新春!日本唯一虎竹の里ウォーキング

竹虎四代目、Andre Loum(アンドレ ロウム)さん


今年の新春虎竹の里ウォーキングは2日(土)にする事に決めちょりました。おっと、そうぜよ、虎竹の里ウォーキングと言うても何の事か説明しないと分かりませんにゃあ。実は数年前からお正月休みに日本唯一の虎竹の故郷である焼坂の山道を歩き、峠を越えて隣町の久礼まで歩いています。例年なら3日か4日に歩いているのですが今年は他にせねばならない事もあって新年早々の2日になったのです。


さて、今までもこのような偶然のような、絶妙のタイミングでの出会いは多々ありましたが又今回も、ちょうど会社前の駐車場から歩きだそうとした所に一人のお遍路姿の外国の方が通りがかりました。その方は一端は竹虎を行き過ぎて国道を歩いて行ってしまってましたがガイドブックのような本を見ながら戻ってこられます。どうやら昔の遍路道を行きたいのだけれど、その入り口が分からず迷っておられるようでした。


どこから来られたのかと尋ねるとフランスからだと言われますぜよ。名前はAndre Loum(アンドレ ロウム)さん、自分達が歩く焼坂の道は、何を隠そうアンドレさんの探しておられる昔から続くお遍路さんの道でもありますので一緒に歩く事にしたがです。


虎竹の里、Andre Loum(アンドレ ロウム)さん


そもそも、何度となく竹林に通って来たこの道を、わざわざ歩こうと思いたったのには理由がありますぜよ。いつもトラックや車でしか来ることのない道を自分の足で歩く事によって、今までと違う景色が見たかったのです。そして、それは紛れもなく100年前にこの道を歩いた初代宇三郎の見た焼坂であり、竹林であり、もしかしたら知ったつもりになっちゅう虎竹の新しい一面が発見できるかも知れないと思うたからながです。


虎竹の里からは東の須崎方面に行くにも、西の四万十川方面に行くのにも、峠越えをせねばならず昔は交通の難所とも言われた時代がありました。そんな当時、高知県西部に行くにはここが唯一の道路であり、今では自分達でも信じられませんが乗り合いバスが走る生活道でもあったがです。そんな古い道の説明をアンドレさんにしながら歩いて行きますぞね。


竹虎四代目、Andre Loum(アンドレ ロウム)さん


麓から歩いてほどなく、日本唯一の虎模様の浮き上がる竹林があちこちに見えてきます。何と言うても、この虎竹の事を一番ご覧いただきたいがですが沢山あるように見える竹でも、昨年生えたばかりの竹には虎模様が出ていませんし数年経ったものでも全ての竹に色付きがあるわけではないのです。


貴重な虎竹の事をお伝えしたいのですが英語が満足に話せないので、詳しくは伝えられません。けんど、こうやって実際に道路脇の虎竹を触り、ご覧いただきながらの説明です、単語は正確には分からないものの、自分の身振り手振りでこの竹が日本でも特別な地域に育つ、特別な竹だと言うことは、しっかりと理解いただけちゅうように思います。


焼坂の山(久礼側)


この山で仕事をしていたら標高228メートルの頂上までは虎竹の林が沢山あるものの、頂上を境にして全く竹がなくなる不思議さを、他所から来られる歩き遍路のような方から問われる事があります。ここも実際にアンドレさんにご覧いただけて、まっこと良かったですぜよ。峠を少し過ぎた見晴らしの良い場所から眺める焼坂の反対側には本当に竹は一本も見つける事ができないのです。


竹虎四代目、Andre Loum(アンドレ ロウム)さん


昔は大きなバスやトラックさえ走っていた道でありますが、未舗装の道路は人が通らなくなると途端に荒れてしまうものです。虎竹の里側の道は、毎年伐り出される虎竹を運び出すためトラックが入れるように手入れしています。何気に歩いていると、その手間の大変さに気づかずにいるのですが峠を越えて反対側に来ると山道の様子が激変します。


大雨の鉄砲水で崩れてしまっている所、草が生え、木が生えて人一人がようやく通れるくらいになってしまっている所など、とても車で通れる道ではなくなっちゅうのです。虎竹の里の山道が、ずっと昔から土地に暮らす人々の生きている生活の道であり、命の道である事を、日常的に使われなくなった峠からの下り道を通る度に感じるがです。


竹虎四代目、Andre Loum(アンドレ ロウム)さん


お遍路道の道中には所々に地元の方の善意で設けられている接待所があり誰でも休憩できるようになっちょります。車で走って札所を回るだけなら、その有り難さに気づくこともあまり無いかもしれませんが、歩き遍路ですと雨風がしのげる屋根があり、荷物を下ろしてゆっくりと座れる場所があるのは本当嬉しい事だと思うがです。ひとつの難所である焼坂の峠を越えて漁師町久礼に入る少し手前にも、山道の疲れを癒やしてもらいたいとばかりに接待所があります。ちょうど、ここで昼時になりましたので持っていたオニギリとサンドウィッチをアンドレさんと一緒に頬張りましたぞね。


そして、自分達はJRの汽車で帰るために久礼駅へ、アンドレさんは、20数キロ離れた岩本寺目指して行くため別れる事にしたがです。けんどまっこと、年の初めからこのような嬉しい出会いがあるとは、今年も運がエイですにゃあ。まっこと楽しく幸運な新春!日本唯一虎竹の里ウォーキングでした。


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