職人曰く、「竹以外の物があれば、即座に分かる」

 
羽田空港で落としたメガネ


視力はずっと2.0だったから、急に目が悪くなって初めて眼鏡屋さんに行った時には何を選ぶのかサッパリ分からず、店員さんの言われるままにLunorと言うドイツ製のものを買った。凄く気に入って使っていたが、ある日の出張で失くしてしまった。落とした場所は羽田空港の搭乗口付近だと見当がついていたのでANAに電話しておいたけれど、正直あれほど大きな空港で見つからないだろうと諦めていた。


ところが翌日には連絡があって、数日後には見た事もないような丁寧な梱包で自宅に届けられて本当に感動した。清掃担当の方が一日に何度も巡回しているので、紛失物はすぐに一か所に集められるらしい。さすがANAだと思ってすっかりファンになり、以来他の航空会社には乗らなくなった。


虎竹の里職人


さて先日、久しぶりの最終便で知り会いの社長さんと隣同士になった。いつもチャレンジされている方で、今回もまるで夢のような仕事をされていて話に夢中になった。気がつくと高知龍馬空港で、飛行機は着陸したがそのショックでワイヤレスイヤホンが転がり前の壁にコツンと当たった。「それ、竹虎さんのと違う?」ああ、そうだ席に着いたら使おうと思って作務衣のポケットに入れておいたものが飛び出たようだ。


聞いたばかりの話に少し興奮気味の中、何気に拾って持ち帰ったものの、あれ...?自分の物は鞄に入ったままだ。同じワイヤレスイヤホンを使っているので、てっきり自分が落としたものだと勘違いしていた。今頃失くされた本人は、自分が眼鏡をなくした時のようにガッカリしてANAに連絡しているかも知れない。すぐに届けられて連絡があれば同じように喜ぶだろう。送るより空港に持っていく方が早いな...そう考えていると、たまたま翌日に空港近くの会社に行かねばならない用事ができた。そこで、会社に訪問する前にANAの社員の方に手渡してきた。


竹林で落としたメガネ


こんな風に人の多い空港や乗り物の中なら誰かが拾ってくれる事があるだろが、虎竹の里の竹林ならそうはいかない。ある時、頭に引っ掛けていたメガネを落とした事がある。すぐに気がついたけれど、失くしたと思われる辺りを探しても全く見つからない。とうとうその日は見つけられず、翌日は社員二名に助けてもらい熊手まで持ってきて竹の葉を掘り返しながらの捜索活動を敢行した(笑)。


見つけられずにクタクタになった頃に、竹林の上から降りてきた職人に出会った。そして、あれだけ探しても見つからなかったメガネを、ものの数分で探しだしてくれた時には驚いた。「竹以外の物があれば、即座に分かる」あの言葉を、このキズが付いたまま使っているメガネを見るたび思いだす。


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