竹タガで生き返る手桶

 
竹タガ


古い手桶には朽ちた竹タガが、ちょっと無残な感じで巻き付ついていた。まさか捨てる事はないかも知れないが、ご存じない方が見たら既に使えないと思ってお蔵入りの可能性は大きい。ところが愛着をもって使われていたお客様だから分かっている、竹のタガを巻き直せば生き返る。


磨きの竹タガ


の表皮を薄く剥いだ磨きの竹ヒゴでしっかりと巻き直してもらう。こうして手直ししながら長く大切に物を使うのが昔からの伝統。もともと日本の暮らしは自然と共にある循環型だったのだ。


竹タガ


竹タガ


丈夫な竹も長く使用するうちに傷みがくる、しかし材料が身近にあり加工性の高い竹は重宝される。虎竹手提げ籠の持ち手を修理するYouTube動画をご覧いただきたい、まさに新品にのように出来あがる。




湿気対策に作った調湿竹炭パック

 
調湿竹炭パック


炭の湿度調整力は昔から知られていて、高温多湿の日本ではとりわけ木造建築を守るひとつの方法として使われてきたのは神社仏閣の床下などを見れば分かります。近年、竹炭の消臭力、調湿能力の高さが注目されていて不織布に入れた床下調湿用竹炭をお求めいただく事が多くなりました。ところが、床下用にご使用いただくにしては少ない単位の1坪分とか2坪分でのご購入の方がおられます、不思議に思ってお伺いしてみると床下用としてではなく室内での湿気対策にお役立ていただいてるとの事でした。


調湿竹炭パック


そこで今回、もっと使いやすい竹炭製品をご提供できないかと考えて床下調湿用竹炭をベースに更に小さい4種類のサイズを製作する事にしたのです。床下用は45センチ×45センチの大きさですので、一回りサイズダウンした30センチ×30センチを作りました。しかし、ただお手頃サイズにして押し入れや収納ボックスに置きやすくしただけではありません。


一番時間をかけたのは二重構造にした不織布なのです、室内でご使用となると竹炭の微粉末が出る事なく、しっかりした除湿効果が期待できねばなりません。そこで内側の不織布にはプレシゼという通気性を保ちつつ竹微粉末を出しにくい特徴を持ったものにして、更に外側にはユニセルという少し和紙のような高級感のある質感と丈夫さを合わせ持った不織布で包みました。


調湿竹炭パック(クローゼット用)


クローゼット用としては42センチ×9センチのロングサイズにしてハンガーに吊るせるように工夫しています。作務衣をズラリとハンガーにかけて並べている自分が使いやすいようにしたのです(笑)。


調湿竹炭パック、竹虎四代目(山岸義浩)


後の2種類は調湿竹炭パック(中)として20センチ×20センチのサイズ、調湿竹炭パック(小)の18センチ×12センチを作りました。キッチンの戸棚や引き出し、靴箱など皆様の湿気状態にあわせてお選びいただけたらと思っています。


黒編み竹炭籠に入れた竹炭(バラ)の使い方と消臭・調湿効果をお知らせするYouTube動画があります。機能的には同様ですのでご参考にご覧いただきたいと思います。竹炭(バラ)は、インテリアも兼ねる形でご愛用いただけるものですが調湿竹炭パックは水洗いの手間もいらず、そのまますぐにお使いいただけるのも便利な所です。




高知県高坂学園生涯大学

 
高知県高坂学園生涯大学での講演


高知には高坂学園生涯大学という60歳以上の方が集まり、毎月様々な講義を受講されている学びの場があります。知識を得る楽しみを持って何事にも関心を持たれて驚くほど沢山の方がご参加されているのは素晴らしいと感じています。そして、その講義の内容は多岐にわたりまさに人生の勉強をされているのだと思いますが、自分もそんな皆様の前で、についてのお話をさせて頂く機会を何度かいただいております。


虎竹の里の空撮


実は人生経験豊かな皆様ですので、竹の事についてはある程度をご存じの方も多いのでは?と思ってお伺いしていたのです。昔はご自宅近くにある竹林で遊んだり、竹トンボや竹馬を作る事も多くて今とは比べものにならないほど竹が身近で生活や仕事に関わるシーンもあったはずです。ところが、意外と竹の事について知らない方が多く、虎竹の里にいて竹に囲まれ、毎日竹に触れている自分達がマイノリティなのだと改めて感じさせられます。田舎の高知県でこれなので日本規模だと更に意識が違うのかも知れません。


虎竹の里でのインターンシップ


若い方なら尚更の事です、2000年より大学生のインターンシップを初めてから日本の竹文化が失われてしまうという危機感を強く持って毎年続けて開催しています。コロナ禍の昨年も初のzoom開催で海外からの参加もあり手ごたえを感じていますので今年もオンラインにせよ、オフラインにせよインターンシップを予定しています。


須崎市中学での授業


中学や高校の授業では地元に虎竹という珍しい竹があること、地域資源である竹をどうやって宝に変えて地産外商に繋げていくのかをお話します。日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」に乗って行ったり、虎竹アーマーで登壇したり、苦労は絶えません(楽しんでいるだけですが)。


ちなみに虎竹アーマーは胸を締め付けるので声が出しづらい時があります、普段と同じように息を吸い込めないのです。虎竹アーマーでもそうなのに昔の鎧など本格的な武装をして戦に出た武将はどうだったのか?戦場で声を上げられないと大変なので何か工夫があったのか?虎竹アーマーで声を張り上げながら思っていました(笑)。




虎竹スマホスタンドが便利になって帰って来た!

