籠に編まれる竹林

孟宗竹


曲がりくねった山道は雨のせいでぬかるんでいる、泥をはね上げながら到着したのは材木の集積所がある広場だった。車を停めた向こうに孟宗竹の竹林が見える、高知など一部を除いては竹編みにはあまり使用される竹ではない。目的の真竹の竹林は、ここからは見えない少し奥ばった所にあるのだ。


竹林への林道


山深いと言っても、このように木材を運び出すためのトラックが入る大きな道があるから、竹を伐り出すにも条件の良い場所だ。


竹林への小川


脇の獣道のような小道に入って歩いていくと、小川が音をたてて流れている。この川を渡り進んだ先に、今日伐り出す真竹の竹林がある。


真竹の竹林


多くの方が目にする竹林は、綺麗に手入れされている所ばかりなので、皆様が想像する竹林とは少し違っているのかも知れない。めったに人が入らない鬱蒼とした竹林は、立ち枯れや風に倒された竹がそのままである。しかし、日本列島の北から南まで竹職人が分け入る竹林は、程度の違いこそあれ、このように自然そのままに生茂る竹を伐採する場合も多い。


竹職人


山の職人の顔になった古老が鉈を取り出した。選んだ竹を次々に伐り倒していく。


真竹手付き籠


枝打ちされて土場に並んだ竹や、編み上がった竹籠ばかり見ていると竹林の竹が見えなくなりそうだ。日本には三大有用竹と呼ばれる、孟宗竹、真竹、淡竹があるけれど、それが全てではない。虎竹の里だけに成育する虎竹、そして黒竹や根曲竹、スズ竹、篠竹、五三竹、メゴ笹、蓬莱竹と、それぞれの地域に根差した竹があり、暮らしがあって面白い。





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