瑞竹軒山際作の鳳尾竹だるま

 
瑞竹軒山際作煤竹だるま


そもそも真っ直ぐな竹など無いので油抜きという加工をする際に、その熱を利用して「矯め直し」と言って一本一本曲りを矯正して製竹していく。だらか、竹を真っ直ぐにするという職人はいるのだが曲げるとなると難しい。以前、階段の手すりに使う大きく湾曲した竹を用意する時に随分と時間がかかった覚えがある。竹虎本店に置かれている大小ふたつの曲げ細工による鳳尾竹だるまは瑞竹軒山際さんという竹芸家の古い作品だ。細い丸竹を、こけだけ見事な曲線にされた竹細工はあまり他では見る事がない。


鳳尾竹は古い民家で使われていた根曲竹が煤竹になったものを言うが、近年は竹材が少なくなり人工的に作られるものもある。しかし、これは本物の煤竹で製作されているので更に高度の技術が必要だったと思う。現代でも煤竹と名前の付いている竹編みでも炭化窯で短時間で作られた竹があり、それでも通常の竹に比べると扱いが難しく製作に時間がかかっている。100年、150年と実際に時を経た煤竹は竹によって枯れ具合が違い製作は格段に困難なのだ。


瑞竹軒山際作丸窓


普通に見ていたので価値に気づかない竹が竹虎本店には多い。ようやく、ほんの少し竹の事が分かるようになり見る目が変わってくる、祖父の思い通りだろうと今週に入っても降りやまない雨空を見上げている。




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