 
虎竹スマホスタンド


自分のデスクの上には、ずっと愛用している竹製品、竹細工が沢山あります。今こうして30年ブログを書いているパソコンの近くだけでも左側から見て竹張りの書類入れ、竹コースター、虎竹やたら編み小物入れ、ジョイント部分に根曲竹を使ったペン皿、渡辺竹清先生の煤竹小皿、豆ざる、竹名刺ホルダー、竹根茶碗、煤竹やたら編み文鎮そして複数の竹筒には沢山のサンプル竹箸はじめ、竹カトラリー、竹ペーパーナイフ、耳かき、竹物差しなどなど...。


虎竹スマホスタンド


そんな色々な竹グッズの中に、ずっと昔から愛用している竹携帯ホルダーと虎竹スマホスタンドがあるのです。竹携帯ホルダーは、まだガラケーが中心だった頃に作られた細身のタイプで竹根が使われているのが格好良くてお気に入り(笑)、実は今でもスマホとは別にガラケーも使っていますので毎日活躍しています。スマートフォンが普及した頃に作ったスマホスタンドと並んで鎮座しているのです。


虎竹スマホスタンド


ずっと愛用しているので自分以外の方にもきっと喜んでいただけると思いながら、なかなかリニューアルできずに来ましたが、ようやく今回構想が固まり新しい虎竹スマホスタンドをご紹介できるようになりました!昔に比べてスマホはサイズが大きくなっていますので座面面積を約25%広くして、更に足元まで虎竹張りにした圧倒的な見栄えの良さですが、一番のポイントはつっかえ部分の部材をセパレートにした事です。


虎竹スマホスタンドはめ込み


以前のタイプは箱に入れると結構なサイズになりましたけれど、部材が別れればコンパクトに持ち運びもできます。穴につっかえ部分をカチリとはめ込むだけで簡単に組み立てられます、スマホをのせる前面部分には艶消しの黒で塗装しました。


虎竹スマホスタンドと竹虎四代目(山岸義浩)


虎竹スマホスタンドの充電


竹虎ロゴマークの刻印を入れています、「EST.1894」とは竹虎創業明治27年の意味あいです。もちろん、スマホをのせたまま充電もできるように工夫していますので快適にお使いいただけます。




竹葉が白く枯れている!?

 
枯れた真竹の葉


竹林で葉が白く変色してしまっているを見かけるようになりました。一度や二度ではありません、葉緑体のDNAが突然変異して白くなる事がありますが、それとはまったく異っています。近づいて触ってみるとカサカサに乾燥して枯れてしまっているのです、青々とした生命力に溢れている竹が見る影もないほどなので一体どしたのかと気になります。


白く枯れた竹葉


遠くからでもすぐに気が付くのは比較的本数が少なくて青い竹葉の中で目立つからです。この真竹の場合にも周りには元気な竹が沢山生えていますし、この竹自体も稈の色合いなどみると枯れているようには見えません。


孟宗竹の開花


竹が枯れると言えば開花を真っ先に思い浮かべます。孟宗竹は60年に一度、真竹や淡竹は120に一度という長い周期で花か咲き竹林は全て枯れてしまいます。近年、そろそろ開花時期が近づいてきたのか全国的に淡竹の開花が見られていて、虎竹の里から車で20分程度の孟宗竹の竹林でも部分開花がありました。


孟宗竹の花を見上げる竹虎四代目(山岸義浩)


竹の花と竹虎四代目(山岸義浩)


ところが今回の竹葉が枯れる様子と開花で枯れるのとは様子が違います。同じように白く見えても開花の場合はイネのような花が白く見えているのです。


真竹のテングス病


護岸竹として整備されてきたこの真竹にも他の竹林と同じようにテング巣病が広がっていました。


てんぐ巣病


この病気のせいで枯れていくのだろうか?


竹枯れ


光合成できなくなった竹は当然枯れてしまいます。せっかく生を受けた竹、護岸用として人の役に立ち役目を終えたとも言えるものの、このような姿の竹はやはりあまり見たくありません。


高所恐怖症!四万十川ジップラインに竹虎四代目挑戦!

 
四万十川ジップライン


「四万十の鮎に大正の椎茸~♪」というコマーシャルソングが小さい頃からテレビで流れていましたので四万十(しまんと)と言う川の名前だけは耳について忘れる事がありませんでした。日本最後の清流と言われて全国から沢山のお客様が来られると知るようになると、今でも川漁師がいる全長196キロの雄大な流れは県外の方への自慢のひとつにもなっているのです。


道の駅四万十とおわ


そんな四万十川に久しぶりにやってきたのは、皆様のお陰で竹虎YouTubeチャンネル登録者数四万人突破で開催した「四万人突破・四万十ドラマ・四名様プレゼント!」企画のためでした。せっかく来たので、虎竹同様に高知の大自然が生んだ奇跡とも言える四国最長の川の恵みをご紹介できないものか?と考えたところコチラ方面に来れば誰でも立ち寄る道の駅四万十とおわの隣に新しくできたと聞いていた四万十川ジップラインを思いだしました。


四万十ジップライン


そこで、本当に軽い気持ちで体験してみようと思ったのでした(これが後で後悔することに)。


四万十川ジップラインに挑戦、竹虎四代目(山岸義浩)


