匠宿の静岡千筋細工

静岡千筋細工照明


実は、静岡県も昔からの竹どころであり、かつては竹虎とのお取引を頂く会社様も多かった。今でも旧知の職人さんが何人かおられて、前にお伺いした時には安倍川の土手を散歩しながらお話しを伺った事がある。江戸時代には、この大きな川にも橋をかける事が許されていなかったので、渡しのための駕籠や荷物を運ぶ籠を編むのに、川岸の良質な真竹を使っていたのだそうだ。


駿府の工房 匠宿


静岡の竹細工と言えば、千筋細工と言われる細い竹ヒゴを使った工芸がまず頭に浮かぶ。たまたま迷い込むようにしてお邪魔した、駿府の工房 匠宿には千筋の技法を巧みに取り入れた照明が吊るされている。逆風に負けないように、新しい道を模索しているのは全国の竹人に共通しているけれど、ここでは本当に美しい作品を次々に拝見できる。


静岡千筋細工


壁にしつらえた飾りは、黒いバックに竹の白さが際立つ。木材との組み合わせで、千筋の可能性はまだまだ広がりそうだと感じる。


静岡千筋細工カウンター


更に、これは素敵だった。懐かしさと共に新しくも思える千筋細工のカウンター、やはり竹は灯りが入ると断然輝きを増してくる。前面をガラスに覆われているのもいい。


花器 こだま、千筋細工


こちらの施設では、竹細工に触れ合ってもらえる教室が常設されている。今回、館内をご案内いただいた若い職人さんは、たまたまこの日が担当の方だったそうだが、連日誰かが交代でこちらで千筋の技を披露したり、教えたりしていると聞いて感心した。


静岡千筋細工


静岡千筋細工といえば、花器や菓子器にの丸ヒゴを使うのが定番だけれど、実は展示されている昔の作品を見て驚いた。何?何?丸ヒゴではない!竹の節がついた平ヒゴで、竹節を波のように見せてリズム感のある逸品に仕上げている。作りは伝統的な、まさに千筋細工の形なので、もしかしたら昔は丸ヒゴだけではなかったのかも知れない。竹は、本当に知らない事ばかりだ。



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