背の高い洗濯籠

真竹洗濯籠


虎竹や白竹のランドリーバスケットは、上げ底になっていて通気性が抜群だから人気がある。旬が良くなってから伐採された良質の真竹で編まれた洗濯籠も、昔ながらの作りは全く同じ伝統を守り続けている。新竹の色合いが、少し落ち着いてきた三個の籠をYouTube特別販売として動画で公開させて頂いている。


真竹洗濯籠


少しづつ微妙にサイズが異なっているから、それぞれ1点づつだ。


真竹脱衣籠


特にこの背の高い洗濯籠は、直径が約44センチに対して、高さが約78センチもあるから、普通の洗濯物を入れる籠としては底まで手が届かない。動画をご覧になられたお客様のアイデアで別の用途にご愛用いただきたい籠だ。


竹ランドリーボックス


通常は同じ方向にしか巻かない口巻を、サイズが大きいだけに反対に方向にも巻いて二重になっているのも特徴的な竹籠だ。





淡竹と孟宗竹で編んだ角ばった洗濯籠について

洗濯籠(角)


美しい青物細工を見る事は段々と少なくなってきたが、大型の竹籠で米揚げともマンゴク(万石)、コエジョウケ(肥ざる)、シカクジョーケと呼ばれていた横編みの籠は、ほとんど編まれる事がなくなった籠のひとつだ。綺麗に編まれた籠は、衣類を入れる洗濯籠としても重宝しており、かつて自分がどうして角型のものが欲しくて熟練の職人に製作してもらっていた事がある。


通常は真竹が多用される籠だが、こちらの洗濯竹籠(角)は孟宗竹と淡竹を使い丁寧に、堅牢に脱衣籠として作り上げられていた。角張った籠の作製には高度な技術が必要で、そもそも数が少なかったのだが虫喰い穴があるため、手元に置いていたものを皆様にご覧いただきたくて特別販売としてご紹介した。





虎竹菱四ツ目衣装籠の迫力

虎竹菱四ツ目衣装籠


最近、真竹を磨いた衣装籠ばかりが登場して少し面白くない、そんな訳でもないのですが久しぶりに登場したのが虎竹菱四ツ目衣装籠。奥の真竹磨き衣装籠と比べると、若干小振りだったりの違いはあるものの同じ編み方で用途も同じ、並んでいると見た目の色合いの違いが際立って、なかなかの迫力だと改めて思っている。


真竹磨き衣装籠


衣装籠というネーミングにしているが、もちろんお客様によっては色々な使い方をして頂く竹籠。このようなサイズ感のある実用的な生活シーンでは、竹の軽さ、しなやかさ、手触りの良さなど竹の魅力が十二分に発揮される。お好みの方をお選びいただいて、うるおいある毎日にお役立ていただきたいです。


真竹磨き衣装籠の作り方動画は、1週間足らずで4000回を超える再生回数で職人も喜んでいる。虎竹こそ、自分達が100年を超えて守り続けて行く竹だ、こちらの職人の仕事も是非動画でご覧いただきたい。





虎竹ランドリーバスケットの力竹

虎竹ランドリーバスケット


虎竹ランドリーバスケットとしてご使用いただいてる竹籠は、定番の六ツ目編みで実に様々なサイズがあり、昔から多くの方に愛されてきた。しかし、これだけの大きさになって衣類を入れるとなると、底の力竹が必要となってくる。そこで、力竹をどう入れるか?何種類かパターンがあって、試してみたところ一番しっくりくるのがこの三角型であった。


古い竹籠


もういつだったか忘れてしまうほど前だったと思うけれど、飴色に変わった白竹の籠に三角の力竹が入れられていたのを最近思い出した。力竹を考える時に以前見たイメージが、もしかしたら無意識に浮かんでいたのかも知れない。


虎竹ランドリーバスケット


そう言えば、以前の30年ブログにて、虎竹ランドリーバスケットなどに使われている六ツ目編みが、魔除けの印として知られていたお話しをした事がある。それでなくとも、編み目のひとつひとつを目の玉に見立てて、籠で悪霊を退散させる風習は昔から日本にあった。また台風が近づいて来る、多くの籠に囲まれながら目に見えない力や大自然に対する畏怖の気持ちを忘れないようにしたい。