観光の方も少なく平日でもありますので直ぐに滑ることができるだろうと思っていると「満」の文字が!いやいや、さすが四万十川だと感じます、これだけ人が少ないようでいても結構お客様がいるのでした。


四万十川ジップラインスタート地点


さて、ところでスタート地点に着てから思い出した事があります。実は自分は「高所恐怖症」だったのです!冬場は水量が少ないため川舟ではなく、車に乗ってスタート地点に向かいます。車のスライドドアが開いた瞬間に見上げた高櫓にクラクラとしました(涙)何故忘れていたのか...!?後悔しながら階段を上っていくのでした。(続きはYouTube動画にて)




馬路村農協東谷望史さん「組合長」ゆずぽん酢

馬路村東谷望史さん


高知県には、ゆずで有名な馬路村がある。実は明徳中学の時代から馬路出身の生徒がいて、元々山ばかりの土佐にあって更に山奥の不便な土地だと常々聞いており「馬路」というユニークな地名と共に印象深く思っていた村だ。その「馬路」を強烈に思い起こす契機になったのが馬路村農協組合長の東谷望史さんの言葉だった。


馬路村のチラシ、竹虎四代目(山岸義浩)


竹虎が深く沈んでいた当時、疲弊する中山間地域の中でスーパースターのように燦然と輝いて年間300組を超える視察団の来る村を語る東谷さんは「東京のデパートに売り出しに行った時、夜遅く帰ると近くのビルでは電気がついて誰か働いていた。田舎はもっと頑張らないと負けてしまう。」そう思って過疎化する村のため粉骨砕身したそうだ。


馬路村農協組合長


ごっくん馬路村や、ぽん酢しょうゆ等の大ヒットを飛ばし続ける有名な馬路村さんのそんなお話に勇気づけられた。同じ高知だから自分達も出来ない事はない、そう思って遠くに微かに見える光を追いかけて来たような気がする。今期で退任される東谷さんから届いた馬路村農協「組合長」ゆずぽん酢は、最高傑作だと思う。本当に旨い。


猫籠と呼ぶ竹手提げ籠

竹買い物籠


猫が喜んで入るからねこ籠と呼んでいた竹手提げ籠がある。よほど腕の良い職人でないと思うような形に編むことができないので、熟練の職人さんが仕事が出来なくなってからは数はかなり少なくて現在ではほとんど作っていない。以前は形も数種類あり、もっと深さがあって荷物を沢山入れられるタイプなど美しい籠があり父親世代の職人の技術力の高さをつくづく感じたものだ。


虎竹ねこ手提げ籠


小さな竹ヒゴが折れてしまっていたり、虫穴があったりして販売されなかった籠が手元に残っている。これは新しい虎竹で編んだ竹籠、虎柄の薄い部分をご覧いただくと若々しい青さが残っている。


虎竹ねこ手提げ籠


この青さも数年経過すると、このような落ち着いた色合いになる。


白竹買い物籠


編んだばかりは真っ白い晒竹は時間の経過と共に飴色に変わっている。同じ籠でも竹によって表情がまちまち、白竹もこれからが楽しみだ。

霜が下りると虎竹が色づく

虎竹


「霜が下りると虎竹が色づく」、虎竹の里では昔から古老や山の職人が、こう話していました。実はあまり深く考える事もなく毎年の虎竹伐採を迎えていたのが特にこの数年の気温の変化で、土地の言い伝えのような言葉に真実味を感じています。


竹林の虎竹


虎竹は淡竹(はちく)の仲間で白い蝋質部分の下に虎模様が隠れています。そこで美しく耐久性の高い虎竹に加工するために熱を入れて、竹自身の余分な油分を炙り出し竹表皮を磨いて艶をだすのです。


虎竹油抜き加工のガスバーナの炎


虎竹は高温の窯に入れた瞬間に色付が変わります。それぞれの竹の太さ、性質、乾燥具合により調整しながら油抜きしたばかり竹は生まれたけの赤ちゃんと言えます。


竹虎工場


まだ湯気が立ち上っている虎竹です。


虎竹油抜き作業


竹は意外に曲っていますから竹の矯正作業をして矯め直す事があります。その場合も、この熱が非常に大事になって、熱いうちに曲げを矯正していきます。


竹虎四代目(山岸義浩)


竹は南方系の植物なので暖かい方が良さそうに思われるかも知れません。しかし、同じイネ科のお米も寒暖の差で美味しくなりますし、昔から品質が良いと職人に好まれる竹は実は冬の寒さが厳しい地方のものです。


加工したばかりの虎竹


今年は比較的寒さが続きましたので、有難いことに色付が良い竹が見られます。それでも、この中央に立てられた竹の右左で色づきが違うのがお分かりでしょうか?虎竹を土場で一本づつ選別し、工場に運ばれた竹の中でも色づきはこのように随分違うものなのです。




竹炭パンの作り方は?ベーカリープティールさんで見る40年の職人技

 
デトックス効果の竹炭パン


竹炭パウダーを使ったパンやクッキーなどを目にする機会が増えました。先々月には竹炭うどんを作られている官兵衛うどんさんをご紹介させていただきましたのを覚えていらっしゃいますでしょうか?アメリカから来日して修行された饂飩職人の打つ竹炭麺はインパクト満点でした!麺類の次は竹炭を活用頂く事の多いパン作りを見たいと思い、今回は高知市内で定番とも言える食パンに竹炭をお使い頂いているベーカリープティールさんにお伺いさせてもらう事になりました。


