幻のメゴ笹洗濯籠ふたたび

メゴ笹洗濯かご


メゴ笹洗濯籠をご覧になられた方の中には「ああ懐かしい...」と感じられる人もおられるのではないでしょうか。一昔の銭湯などに行くと脱衣場には、このような形の籠が沢山置かれちょったりしたものです。実はこの編み方の籠は、お風呂場だけではなく素材を変えて食器籠などとしても台所でも活躍してきた籠で本当に日本人の暮らしの中に一緒にあった日常使いの籠やったがです。


ところが、すでに自分が竹虎に入社した数十年前には「幻の籠」と言われちょりました。まだまだ近所では使われててもいましたし、小さい頃には何段にも重ねて置かれていたのを見た記憶がありました。けんど、新しい籠を編むことのできる職人さんがおられなくなり欲しいと思っても店頭には並ぶことのない籠やったのです。たまたま近くの職人さんが身近な素材であるメゴ笹を使って復刻してくれる事になって細々とではありますが、ここ数年はずっとこの逸品の籠を皆様にご紹介し続けられる事になっています。


先日、この職人さんもご高齢でお仕事を辞められる事となり、いよいよ幻の籠かと思っていた矢先に運良く何とか次に繋げて編まれる方がいて、職人の手が変わりながらも代々つづく形や大きさは引き継いでやっていただいちょります。このような伝統の技で、こうして続けていける事はなかなか容易な事でなく、まっこと幸運な事でもありますろう。自分もずっと使い続けていて、この脱衣籠の良さは実感しちょります。青々とした鮮やかな色合いは、すぐに抜けて落ち着いた色合いになりますけんど、ここからがメゴ笹の本領発揮ぜよ。


編み込む時には、しなやかだった素材は堅くしまって本当に丈夫で長く愛用できる籠となります。このような素材を上手く活用してきた先人の知恵には、何度も何度も脱帽するばかりながです。



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