高津川の鮎魚籠

高津川の鮎魚籠


島根県を流れる高津川は、日本で唯一つダムのない一級河川として知られ、美しい流れの中で豊かな川の恵みが育まれている。高知にも最後の清流四万十川があって鮎は有名だが、高津川流域の鮎も特産のとして全国に知られており、地元で長年漁をされてきた人たちの川への愛情や思い入れは凄いものを感じる。


高津川の魚籠職人


そんな一つの表れが、山口県との県境に近い山間地域で昔から伝統的に編まれてきた独特の形の鮎魚籠だろう。もう随分と前に、最後の職人さんにお会いした事があり、お願いして一つ編んでもらった。その時にも、色々とお話をお伺いしたけれど、先人の魚籠を見よう見真似で作っておられて、どうしてこのような形状の籠になったのかは分からず仕舞いで不思議に思っていた。


棕櫚のかえし


この鮎魚籠を、どこかにないかと探しておられる鮎漁の達人がいた。50年に渡って川漁をされてきた方で、鮎の産地を彼方こちらと全国探してみてもこのようなユニークな籠はどこにも見つからなかった。


高津川の鮎籠


しかし、毎年6月1日の解禁から9月末までの漁期には、投網漁をされるこのベテランの方なら、もしかしたら高津川の鮎魚籠について何かご存じの事もあるのではないか?そんな思いがあって山道を訪ねて行った。職人さんも、この鮎魚籠には50匹の鮎が入ると話していた、しかし、そんなに入るのたろうか?ずっと疑問だった。実は、自分の父も須崎市を流れる新荘川で長く投網漁をしていたので鮎の事は多少知っているつもりだった。


ところが、詳しく聞いてみると捕まえる鮎が60~70グラムの自分が思うより小振りなものなのだ。これくらいのサイズが骨も柔らかくて、そのまま食せるから良いのだと言う。あまり入れると重たくなるから一度に入れる鮎の重さが4キロ程度、という事は小さいように見えて籠の中には60匹の鮎が入る事になる。その際にこの特殊な形状の魚籠だと、鮎にキズがつかないから重宝するらしい。不思議な高津川の魚籠については書ききれないので、又明日にします(笑)。
(明日の30年ブログにつづく)





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