ベーカリープティールさんでのパン焼きの仕事


食の世界というのは続けていくのか本当に厳しいと感じる事が多いです、そんな中、官兵衛うどんさんは今年で45年の老舗でしたけれどプティールのご主人さんもパン一筋40年という大ベテランのパン職人です。夜中の3時から竹炭パンの製造にかかるとの事でしたけれど、当然店舗の周りは真っ暗、お店の位置はハッキリ分からないものの車から降りると何処からか美味しそうなパンを焼く香が漂ってきて温かい気持ちになります。


それにしてもパン屋さんは朝が早いとは知っていたものの、これほどハードなお仕事とも思っていませんでした。午後11時には仕込みを始めて次々と焼き始められていきますのが、そのパンが100種類!様々な形のパンを決まった数だけ製造されていくのです。食パンには小麦粉、塩、砂糖、イースト、濃縮乳そして水を入れてミキサーでこねていますが竹炭は1%投入されています。


竹炭パウダーを使った竹炭パン焼き上がり


一次発酵で1時間程度寝かしたり、発酵機(ホイロ)で更に1時間二次発酵させたりして、いよいよオーブンでの焼き上げが約35分くらいかかったでしょうか。湯気が立つようなホカホカの竹炭パンが型から出されたのは朝6時を過ぎていました。小学生の頃、お母さんに連れられ通っていたお客様が就職して久しぶりに実家に帰って来られたら必ず立ち寄り懐かしいパンを買って行かれると嬉しそうに話してくれました。美味しい笑顔を作りたい一心で焼かれるパンたちと共に竹炭パンが店頭に並びます。




虎竹ボトルカバーの試作

 
虎竹ボトルカバー


普通の酒瓶にこのような虎竹編みのボトルカバーを付けることコスト的に全く合わないかと思います。ただ、特別な限定製造の一本なら面白いかも知れないと言うことで試作してみたボトルカバーです。


白竹広口瓶


もともと白竹で輪弧編みした瓶用の装飾カバーがありましたので今回はそのまま虎竹に変更しました。しかし、広口瓶に比べて酒瓶は直径が小さいので少し検討の余地がありそうです。一つの形になって、改めてお知らせできればよいと考えています。




BS-TBS「美しい日本に出会う旅」

 
虎竹の山での竹伐採、竹虎四代目(山岸義浩)


毎週水曜日の夜9時から放送されているBS-TBS「美しい日本に出会う旅」という番組があって、先日の16日は高知を東から西まで横断してご紹介いただいておりました。そして、その中で日本唯一の虎竹を取り上げていただいたのでした。


虎竹加工


虎竹の竹林での伐採から油抜きの加工を経て虎柄の模様が浮かびあがる虎竹。


テレビ放映いただいた日本唯一の虎竹


ガスバーナーで拭き上げたばかりの虎竹は、まだ青さが残る初々しさです。


日本唯一の虎竹電気自動車「竹トラッカー」


この虎竹で製作した電気自動車「竹トラッカー」で走る虎竹の里には菜の花が満開、ご覧いただく皆様に春の訪れを感じていただけたのではないでしょうか。


竹虎の竹職人


今年に入って新しく虎竹網代弁当箱に一回り大きな特大サイズが仲間入りしました。


虎竹網代弁当箱


番組の中でクイズが出題されていましたが、その正解者へのプレゼントが実は虎竹網代弁当箱だったのです。すでに当選の方は決まっているのかも知れません、お手元に届く虎竹は番組でご覧になられたように山で伐られ、加工され、一つの形となっています。お出かけなどに大切にお使いいただけると嬉しいです。




虎竹網代弁当箱のバンブーピラミッド

 
虎竹網代弁当箱重ねてピラミッド


2月22日の30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」で白竹網代弁当箱のバンブーピラミッドをご紹介いたしました。三種類の大きさに作った網代弁当箱を、それぞれ重ねてみただけなのですが(笑)、いよいよ今回ようやく本命の日本唯一の虎竹でも特大、大、ミニのサイズ展開ができるようになりましたので組上げてみたのです。


虎竹網代弁当箱


虎竹網代弁当箱(特大)は縦約19センチ×横幅約13センチ、深さは約7センチの大型サイズなので、かなりの大食漢の方でも大満足のお弁当が入れられます。


3サイズ揃った虎竹網代弁当箱


3つのサイズが揃いましたので、お弁当箱としてだけでなく小物入れなどにしたり、それぞれの使い勝手やシーンによって楽しくご愛用いただけると嬉しいです。




虎竹ステンレスザル二個組

虎竹ステンレスザル


竹の耐久性というのは台所に立つ事の多いお母さん方が一番ご存じかと思います。水切りざるなど30年、40年と一体いつから使っているのか忘れてしまうほど昔から愛用されているのも少なくありません。そんな丈夫なザル類の中に少し異質な虎竹ステンレスザルという製品があります。


虎竹ステンレスザル二個組
 

今までは三個組でしたが一番小さなサイズは作ることができなくなりました。ステンレスの金ザルに虎竹の縁部分を取り付けているだけではありません、実は何を隠そうステンレスのザル部分から職人が金網を用意して一から全て手作りしていました。こちらのYouTube動画をご覧いただきますと、その手仕事をじっくりご覧いただけます。




