スズ竹市場籠の三色変化

スズ竹市場籠の経年変色


昨日に続いて竹手提げ籠の話題をお話ししたいと思う。
さて、問題です(笑)こうして3つの竹手提げ籠が並んでいますが、スズ竹で編まれたものはどれでしょうか?


チッチッチッチッチッ......チンッ!


そう、ご名答!すべて同じスズ竹で編まれた市場籠です。


スズ竹市場籠の経年変色


それでは2問目(笑)、同じスズ竹で編まれたものなのに色が違うのはなぜ?


チッチッチッチッチッ......チンッ!


またまた正解!時間の経過と共に自然と色合いが変化していくのです。


スズ竹市場籠の経年変色


最後の3問目(笑)、それでは一番古い籠はどれでしょうか?


チッチッチッチッチッ......チンッ!


大当たり!一番上に積まれている飴色になった渋い色合いの市場籠です。


今回の問題は、この30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」をご購読いただいている皆様にとったら簡単な問題だったかも。けれど、このように青々とした若い色合いの竹籠が、時を経てこんなになるのだから、まさに自分で籠を育てると言う感覚がピッタリだ。





竹手提げ籠をトートーバッグに

白竹手提げ籠


以前、革製のトートバッグを持って歩いている海外の方があまりに格好良くて、都会に行く機会がある度に探していたという話を書いた事がある。それこそ有名ブランドから、初めて知るブランドまで、お店を見つけては飛び込んで手にさせてもらっていたが、なかなか気にいるものには出会えなかった。


白竹手提げ籠、竹虎四代目(山岸義浩)


そもそも自分のような田舎者に、お洒落な鞄は似合わない(笑)。結局、昔から愛用している山葡萄の手提げ籠に落ち着き、愛用のひとつは持ち手や底部分もリニューアルする事になった。




持ち手などを修理した山葡萄の手提げは頼もしい、これなら何処へでも持って行けそうな気持になる。


白竹手提げバッグ


ところが、しばらく使っていなかった竹手提げ籠バッグの小さいタイプを、職人の仕事場で見つけて改めて竹編みの美しさ、機能性に目覚めた。トランクのような硬めのしっかりした編み込み、角型の手提げ籠はまさに男の竹籠。


白竹トートバッグ


やはりは奥が深い、とうてい極められるものではないのだ。日帰りの温泉でも、日程の詰まった出張、フラリと出かける旅にでも、こんな相棒は他にいない。


素朴な青物買い物籠

青竹手提げ籠


このような素朴な竹手提げ籠は、あまりご覧になる機会が少ないかも知れない。何の飾り気もない無骨な作りは、まだ竹細工が生活の中の必需品として道具として普通にあって頃の名残なのだ。青竹一本持ち手買い物籠は、昨今、なかなか手に入りづらくなった良質の真竹を割って、竹ヒゴにして腕と包丁一本だけ、昔ながらやり方で編み上げる無骨な籠だ。


真竹買い物籠


底と傷みやすい四隅には、しっかりと補強が入れられていてる。


青竹買い物籠


昔ながらの竹籠は、小振りでもバランスがいいから好きだ。


青竹一本持ち手買い物籠


この手提げには、職人の気まぐれで角ばった持ち手と、丸みを帯びた優しい感じの持ち手との二種類かある。


竹籠バッグ


いづれも、昔から竹細工で身をたててきた熟練職人らしい竹籠だ。



竹虎四代目愛用の山葡萄棚編み手提げ籠バッグ修理完了

竹虎四代目愛用の山葡萄棚編み手提げ籠バッグ


長くトートバッグとして愛用してきた棚編みの山葡萄手提げ籠バッグの修理が遂にできあがってきた。底部分の大きな穴も気になるけれど、まず持ち手が大きく変更になった。腰籠として使われていた籠にリング式の持ち手を付けて使っていたが、少し頼り無くも思っていたので、今回は口部分にしっかりと持ち手を固定して取り付ける事にした。リング式のように可動しないけれど、安定感があって断然こちらの方が持ちやすい。


竹虎四代目愛用の山葡萄棚編み手提げ籠バッグ


やはり、いくら丈夫で堅牢な山葡萄と言えども耐久性には限界がある。負荷のかかる箇所のヒゴはヒビ割れから、ついには折れてしまって大きな穴が開いてしまっていた。


竹虎四代目愛用の山葡萄棚編み手提げ籠バッグ


籠で一番傷みやすい角部分、そして重い荷物を運び続けてきた底部分の弱ったヒゴを差し替えたり、その上に重ねたりして手直ししてもらっているので今後は安心して何処にでも出かけられそうだ。


竹虎四代目愛用の山葡萄棚編み手提げ籠バッグ


昔の山葡萄はヒゴも厚く武骨な雰囲気が魅力、新しい持ち手も良い感じ、申し分ない。


竹虎四代目愛用の山葡萄棚編み手提げ籠バッグ


竹虎四代目(山岸義浩)


