竹は、しなやかで、軽やかなイメージがあると思うが、それは竹を薄く、細くした竹ヒゴを使った竹細工が一般的には多く知られているからだ。竹を薄く剥ぐと、柔らかな素材となる反面、真っ直ぐで硬い性質をも併せ持つ、ユニークな材質だ。そこで、竹串や竹楊枝などにも昔から多用されてきた。
中でもボクのお気に入りは竹楊枝で、これは一度使ったら最後!他の柔らかい木製の楊枝など使えたものではない。硬質な竹ならではの、鋭利な先端が歯と歯の隙間にスッと入って、いくら使っても先がつぶれる事なく、最初と同じ快適な使い心地のままなのだ。簡単に折れてしまう楊枝も多いけれど、竹楊枝は折ろうとしても少し苦労するほどの強度がある。
最後まで製造していた国内メーカーで作れなくなった時には、本当に残念でB級品を自分用に取っておいて使っていた。海外から安価な製品があるにはあるけれど、せっかく日本中にある孟宗竹を使えるのだから、何とか国産にこだわり復刻できないものかと、長い間ずっと願ってきた。
どうにか復活できそうになるものの、試作の竹楊枝は昔のそれと使い心地が違う。直径の微妙な太さの差異と、先付けの鋭利さを歯茎がしっかり覚えていているからコワイものだ(笑)。せっかくの竹だ、竹の特性を活かした鋭さがないと、どうしてもOKにはならなかった。
粘り強く何度も何度もチャレンジいただく中で、遂に今回、以前と変わらない使い心地の竹楊枝が出来あがってきた。長さも1.5センチ長くして8センチのサイズとしているので、持ちやすく機能的な製品になったと思う。お待ちかねの皆様には是非お試しいただきたい。
竹楊枝の強さ、使い心地の良さは広く知られているし、成長が早く持続可能な天然資源として見直されても来たので海外で製造されている竹楊枝も多い。ボクの見た最安値では、確か180本入りで99円のものまである。国産で復活した竹楊枝は価格では全然太刀打ちできないけれど、日本の竹を、日本の職人が手掛けた信頼と安心の逸品だ。
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