手箕の仕事

手箕


竹製の手箕を使うた事のある方など最近では少ないのではないですろうか?箕の使い方としては農作業での穀類の選別がひとつ、そして、何かモノを運ぶというのが使い方としてありますぞね。自分が箕を使うたのは、もっぱら運ぶという仕事にばっかりやったにゃあ。小学校の頃、夏休みか何かやったか忘れましたけんど、イヤイヤ会社の仕事を手伝えと言われた時に、竹の端材や切り屑などを一杯いれてお腹に押し当てて運びましたけんど、思い起こしたら実は一番使うた時期というのは中学校の頃やったがです。


自分の母校である明徳中学は当時開校したばかりで、まだ高校もありませんでしたけんど、全寮制で、こじゃんと厳しくもあり、又楽しくもある学校でした。勉強する本校舎はありましたけんど毎日のように工事があって、どんどん新しい施設を作りよりました。そこでグランドなども自分たちで整地する機会も多かったがです。


この仕事で土や小石を運ぶのに登場するのが手箕。プラスチック製のものもありましたけど竹製の箕はしなりがあり、重たい石を入れて歩く時に、このしなりのお陰で持ちやすく使いやすかったがです。当時は竹製でも何でも別段何とも思うことはありませんでしたけんど、ふと気がついたら、いつの間にかグランドにある箕はすべて青い色をしたプラスチック製になっちょりました。雨ざらしでガンガン使う道具やったき耐久性が優先されたのかも知れませんが、ちっくと寂しさも感じたものながぞね。


国産の無骨な箕というのは、まっこと見かける事が少なくなりました。たまにあると嬉しゅうなって手にとってみるがです。お腹に当てて、こうやって運んだにゃあと同じポーズをしてみたら、高いコンクリート壁を作るのを、学年総出で手伝うたり、野球部のネットを張るポール立てたりした事も懐かしく思い出されるがです。


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