虎竹ステンレスザル


片口ざると言って、洗ったお米を炊飯器に移しやすいように竹ざるの片方が口になっている馬蹄型の竹ざるを原型に数十年前から製造してきている虎竹ステンレスザルですが、これからは一番使いやすい大きさの大小二個組でご用意いたします。あ、そうそう特大サイズは今までどおりござまいす(笑)。


ウィークデイのスズ竹アタッシュケース

 
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修理に結構時間がかかっていましたので頻繁に登場していますが、どこを修理したのかとご質問をいただきました。実は使用している内にぶつけたとか、耐久性の問題ではなく本体側面に見えている縦に伸びる二本のヒゴがあります、ここを虫が喰いかけていたのです。


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一年間かけて煙に燻して炭化加工させた竹材であっても油断できないのが竹の虫のたくましさです。近くにもっと美味しい竹材が山のようにあるのに何故この竹を...?と不思議に思いますけれど自然素材は自分達が完全にコントロールできない事を改めて感じます。


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けれど一体何処を手直ししたのか分からないくらい綺麗に元通りになっています。こうして手を入れて修理しながら長く愛用できるのが竹細工の魅力のひとつです。




昭和のお母さんが使った竹買い物籠

 
虎竹買い物かご(丸)


年配のご婦人が小さな買い物籠を下げて道を歩いているのをご覧になられた事はないでしょうか?今でも極稀に、そんな方を見かける事がありますが、先日見かけた方が提げていたのがちょうどこれくらいの大きさの籠でした。竹材で編まれた物ではなかったものの、自分の母親世代くらいまでは買い物と言えば必ずこのような籠を持って出かけるのが当たり前だったのです。


虎竹買い物かご(丸)


何でもない竹籠のようですが自分にとっては小さい頃を思い出す懐かしい品、ふとした時に納屋から出てきた当時母が使っていた竹手提げ籠を虎竹で復刻したのが虎竹買い物かご(丸)なのです。画像の左側に写る飴色になった手提げ籠は元々は真っ白に晒された白竹でした、虎竹ばかり見ていた自分には子供心にも白くスマートな竹の色がお洒落に見えた事を覚えています。今ではこのような渋い色合いに変わる年月を思います。




土曜日のスズ竹アタッシュケース

 
スズ竹アタッシュケース


長らく修理に出していたスズ竹アタッシュケースが戻ってきた。一年間かけて自然な煙に燻された竹の風合いは素晴らしい、光が当たると黄金色に輝いて見える。


スズ竹アタッシュケース、竹虎四代目(山岸義浩)


こんな時でも思わず出かけたくなる鞄はあるものだ。


スズ竹アタッシュケース、竹虎四代目(山岸義浩)


提げてもいい、開けてもいい。内側の革の手触りもいい。


スズ竹アタッシュケース、竹虎四代目(山岸義浩)


春はすぐそこまで来ている。世界に桜の咲くのは、いつの日か。




孟宗竹を使う竹箒と手箒

 
国産竹箒


体育館のような大きな倉庫に、ちょっとした山のように積み上げられた竹箒を見た事があります。元々孟宗竹は中国原産の竹なので竹箒作りも盛んです、前に自分が見学に訪れた地域では村の隅々まで何処に行っても材料の竹穂が納屋に仕舞われてあり、庭先でも軒下でも日本向けに輸出される箒作りが行われていました。


そこで竹箒はホームセンターなどに行くと安価な価格で販売されていて何処で誰が作っているのかなど、あまり気にされない製品のひとつになっているかと思います。もしかしたら国内で製造されている竹箒があると聞くと驚くかもしれませんけれど、実は現在でも細々と作り続けられていて、その竹穂の強さから寒い地域の雪かき用として重宝されています。


孟宗伐り出し


竹材としての利用は少ない孟宗竹ではありますが、竹虎でも袖垣の芯の部分や竹ざるなど荒物細工の一部に使用していますので毎年伐採します。


孟宗竹を使う楽屋工場


楽屋と呼ばれる農業用の日除け材も全て孟宗竹でした。大量に伐れば伐るほど枝打ちした後の竹穂が残ってしまいます、竹箒作りはこのような副産物が活用されてきました。孟宗竹と言えば筍を忘れる事は出来ません、筍の竹林管理では和傘を差して歩けるほどの間隔が適当と言われ竹を間引きますので竹穂も沢山あり、必然的に昔から竹箒作りが行われてきたのです。


若竹を使う手箒


そんな箒の中で少し特殊なのがこの手箒。同じ孟宗竹とは思えない程の繊細な枝ぶりと柔らかさに最初はビックリしたものですが、その秘密は若竹の穂だからでした。竹は成長が早く3ケ月で親竹と同じ大きさに育つものの、竹材として使えるのは竹質がしっかりしてくる3年から4年あたりが適当です。どうして若竹の穂ができるのかは「京都の手箒」に書いていますので関心があればどうぞ。


青々とした孟宗竹


さて、焚火をしながら続いていた竹箒作りは一本が出来上がりました。立ち上がって裏山を見ると元気な竹林が見えています、身近にこれだけの資源があれば使わない手はありません。




