二重竹ざる(ふたえばら)六ツ目編みの秘密

二重バラでの味噌作り


あまり馴染のない方からは聴き直されたりもするが、鹿児島では今でも味噌を竹ざるを使って作られている。詳しい作り方などについては改めてお話しさせていただく機会をつくるけれど、今回はその味噌作りに使う、二重竹ざる(ふたえばら)についてご説明したい。


竹ざる


二重竹ざるは、網代編みした竹ざるの裏面を六ツ目編みで補強した竹ざるの事だ。竹虎で定番で販売させてもらっているサイズは2尺、つまり60センチで現在の日本の暮らしの中では最大サイズだと思っている。ところが、味噌作りとなると3.5尺(105センチ)もの大迫力の竹ざるが使用される。かつては、4尺(120センチ)や5尺(150センチ)なんて言う二重竹ざるも普通にあったようだ。


ふたえバラ六ツ目編み


どんなサイズの竹ざるにも裏面には六ツ目編みの補強が入り、非常に丈夫に編まれている。しかし、前々からずっと疑問に思っていた事があるのだ。確かに六ツ目を入れると強度は高まるけれど、浅い竹ざるにそこまでの重さがかかるのだろうか?一般的な干しざるのような使用方法だけなら、あまり必要としない造作ではないだろうか?


竹ざるでの味噌作り


ところが、実際に味噌作りの現場を見ると、なるほど六ツ目編みを入れたくなるような工程が続く。蒸した麦や大豆を大量に入れる重みもあるけれど、数名の女性たちが竹ざるの周りに集まり、混ぜたり作業をする中で底面には随分と負荷がかかる。


使い込んだ二重バラ


数十年使われてきた二重バラの底をみると、六ツ目編みの竹が重なった部分に底ズレの痕が残っている。竹で一番強い竹皮部分で、六ツ目編みして底に編み込む知恵は、味噌作りから自然に出来あがったものだと思う。高知で伝統的に作られてきた竹ザルは「サツマ」と呼ばれてきた、技術交流の盛んだった頃に鹿児島から伝えられた証だ。しかし、高知では竹ざるで味噌作りはしないから裏面に六ツ目編みをすることはない。



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