真竹磨き衣装籠を編む竹職人

真竹磨き衣装籠


夏前からずっと気になっていた真竹磨き衣装籠に、ようやく取り掛かる事ができた。冬に伐採した真竹が多すぎたのか、自社で活用するスピードが遅かったのか、おそらく両方のような気がするけれど倉庫を見てみると、思うよりも真竹は随分と余っている。シーズンに伐った竹だけを使って製品作りをしていくのだから、竹は足りなかったり、余ったりする。


竹職人


それでも昔のように、湯抜き釜で白竹にしていれば心配ないが、原竹そのままで保管していると傷んで使えなくなる事もあるから、やはり竹の仕事は難しい。


真竹磨き衣装籠


厳選した竹材を使って竹籠づくりが始まった。


真竹


おっと、それにしても竹林で伐採したばかりの竹と、職人が手にしている竹や編み上がった衣装籠の色合いが全く違うと気づかれた方は鋭い(笑)。


真竹磨き衣装籠


どうして、このような見た目の違いになるのかは、真竹磨き衣装籠の職人動画をご覧いただくと、なるほどと納得する。そして、意外と見えない所にも職人の技と手間とが掛かっている事がお分かり頂けると思う。





機械ではありません、虎竹六ツ目ランドリーバスケット

虎竹六ツ目ランドリーバスケット底編み


先日、お客様とお話ししていて驚いた事がある。ご年配のその方は店舗の籠を手に取りながら「どの部分を職人さんが作るのですか?」と質問されるのだ。「えっ?」どの部分というか、一本の竹を割ってヒゴにして、編み上げて仕上げるまで全て手仕事だと説明するとポカンとされている。


虎竹六ツ目ランドリーバスケット


あまり竹細工などを使った事もなく、関心がある方ではなかったそうなのだが、竹籠とは機械で作るものだと思っていたそうなのだ。これは笑い話ではない、自分達にとっては当たり前だからお伝えせずにいると、もしかしたらこの方のようにご存知なかったり、関心を持つ事ができない方は多いのかも知れない。


虎竹六ツ目編み籠職人


日本唯一の虎竹の事、そしてその竹を使って編み上げられる六ツ目ランドリーバスケットの事、もっと知っていただく努力が必要だと痛感した。


虎竹六ツ目ランドリーバスケット


しかし、まあ確かに、このように丹精な籠をご覧になられると、機械でも使っているのかなあと考える方がいても不思議ではないか。この季節に軽やかな籠は涼味を感じて大好きです。





編み上がったオカメザサの籠を手にして

 
オカザサ、メゴ笹洗濯籠、竹虎四代目(山岸義浩)


オカメザサ洗濯籠が編み上がってきました、高知ではメゴ笹と呼ぶ非常にしなやかで竹編みには適した竹材です。竹材と言いましたが、まるで笹のように細く小さいのですが立派な竹の仲間です。竹には伐採の時期がある事は度々申し上げていますけど、伐採時期をしっかりと守ることが素材の品質管理をする上で大切になってきます。


オカメザサ、神楽笹


孟宗、淡竹(はちく)、真竹でも筍の生える時期が違うので実は伐採時期は竹や地域によって異なっています。オカメザサ(メゴ笹)も一年の内に数ケ月程度しか伐採に適した期間はありません。決まった伐採時期があるのは他の竹材と同じなもののオカメザサのやっかいな所は、伐採して数日の間に編み上げないと堅くなって竹材として使えなくなる事です。


オカメ笹、神楽笹籠


これは籠編みの素材としては本当に難しい。虎竹や真竹なら竹材を一年間保管しておいて必要なだけ割りながら使う事ができるのに、オカメザサ(メゴ笹)洗濯籠は伐採して5日間程度しか使用でません。だから竹虎でも一時は「幻の籠」とずっと言われて続けてきて見ることすらできなかったのです。


