篠竹の魚籠

篠竹魚籠


孟宗竹や真竹など大きな竹は人里であっても山深い所であっても、どこにでも生えちょりますので、ついつい勘違いして日本の何処にでもあるように思ってしまいがちながです。けんど、北海道には孟宗竹はないと言われますし、東北でも自分の見た竹林の北限は山形県やったがです。そして、同じ孟宗竹でも四国や九州の竹に比べて小振りな感じでした。寒い地方では大きな竹は育ちにくいのかも知れませんぞね。


その代わり、東北などを中心に竹細工に使われる竹は、篠竹、スズ竹、根曲竹と言うボールペンほどの太さで、高さもせいぜい2メートル程度の細い竹ながです。実はこれらの竹が、しなり、粘り、堅牢さなど兼ね備えた、こじゃんと素晴らしい素材で、編みあがる竹製品は実用的ぜよ。毎日のように沢山の竹にふれ、竹細工に親しむ機会の多い竹虎の社員の中にもファンがいっぱいおるがやきに。


縦に長い日本列島の竹は、まっこと面白いぜよ。気候、風土が違うて、竹の種類が全然違うきに、同じ竹編みの魚籠でも、その土地ならではの個性が際立つがちや。この篠竹魚籠も西日本では見た事がないものながです。篠竹は真竹とも淡竹とも違う性質。当然、ヒゴ取りから違うて編みあがる形や籠の表情も違う。見よって飽きる事がないがです。


川釣りのお供にする篠竹魚籠ですが、籠表面が白っぽくご覧になられるのが分かりますろうか?さすが雪深い土地柄どおりや色白な竹やにゃあ...。などと言いよったら、ちっくと間違いですぞね。篠竹やち当然竹の青々とした表皮を持つ竹です。しかし、この魚籠は表と裏を正反対にして編まれちょります。どうしてかと言うたら竹表皮のツルツルした良い面を内側にして、釣り上げた魚をできるだけキズつけないように工夫されちゅうがです。前に見た同じような作りの魚籠も東北の方やった。西日本では見られない作り方の違いは竹材の違いによるものですろう、まっこと面白いがぜよ。


コメントする