こんなトートーバッグ持っている人いるだろうか?一時期、あらゆるブランドも回って探したけれど、どれもしっくりこなかったが、何の事はない最高の相棒はずっと前から横にいてくれたのだ。





最後のレジェンド白竹蓋付き手提げ籠バッグ

レジェンド白竹蓋付き手提げ籠バッグ


工房に残されていた、最後のレジェンド白竹蓋付き手付き籠バッグをご覧いただきたい。地元高知では、新しい竹細工のまさに草分けの職人であり、今やレジェンドともなっている氏が「ワシの技の集大成じゃ」と語る白竹手提げ籠バッグだ。それが、いよいよ今回で最後の最後、しかもワケありという成り行きについては一番下のYouTube動画に掲載させてもらっている。


レジェンド白竹蓋付き手提げ籠バッグ


使用頻度は全く高くなくて年に何度も手にする機会がないのだが、とにかく形の良さに加えて「カチリ」と閉まる上蓋の機能性の素晴らしさが気にいって、この竹籠バッグは長い間愛用させてもらっている。


レジェンド白竹蓋付き手提げ籠バッグ


職人の工房に残されていたのは、竹籠両側の急な角度にUの字型に曲げた部分の細い竹ヒゴにビビ割れや、小さなハジキが見られるためだ。けれど、自分自身が使っていて、何から不具合を感じる事はない、それより高度な技で編まれたリクエストも頂く逸品を皆様にお使いいただけないのが、ずっと残念に思っていた。そこで、今回特別にご紹介する事にしました。





愛用の山ぶどう棚編みバッグの修繕

愛用の山ぶどう棚編みバッグの修繕、竹虎四代目(山岸義浩)


綺麗に仕上がってきた山葡萄の手提げ籠を見て、自分が長くトートバッグ代わりに愛用している棚編みの手提げ籠バッグも、いよいよ修理してもらう事にした。この籠は実は編まれてから100年程度経っているのではないかと言われる、農家さんで腰籠として使われていたものだ。


山葡萄バッグ修理


編み込みの歪みや、不揃いな葡萄ツルなど、最近の籠には見られない仕事道具としての迫力がたまらない魅力だ。大事に使って来たのだけれど、パソコンなど重たい荷物など入れた時にツルの折れやヒビが少しづつ気になっていた。


山葡萄バッグ修理


とうとう、底部分にはこのような大きな穴まで開いてしまっている。


愛用の山ぶどう棚編みバッグの修繕


底を付けて置く事は少ないけれど、底の四隅もこのような痛み具合だ。


愛用の山ぶどう棚編みバッグの修繕


よくよく見ていただくと、縦ツルを結ぶ横ツルも何本も切れている。


山葡萄バッグ修理


腰籠から手提げ籠にする際、取り付けてもらった持ち手も、この機会にもっと丈夫なものに替えたほうが良さそうだ。


山葡萄バッグ修理


さて、どんな風に手直しが完成するのか?今から待ち遠しいが、出来あがりはもちろん皆様にもご覧いただきたいです。乞うご期待(笑)。





山ぶどう手提げ籠バッグ、持ち手の修理

山ぶどう手提げ籠バッグ、持ち手の修理


竹細工の修理は、とにかく皆様が考えられる以上に手間がかかる。そもそも籠やザルの種類によって編み方だけでなく、竹素材も異なるので元通りに手直しする事が難しいから、自分の作った籠の修理に限定されている職人が多い。ところが、それぞれ持ち込まれる籠は使い手によって味わい深いものになっている事が多く、どうしても修理して差し上げたくなる。そう先日の「使い込まれたサクランボ籠の修理」に登場する籠など、その典型だ。


山ぶどう持ち手修理


山葡萄の手提げ籠バッグなども、元々丈夫な素材とは言え、近年では海外素材の製品も含めて玉石混交なのだろうか?持ち手が切れてしまったと相談があった。


山葡萄持ち手手直し


このように、ちぎれる様に切れた持ち手というのはあまり知らない。同じ編み方の持ち手の手提げ籠バックを2個使っているけれど、切ろうと思っても切れないくらいに山葡萄の繊維は強靭だ。バッグに何を入れるにせよ、その程度の重みではビクともしないのが普通だから、素材や作り手に問題があったのだろうと思う。


山ぶどう手提げ籠バッグ、持ち手の修理


そこで、元々の籠は持ち手が本体に取り付けてられていたのだが、少しでも強度の高い口巻部分にしっかりと留めてもらった。


山ぶどう手提げ籠バッグ、持ち手の修理


持ち手も少し太めになる定番に変更させてもらったので、今まで以上に使いやすくなると思う。


竹虎四代目(山岸義浩)、山ぶどう手提げ籠バッグ、持ち手の修理


手提げ籠は持ち手が一番酷使されて傷みやすい、けれど、こうして修理が完了すればこの先10年、20年と活躍する新しい籠に生まれ変わる事ができるのだ。



名品が現代に甦る、50年前に竹職人が隠した二本線

竹買い物籠、竹虎四代目(山岸義浩)


