幻の籠?メゴ笹洗濯籠の持ち手付

メゴ笹洗濯籠


メゴ笹は名前だけ見ていると笹の仲間のようだが実は竹類。竹とは思えないけれど、最小サイズの竹の仲間なのだ。西日本の各地に成育していて、通っている名前だけでも神楽笹、オカメザサ、カンノンザサなど10数種もの呼び名があるから昔から人の暮らしの中でかなり役立ってきた竹だろう。特に恵比寿神社の酉の市では、熊手や百両小判、千両箱などつけた福笹として使われるなど、身近であり縁起物でもあるのだ。


そんなメゴ笹洗濯籠が何故「幻の籠」と言われてきたのか?自分も入社してから3年間は噂を聞くだけで、実際に手にした事すらなかった籠なのだ。素材自体は沢山あり、伐採も比較的簡単なのに見る機会が少ない理由は、メゴ笹の性質にある。この竹は伐採したら、まさに時間との勝負なのだ、すぐに編まなければ硬くなって全く編めなくなる。乾燥して硬くなる性質は一旦籠に編むと丈夫になるから嬉しい反面、この材質の扱いづらさから編まれる数量が限られてしまう。




昨日の30年ブログでは、伊達政宗の甲冑の話題だったけれど、その繋がりで言うとメゴ笹は、戦国時代には城郭や砦の防衛機能としての役割も担っていた。密集して生える丈夫なメゴ笹を、戦となったら短くハス切りするのだ。


メゴ笹細工


このような少し意外な使われ方もしてきたメゴ笹だが、編み上がった直後の青々とした美しさは何とも言えない。しかし、本当に短い間だけの色合いなので多くの場合は現場にいる職人ならでは手に出来る儚い青さでもある。




手早くメゴ笹を編み込む職人の仕事をYouTube動画にしている。伐採したばかりの材料の葉を取りヒゴにしていくが、余分なヒゴは水に浸けているあたりにも注目していただきたい。


メゴ笹洗濯籠手付き


さて、メゴ笹洗濯籠に入れた洗濯物を持ち運ぶのなら持ち手が重宝する。


オカメ笹籠


丸竹そのままに編み込むメゴ笹細工は、茶碗籠に最適だ。小振りの籠も持ち手付は便利、奥に見える色合いの落ち着いたメゴ笹と比べてると色合いの経年変化がお分かりいただける。日本三大有用竹などと言われるけれど、日本には600種を超える竹があり、それぞれの地域にあった竹材で編まれてきた竹細工は奧深く、いつも感動する。



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