山葡萄の花編みブローチ

古い山ぶどうトートバッグ


ある時、スーツ姿の男性がトートバッグをもって颯爽と歩くのを見かけてから、ずっと手提げバッグが気になっていました。まずは、ダレスバッグ等を使いつぶすくらい愛用してきた国産鞄メーカーさんにお伺いしてみました。この鞄屋さんは、会社が小さい頃から社長さんに親しくしていただいています。上京した時に時間を作って実物を触らせてもらいます、海外ブランドのお仕事をする機会があったのでついでにバッグを見てみましたが、どちらも自分にはしっくりきません。


まあ、もちろん365日作務衣なので似合う革バッグなどないのでしょう(笑)。そこで10年近く持っていなかった山ぶどうを改めて見直すことになったのです。これは元々背負い籠だったものを譲り受けて一部を補強してもらうと共に持ち手を取り付けてもらっていました。使い込んだ山ぶどうは上質な革のような風合いだと、いつもお話しますが強さも尋常ではありません、自分にはこれがベターな選択のようです。


くるみ手提げ籠バッグ


山ぶどうは、海外生産が多くなったからか昔ながらの職人手作りのものからデザイン性の高い籠が増えてきて実は関心が薄れていました。しかし、やはり今でも自分の山を愛し、誇りをもって編み出される山ぶどう買い物籠やクルミのバッグには温かみを感じます。


山ぶどう手提げ持ち手


クルミは山ぶどうに比べると耐久性で劣ります、そこで本体の編みはクルミでも持ち手のジョイント部分には山葡萄を使う職人さんがいます。使う人への思いやりは地味ですが、派手な見栄えより何倍も好きです。


山ぶどう花編みブローチ


お客様が愛用されている持ち手の修理をお願いしました。傷んだ部分以外のまだまだ使える所もやり替えなければなりませんでした。そしたら、その取り除いた山葡萄の蔓でペンダントを作って添えてくれています。世界が大変な時だから尚更、このような日本の素晴らしさを感じています。




四万人突破で四万十ドラマのスイーツが四名様に当たる!

 
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竹虎YouTube動画チャンネル登録者数「四万人」突破でピンと来ますのは、昨日の30年ブログで話しいたしましたように最後の清流四万十川です。「四万」という語呂合わせだけではありません、四万十川は土佐の自然が生み出した雄大な流れですし虎竹も土佐ならではの天然素材、どちらも特有の風土の中で育まれてきたという点で似た者同士です。


四万十ドラマ畦地履正、竹虎四代目(山岸義浩)


この四万十川にしっかりと根を張り、地域農産物を活かしたモノ作りをされている四万十ドラマさんに今回はご協力をいただく事ができました。田舎の小さな竹屋である竹虎にとりましてはもちろんの事、地方から地産外商を目指す全国の皆様にもお手本になるような素晴らしい会社様です。


四万十ドラマの人気スイーツ


登録者数四万人突破を記念して四万十ドラマの大人気スイーツが四名様に当たるプレゼント企画を開催させていただきます!お届けいたします賞品は、いも焼き菓子ひがしやま、焼きいもモンブラン、ジグリキントン、あうんアールグレイの四商品、それぞれ抽選にてラッキーな一名様にお届けいたしますので下のリンクからドシドシご応募ください。


四万人突破記念!四万十ドラマのスイーツ四名様プレゼント


いも焼き菓子ひがしやま


発売当初から洒落たデザインと評判でずっと気になっていた幻のにんじん芋をつかったスイーツです。ねっとりとした食感、クセになる甘さ、竹虎社員にもファンの多い逸品です。


焼きいもモンブラン


サクサクのサブレ生地に芋と栗のクリームがたっぷりのったお菓子。地元の芋と、宮崎県須木(すき)の栗が使われています。常温で食すことのできる新感覚。


ジグリキントン


とにかく濃厚と大評判、材料は栗と砂糖のみのシンプルさ。しまんと地栗の甘さを活かした「ジグリキントン」です。熱いお茶があれば、いくらでも食べてしまいそうなキントンです。


あうんアールグレイ


「あうんアールグレイ」は四万十川流域で作られる四万十紅茶と、ゆずの村として全国的に有名な馬路村農協のベルガモットのコラボで作られた香り豊かな味わい。自分も四万十川を眺めながら地元の栗を使ったスイーツと一緒にいただきましたが栗の美味しさを何倍にも引き立てると感じました。


四万十ドラマ畦地社長さんの、それぞれの製品へのこだわりと思いを語っていただいております。どうぞご覧ください。




竹虎YouTube動画チャンネル登録者数4万人突破!

 
竹虎袖垣職人


皆様ありがとうございます!竹虎YouTube動画チャンネル登録者数がお陰様で、いよいよ4万人を突破しそうです。あまり多くの方がご存じない竹の世界の事ばかり、自分たちの言いたい事や、ご覧いただきたい事を掲載続けてきましたのに、こうして多くの方にチャンネル登録いただけて本当に感謝いたしております。登録者数にせよ、再生回数にせよ数を追いかけてきた訳ではありせんが2020年6月にアップしました日本唯一の虎竹を使った玉袖垣作り方が本日で263万回もの再生回数になっていますのを考えますと、自分達では見逃していた竹虎の価値のようなものをYouTube動画の皆様に教えていただけたように思っています。


また、動画に写る職人自身は虎竹の里のような700人しかいない田舎の地域の中にいて、自分たちの仕事がどんな人の為になっているのか?役立っているのか?具体的に知ることが難しい面があります。けれど、こうして地元の数千倍もの方に観てもらえている事が少しは自信に繋がっているように感じています。


虎竹の里


4万人か...海も山も川も美しい高知県ですが「四万」と言えば、最後の清流として有名な四万十川を思い浮かべてしまいます。全長196キロという四万十川の源流は実は虎竹の里からも遠くありません。この機会に、虎竹同様に高知の大自然が生んだ奇跡とも言える四国最長の川の恵みをご紹介できないものか?


