で目の前に置かれた作品をはさんで、何もしゃべらず、ただ竹をみつめるような寿籃さんの寡黙さと人を包み込むような大きさが、まっこと心地よくて、ゆったりしているうちについついお聞きすることを忘れちょりました。いや、聞かんでよかったと思うちょります。


これがはじまりで、これが終わり。


これが問いかけであり、これが答え。


たぶん、そんな事を言うに違いないがやきに。


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