メゴ笹籠


それにしても出来あがったばかりの青々としたオカメ笹の籠は水分を含んでズシリと手にきます、小振りな持ち手付の籠でも「えっ?」と思うくらいの重さです。


メゴ笹手付き籠


ところが、これがほんの数日も経過すると、みるみる青みが抜けてきます。白っぽく乾燥してきて、自分が数年使う籠など最後には体感で3分の1くらいの軽さになって持ち運びもも楽だし扱いやすくなっています。さらに編み込みがギュッと締まる事によって硬く強くなるから最高に素晴らしい籠なのです。




忘れられた逸品、シダ編み脱衣籠

 
シダ編み二重脱衣籠(大)


洗濯機の回る音を聞きながら艶やかなシダ編み二重脱衣籠の滑らかな手触りを楽しんでいます。竹編みの脱衣籠は虎竹を始めとして白竹や青竹、染竹、篠竹まで色々あって好みでお選びいただけますが、どれも同じように竹を割って竹ヒゴをこしらえてから編み込みます。メゴ笹のように丸竹をそのままに編み込むのであれば毛羽立ちもなく衣類を傷める心配がなく理想的です。しかし更にシダ材の場合は節もなく、良く本当にこれだけの自然素材があるものだと改めて感じ入るのです。


虎竹の里、シダ


かっての最盛期には良質のシダの産地とも知られた虎竹の里らしく、虎竹の足元にはシダがずっと向こうまで茂っていました。プラスチック製品が普及するまでは各ご家庭のキッチンや脱衣場に当たり前のようにあり愛用されてきた籠を、二重編みなどの技法でデザイン的にも機能的にも更に進化させ洗練された籠があります。里山の素材や技を同じ日本の皆様にお役立ていただきたいのです。




隠れた名品、白竹ランドリーバスケットをご存じでしょうか?

竹虎四代目、洗濯籠


白竹ランドリーバスケットをご存じでしょうか?実は竹虎でも、かなり自慢の竹籠のひとつなのです。


白竹ランドリーバスケット、持ち手


まず、お洗濯ものを入れたまま持ち運べるように、丈夫な持ち手。


白竹ランドリーバスケット、足


安定感がよいのは丸竹を活かした足部分があるからです、これもなかなか秀逸です。


白竹ランドリーバスケット


そして何よりイチオシの部分は竹ヒゴでの工夫です。


白竹ランドリーバスケット、竹ヒゴ


実は竹ヒゴは二重になっていて表も、裏にも竹表皮が来るようになっているのです。これは洗濯物を傷めない職人の心使いなのです。


洗濯籠


最後にスタイル、やはり格好イイ。


復刻、竹の洗濯籠

 
白竹ランドリーバスケット


昔は普通に、当たり前のように竹が使われていて、今は別のものに変わってしまった、そんな竹細工は沢山あるがです。懐かしさもあるし、機能面もありますが、それよりも生活にうるおいや豊かさを感じさせてくれるので、竹で復活させてたいなあと思う事が度々ですちや。


ところが、手作りのものというのは、まっこと大変ながぜよ。いったん作られなくなったものは、本当に作れなくなってしもうちゅう。加工機械があるワケでもなし、刃物ひとつで作られる竹細工なので、もしかしたら簡単かと思われる方もおりますろうか?いやいや実は全く反対で、考えてもらったら分かるように、すべて職人の手で生み出さねばならないので、その技が失われたら、何ひとつ再現する事はできなくなるのです。


虎竹ランドリーバスケット


白竹ランドリーバスケットとして販売させていただく籠は、もともと昔から洗濯籠として広く愛用されていたもの。上げ底になっていて通気性を考えた素晴らしい暮らしの中の籠。なんとか復刻できて、ひとつの形になっちゅう良い例ですちや。


この竹籠には白竹だけでなく虎竹のものもあるがです。もちろん昔の磨きの竹ヒゴで編まれた熟練職人さんのようにはいきません。手元に大事に置いて毎日のように眺めている伝統の籠には、それ特有の雰囲気と気品のようなものを感じますけんど、復刻した洗濯籠には、どこかモダンな現代風のスマートさがありますし、何より消えていた灯火をこうして、ひとつでも灯し直すことが出来た時には、まっこと嬉しい気持ちで一杯になるがぜよ。