四万十ドラマ畦地社長、竹虎四代目(山岸義浩)


そこで、四万十ならこの方しかおられません!四万十川を愛し、地域資源を使ったモノづくりで全国発信を続けている四万十ドラマ代表の畦地履正さん。天然資源を経済資源にする地元発着型の産業づくりの先頭を走り続けられていて、地元の栗山で育てた「地栗」や昔から干し芋として食されてきた人参芋を使ったスイーツは大人気となっています。今回は「四万」繋がりですが、それより畦地さんの覇気と考え方に触れたくてお伺いさせて頂きました。




丸竹の割れと花籠のオトシ

 
虎竹花籠 紫陽花


丸竹の割れについてご質問をいただく事があります。を丸竹で使う場合には、旬の良い時期の良質な竹を上手く乾燥させていたとしても加工せずにそのままでは、どうしてもヒビや割れを完全に防ぐ事はできません。


花籠オトシ


それでは花籠に使われているオトシなどは一体どうなっているのか?竹編みの中に花を活けられるように竹筒に水を入れるので割れると大変です。


竹オトシ


実は割れのリスクを最小限にするように厚みのある竹の表皮部分をできるだけ削り取っています。


竹オトシ、花籃


竹には維管束と呼ばれる細かい管が縦に通っていて、竹表皮部分に近いほど密度が濃く従って丈夫になっています。しかし内側には維管束の密度が少ないので乾燥による収縮率の違いが起こってしまい割れに繋がります。


虎竹花籠


竹表皮を削り身を薄くすることは維管束の密度を均一に近づけるのでヒビ等の割合はかなり減少します。しかし、それでも近年の空調管理の行き届いた室内はかなり乾燥しているので竹材にとっては厳しい環境と言えます。また、ヨーロッパなどは日本に比べて数段湿度が低いので国内では何ともない製品が輸出先では割れしまうなど竹の扱いは一筋縄ではいきません。


虎竹の里の竹、2022年

 
虎竹、tiger bamboo


1月末までしか期間のない虎竹の伐採シーズンが終わり、静けさを取り戻した山道を行くとついこの間まで伐り出された竹が立てかけられていた事を思い出します。虎竹の色付は、大学の研究者の方によると土中にある特殊な細菌の作用と言われているものの実はハッキリした事は解明されていません。日当たりや潮風など複雑な自然環境が絡み合って生まれる奇跡の竹だと思いますが、気温が虎模様に関係しているのは間違いないようです。


虎竹、tiger bamboo


山の職人は年をとって引退された後も竹林が恋しいのでしょう、積み込みの現場で座っていたり、土場の選別作業の仕事をしている所に自転車でやって来たりしていました。そんなお年寄りが口々に「虎竹は霜が下りると色が来る」と話していたのです。


虎竹、tiger bamboo


昔は根拠のない土地の言い伝えだと思っていたところ、近年の温暖化がはじまると同時に虎竹の色付の変化が現れはじめ古老の言葉が真実であったのだと知ります。竹はイネ科だといつもお話させて頂いています、お米は寒暖の差で美味しくなりますから同じイネ科の竹の品質や色付にも気温は密接に関係しているはずです。


虎竹、tiger bamboo


3月に入り今日などは好天で日当たりの良い所で動いていますと暑いくらいです(笑)。けれど昨年からの大型寒波で凍霜害が報じられるくらいの寒さがあり、この冬も気温が低く虎竹の色付は例年比べて良い竹林が多く嬉しくなりました。


虎竹、tiger bamboo


先程の画像の切り口や立てかけている竹をご覧いただくとお分かりいただけるように虎竹は皆様が良く目にしている孟宗竹のように太い竹ではありません。しかも同じくらいの太さである真竹と比べると節間が短いので竹細工に使う場合には結構な苦労があります。


虎竹、tiger bamboo


それでも多くの人を魅了しつづけているのは、この色合い。100年前に遥々と大阪天王寺からやって来た初代宇三郎が惚れ込んだ竹です。




虎竹枝折戸の小さな割れ

虎竹枝折戸


庭の出入り口で簡易な戸として使われている枝折戸(しおりど)という竹製品がある。これも他の庭園関連の竹袖垣などと同様に生活様式の変化、輸入品の増加で年々製造数が少なくなってきている。それでも、ずっと作り続けてきた物であるし職人も内職さんもいるので製造しない訳にはいかない。

 
虎竹枝折戸製造


減少と言っても全国から頂く引き合いのお声には応えたいので、製造管理をしているつもりでも気がつけば倉庫には結構な量の在庫があったりする。


枝折戸の割れ


そこで、このような竹割れが発生してしまう。竹割れは使用には全く問題ないけれど、当然お客様に販売されることなく保管場所の奥へ奥へと仕舞い込まれてしまっている。職人にとっては自分達の作ったものが日の目を見ない事が実は一番辛い。


古い虎竹材、竹虎四代目(山岸義浩)


