篠竹細工の干しざる

篠竹干しざる


最近自分が注目している商品の一つに篠竹を使った干しざるがあるのです。篠竹は、とにかく強く、そして粘りのある素材ですので、昔から各地で竹細工の素材として多用されてきた竹ですぞね。そう言えば数年前の事になりますが、東京で篠竹を使った細工をされていた草薙さんという職人さんの所にお伺いする機会があったのです。


東京で竹細工...?大都会で誰かやっている人がいるのですか?聞いても、あまりピンと来ない方が多いかも知れませんが、かって江戸川沿いには護岸のために篠竹が沢山植えられちょって、その竹を使う竹細工が発展し多くの竹職人さんがおられたのです。「篠崎」という地名が、この辺りに篠竹が多かったことを今に伝えているのではないかと思いますぞね。竹職人の草薙さんは自分の編まれた竹籠を逆さまにすると、事もあろうか、その上にご自身がのって見せてくれました。「どうだ!」と言わんばかりの表情に自分達の技への誇りを強く感じた事を思い出しますぜよ。


当然、職人さんの技術もさる事ながらなのですが、それも篠竹の強靱な竹の性質というものがあってこそなのです。今度の篠竹も、当然、堅牢な竹編みには違いありません。あの時に拝見した数種類の竹細工の中に、この篠竹干しざるに、良く似た形の笊もありましたが、底編みの足部分の四隅の角が立ち上がりが更に鋭い気がします。この立ち上がりのため通気性の良さは抜群ながです。


篠竹細工職人


普通の竹は3年竹や4年竹を使うのですが、篠竹はその年に生えた竹を伐採して保管されちょりました。倉庫には一体竹笊が何枚できるのか自分には想像もできないほどの材料が積み込まれ乾燥させられています。


その竹を少しづつ出してきては割って竹籤にとって編み込みを続けられる寡黙な職人さん。手も足も使うて手際よく進む工程は拝見していても小気味良く、電話の音に我にかえらないと、そのまま魅入ってしまいそうな程やったぞね。


篠竹細工道具


ずっと愛用されてきた刃物とハサミ、ドライバー。これだけの道具で生みだれてていく篠竹干しざる。昔ながらの素朴な笊は少し小振りなのですが、食器の水切り籠としてもお使いいただけますし、水洗いした野菜などにも愛用できてキッチンにあれば、必ず重宝する一枚ながです。


篠竹干しざる


ありゃあ!?この竹工房には火星人がいますぜよ!?底編みされた篠竹干しざるを逆さにして数個置かれちょりました。何か見た事があるにゃあ?と思ったら、小さい頃に読んでいた漫画や雑誌にはタコのように足の長い火星人が描かれたちょりましたけんど、それに、そっくりやちや...。しばし童心に帰ったのです。


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