淡竹(はちく)と真竹(まだけ)と

淡竹碗籠


日本で一般的に竹と言うときに皆様が思われるのは主に3つ。一つが太く大きな孟宗竹、京都の美しい竹林を思い浮かべていただたいのですが、そのほとんどは孟宗竹である事が多いのです。そして、次に真竹ですが、この竹は考えてみたら呼び名がいつかあって、そのまま山に生えている状態で使う場合には青竹と呼ばれ、湯抜きと呼ばれる油抜き加工した竹は白竹(しらたけ)とか晒竹(さらしだけ)とか言う名前に変わるがぜよ。とても伸びがあって節間が長く、粘りとしなりがある事から、竹細工には一番多用される竹でもあるのです。


最後に淡竹(はちく)、何を隠そう日本唯一の虎竹も淡竹の仲間。竹林に生えている時には表皮に白っぽい粉がふいたように見えますので、虎竹の模様の付き具合も慣れない内は、なかなか分かりづらいのは、この淡竹特有の特徴による所が大きく、真竹とは太さや、高さは似ているものの、見た目や、竹の性質そのものは全く違う竹なのです。


さて、竹編みには孟宗竹はあまり使用されませんので、真竹か淡竹かどちからの竹で籠や笊は編まれることがほとんどながです。普通は真竹の方が、扱いやすく細工には向いている竹だと言われちょりますので、真竹でずっと竹編みをされてきた職人さんは、真竹が使いやすいと言い、淡竹は竹細工に不向きだと話をされて真竹しか使いません。


碗かごと竹虎四代目


ところが、不思議なことに淡竹でばかり細工をされる職人さんもおられます。そして、まったく正反対な事を言われて真竹を使うことはないのです。数で言うたら真竹を使う職人さんの方が圧倒的に多いですが、本当に少ないとは言え、淡竹こそ竹細工に最高に適した竹材とされて、素晴らしい竹編みを披露し続ける方もおられるので、まっこと日本の竹細工は奥が深い、面白いがぜよ。


そう言えば、はじめて淡竹の籠を編む職人さんに出会うた時には、積み上げられちゅう淡竹に見とれて時間を忘れた事がありましたにゃあ。たとえ多くないとは言え、虎竹の里以外で淡竹が大切に保管されている事など、それまで見た事がなく、何故か感動してしもうたがです。竹達が誇らしく、胸を張っているように見えたがぞね。


この碗籠は淡竹で編まれちょります。お使いに成られる皆様にとっては、真竹やろうか淡竹やろうが編み込みが丁寧であり、美しく、使いやすく、丈夫であるならば、どちらの素材でも、あまり関係無い事ですろう。また、恐らく見分けることもできないように思います。けんど、虎竹が淡竹の仲間であり、どちらかと言うと、多くの職人さんにとって扱いづらい難しい素材とされちゅう中、これだけ美しい淡竹の碗籠は自分にとっては、かなり特別なものに見えるのです。




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