虎竹は淡竹の仲間で身が薄く割れやすい性質を持った竹である、空調が入って乾燥している室内等では丸竹のまま使うのは避けなければならない。ところが数十年来の取引のあった職人さんの倉庫から自分の生まれる前の虎の丸竹が出て来ることがある。(画像で自分が手にしているのは、仕事を引退された職人さんの仕事場にあった数十年前の割竹)古い材料なので、きっと割れや虫食いがあると思っていたら、それらの竹が全く割れもなく美しい色艶でいたりするので竹は不思議だ。




平編みの竹籠、四ツ目編みエビラと干し柿

 
四ツ目エビラ


少しづつ四ツ目編みエビラの製造を進めています。田舎の方には馴染みの干し籠のひとつですが、都会で育った皆様や地方にお住まいでも若い方々にはおそらく初めてご覧になられる人も多いかと思います。定番で作り続けているものは、網代編み(あじろあみ)と言って竹ヒゴをビッシリと隙間なく編み込んだ物を使うのです、ところが地元高知の民族資料館には四ツ目編みされたエビラが遺されていました。美味しい梅干しの土用干しや、干し野菜などに多用される事の多くなった平編み籠は、乾燥させる事が一番の目的、隙間の空いた四ツ目編は理にかなっています。


干し柿


少し前になりますが、職人さんのご自宅で驚くほどの干し柿を拝見しました。お一人で竹仕事の合間にコツコツと皮を剥いて吊るたそうです。これは食べきれないのでご家族や遠くのお孫さんに喜んでもらえるのではないかと思ったのですが、ふと足元を見て更にビックリしました。


干し柿の皮チップス


これは、お分かりでしょうか?そうです、柿の皮なんです。皮むきした後の柿の皮は自然な甘さがありますので昔からお漬物の甘味として活用されたり、乾燥させた皮を粉末にして熱湯を入れてお茶にしたり、近年では柿の皮フレークを作ってヨーグルトに入れて食される方もいるようです。


四ツ目えびら


しかしポイントは何と言いましても乾燥です。カラリと干す事によって長く保管もできますし美味しくもなるという古人の知恵、実は四ツ目エビラ一枚あれば豊かで経済的な食生活に大きく役立てることができるのです。




昔ながらの竹箒職人

 
国産黒竹箒


竹箒などホームセンターに行けば安価なものが幾らでもあるし、日頃あまり気にとめる事もない生活用品のひとつです。ましてや誰が何処で作っているかなど、考えた事もない方がほとんどかも知れません。竹虎の場合には、虎斑竹を沢山製造していく中で色付の良くない商品化できない竹を竹箒の柄として使ってもらっていましたので実は昔から馴染みがある竹製品なのです。


筍山


そもそも日本の里山は良く出来ていました。皆さんは、このうよに竹のウラ(先端)を切りはねたような竹林をご覧になった事はありませんでしょうか?筍農家さんが良質のタケノコを生産するために日当たりを良くするためのものです、竹同士の間隔も和傘をさして歩けるくらいが適当と言われますので竹を間引いて、しっかりと管理されています。


孟宗竹穂


そして、間引きされた竹は稈の部分は漁業用や農業用、もっと昔なから建築用などにも活用される訳ですけれど枝打ちして出来た竹穂は、竹箒として使用していくのです。つまり、筍農家さんでも竹を全く無駄にする事が無かったのでした。


国産竹箒


現在では、国内で見かける筍のほとんどは輸入ですから全国的に見てもこの里山の竹林システムは機能しているとは言えません。しかし、昔からの筍産地には必ずといって竹箒製造の職人がいて地域ぐるみで製造していた時代があったのです。


竹箒職人


筍の季節は思うより早く、管理するための伐採作業もすでに終わっています。副産物として必ずある竹穂を使う箒作りが焚火の横で始まりました。


黒竹箒、竹虎四代目(山岸義浩)


竹箒もこれだけの本数になると結構な重さですが、箒よりもズシリと肩にくるものを感じています。




メゴ笹手付き籠に、虎竹の里のポンカン

 
虎竹の里のポンカン


ご自宅でコタツを使われる方は最近少なくなっているのではないでしょうか。冬にはコタツに半纏(はんてん)、竹籠にミカンが、どこの家でも定番だったのは遠い昔の話になってしまいました。


虎竹洗濯籠


もっとも自分などは当たり前ですが、地元で栽培されている温州みかんやポンカンが出始めると決まって竹編みの籠が登場します。柑橘類がこれほど似合う入れ物は他にありません(笑)。


メゴ笹手付き籠


すぐに変色してくるメゴ笹籠の青々とした色合いは今の季節ならではです。保管のできないメゴ笹素材は、伐採時期を過ぎれば編む事ができなくなります。


メゴ笹洗濯果物籠


そんな特性ゆえに「幻の籠」として恋焦がれた時の思いが編み上がったばかりの籠をみる度に甦ります。少し前に出来た籠と比べると早くもこんなに色合いが違っています、色合いの抜けた籠は乾燥して編み込みがガッチリと締まっていきます。


メゴ笹手付き籠


今年は手付きの小振りな果物籠が多いのです。どうしてか?何も自分がリクエストしている訳ではありません。全ては自然まかせ、小さなメゴ笹が多い年は小さな籠を編み、大きなメゴ笹が伐採できれば高知の豪快な皿鉢料理を盛りつける大皿ほどもある特大籠ができるのです。