思えば、この磨きの竹手提げ籠は随分のユニークなデザインとなっている。底になるに従ってシェイプされた本体編みは、高度な技術が必要となるから、美しいラインは熟練職人の証でもある。特に他の買い物籠に見られない一番の特徴は、厚めに取った竹ヒゴをねじり込んで持ち手にしている所だ。


古い手提げ籠バッグ


更に、この持ち手を真鍮リベット留めだから、このような細工が他に全くないわけではないけれど、かなり珍しい。


新しい真鍮リベット


だから、どうしてこのような竹籠を創ったのか?実は、少し不思議に思っていた。ところが、何とこれには、見本の竹籠がある事を知る。


50年前の渋くなった真鍮リベット


元になった竹籠は50年も前の腕の良い竹職人作、名前までは分からない。しかし、すっかり赤茶けた色合いに経年変色した渋い風合い、落ち着いたリベットの竹籠に魅せられた若手職人かいるのだ。


竹手提げ籠底力竹


復刻するにあたって力竹は更に力強く、若手らしく進化させている。


50年前の手提げ籠


よくよく見ていないと、恐らく見過ごしてしまいそうだけれど籠本体上部付近に、薄い色合いのラインが二本入っているのがお分かり頂けるだろうか?


真竹磨きネジリ持ち手買い物籠


この竹籠は「磨き細工」と言って、竹の一番丈夫な竹表皮にできるだけ近い部分を使用すべく、表皮を薄く薄く剥いだ竹ヒゴが使われている。そこに、竹表皮の付いた竹ヒゴをあえて入れる事により、経年変色の違いからラインのように見えるデザインになっているのだ。


真竹磨きネジリ持ち手買い物籠


ここまで丁寧に復刻するとは物凄い惚れ込みようだが、竹籠の二本線は新しい間は言われないと気づかない。クッキリと見えるようになるまで、じっくり楽しみながらお使いいただきたい手提げ籠だ。





真竹三角革持ち手買い物かごの革持ち手リニューアル

真竹三角革持ち手買い物かご


車に載せておいたり、そばに置いて置いてサッと持って行けるカジュアルさから、自分が一番多用している真竹三角革持ち手買い物かごは、革持ち手の形が少し変わる予定だ。


真竹三角革持ち手買い物かご


幅広の現行タイプも持ちやすいし、全く問題はないのだが革の持ち手部分を握ると若干折れ曲がったようになる。だから、手の当たる革ベルトは細くしておいたほうが良いのではないか?


真竹三角革持ち手買い物かご


そんな、ちょっとした工夫から新たらしくなった手提げ籠、自分のようなおじさんにも是非使ってもらいたい。


手提げ籠バッグ


ちなみに、この手提げ籠の原型は、生け花の先生に職人が頼まれて編んだ花籠だ。オトシを入れて花器としたそうだけれど、斜めにかかった持ち手があるし、かなり格好良かったのではないかと思う。




夏の手提げ買い物籠

白竹八ツ目買い物籠


夏の竹手提げ籠は、だいたい白竹と相場は決まっていたが、今ではそんな事を言う人も少なくなった。価値感の多様化だろうか?しかし、自分の場合は車に載せて常に使えるようにしてある手提げ籠は、白竹やスズ竹で編んだ少し大振りなものが多い。


真竹磨き買い物籠


経年変色の素晴らしい磨き細工は、繊細な編み込みで意外と小さなサイズのものが中心だ。名人と呼び声の高かった職人の手提げ籠も、手放す事ができず手元にあるけれど、自分が普段使いするには少し華奢な感じがする。


虎竹買い物籠




実は虎竹も真竹と同じくらいの大きさとは言いながら、太い竹材は近年特に少ない。その上、色づきが良くないと製品にはならないので、男性向きの幅広のフレームが入るような竹手提げ籠は、いつも竹材がネックになって実現しないから、かなりレアなのだ。


スズ竹市場籠


その点、スズ竹はボールペンほどの細い素材でありながら、しなりがあり非常に堅牢でもあるので、重たい荷物を入れて持ち運ぶ築地や豊洲市場の板前さんにも愛されるタフな手提げ籠となる。開花で竹材不足が続いており、たまに出来あがってくる竹肌も本調子ではないが、一日も早い竹林の復活が期待されている。


買い物籠、竹虎四代目(山岸義浩)


「一生使える竹のマイバスケット」なんてスゴイと思われた方、竹籠は一生どころからお子様にまで譲れる丈夫さだ。だたし、使い方によっては傷んだり、壊れたりもするので、その都度修理は必要となる。それでも、たとえ海外製であっても、使うほどに愛着の増す竹細工は捨てられない。大事に手直しすれば新品のようになるから、又楽しくお使いいただけるのです。