思えば、長く続いている「竹虎通信」。今回ので247号となるけれど、第一号は2002年の9月だから既に22年も続けている事になる。毎月発行していたものが、昨年からは季刊にさせてもらった。見栄えは時代によって、ずっと変化し続けてきたものの虎竹への気持ちは変わらない。
いや、そんなに器用ではないので変えられないのが正直なところ。竹のように真っ直ぐにしか出来ないのだから仕方ない。
今年の猛暑も、さすがにこれからの季節は少しづつ鳴りを潜めていくだろうから、キャンプなど屋外に出かけられる方にも竹竹ピクニックバスケットやランチボックスは、ご覧いただきたい。
皆さんが何気に「竹皮」と呼んでいるのは、正確には筍の皮の事だ。筍が生えてから、わずか3カ月程度で十数メートルの竹に成長するまで、筍は竹皮を脱ぎながら大きくなっていく。毎日、驚くようなスピードで高く伸びる竹の根元に残されているのが竹皮と言うわけだ。
糖質ダイエットが随分前から言われていて、自分もお米やパンをできるだけ控えるようにしているけれど、実は最近、玄米おにぎりの美味しさに目覚めて良く食べている。玄米も白米も、糖質量はあまり変わりはないようだ、しかし、血糖値の上昇の早さに違いがあり、食物繊維も豊富だし、電子レンジで温めるだけの手軽さもいい。たまに、白米もやっぱりイイ(笑)、竹炭を入れて炊いたご飯は格別、日本人に生まれて良かったと思ってしまう。
虎竹おにぎり弁当箱と、国産竹皮を掲載いただいた雑誌「mono」は、そんな日本の食文化の原点のような表紙になっている。
竹編みの弁当箱だけでなく、現在はほとんど輸入品ばかりになっている国産竹皮も見直されると嬉しい。乾燥していると硬く手使いづらく思える竹皮は、水に湿らすと柔らかくて自然素材の素晴らしさを感じていただける。
直線的なデザインが特徴で、四角形や長方形の角ばった箱型の竹細工を角物と呼ぶ。通気性の良さや、見栄えの格好良さもあり弁当箱、ランチボックスやピクニックバスケットなどが人気だ。竹虎のお客様の中には、キャンプなど屋外の行楽やイベントに持って行かれる方も多い。
元々、このような角型の籠は豆腐籠とも言われて、近所に来たお豆腐屋さんから買った豆腐を自宅に持ち帰るために使われていた。現在では、パックで売られている食品が当たり前だが、昭和の時代には近所の魚屋さんにも平ザルを手にして行ったり、野菜なら少し深さのある手提げ籠などが普通に愛用されていた。
古くからある伝統の技法の角物細工、興味のある方でも真竹を晒した白竹で作られたものを見る機会が多いと思う。虎竹で製作すると、同じ角物もグッと渋さを増すのです。
竹弁当箱は種類も多く、好きな方なら手にとって見るだけでも楽しくなるに違いない。弁当男子という言葉を覚えておられるだろうか?そんなに昔の事とも思っていなかったけれど、話題になったのは2008年末だそうなので、もう随分と前になる。その頃は、竹に限らず弁当箱も色々とあって専門店が出来たニュースを見たような記憶もある。
さて、ずっと定番で作り続けられている白竹ランチボックスは、ガッチリした作りで若干サイズが大きめとなる。そこで一般的な長方形の形だけでなく、正方形のタイプも女性向けに人気となっている。
イタヤカエデの樹皮を使う、イタヤ細工の職人さんの仕事を拝見した事がある。南北に長い日本は、地域によって身近に手に入る自然素材が異なるので、それを本当に上手に活かしてきたと思う。イタヤの質感も独特だが、編み方は竹材と同じで面白い。
コロナ禍によって、会社や学校に通う事が常識ではなくなり、もしかしたら弁当箱への需要は一時的に減少したのかも知れないけれど、屋外の行楽やアウトドアで再び注目されている。120年に一度の竹の開花で竹林が枯れてしまい少なくなっているスズ竹素材でも、小さな弁当箱は比較的に作りやすいので四角い形の物も少しづつ編まれている。
昔からずっと、吉野川流域の真竹を使って生産されてきた国産竹皮が、職人さんの高齢化と共に生産できなくなり、お客様には長い間ご迷惑をおかけしていた。竹皮草履用に竹皮を拾い集めている職人さんの苦労を知っているのだが、包材用としての竹皮集めや加工も本当に大変だ。
「雨後の筍」という言葉通りに、筍は水分があるとグングンと成長する。そして、1日に1メートル以上も伸びるという、驚異的な生命力を発揮する中で、竹皮を脱ぎ落としていくのだ。ところが、真竹の成長時期は梅雨の湿気の多い時に重なるため、竹林に落ちた竹皮をそのままにしていると腐りやすい。だから、毎日のように竹林に入り、前日に落ちた竹皮を拾い集めて回っている。
自然の筍は大きさはそれぞれ違うから、当然その筍を包んでいる竹皮のサイズは一枚一枚異なっている。国産竹皮の生産が多かった時代には、専門の職人がいて神業のような速さで竹皮を大きさ別に選り分けていた。
ところが、今では選り分けるほどに大量な量が流通する事はない。業務用などには、とても出来ないが、安心して竹皮をお使いされたいご家庭のお母様方に少しづつご提供させてもらう事はできる。だから、サイズは細かく選別することなく、50センチ前後のサイズと40センチ前後のサイズの2種類だけとしている。
幅は16センチから22センチまでと、かなり差があるけれど、これも天然の国産竹皮を皆様のお手元に安価にお届けするためにはご承諾いただきたいと思っています。それでも、竹皮は毎年筍が生えるので、国内の多くの竹林で全く活用される事なく朽ちている、それを少しでも皆様のお役に立てられると嬉しいのです。
おっと、この白っぽい竹皮は虎竹の里の淡竹(虎竹)のもの。真竹と淡竹は太さも見た目も似ているものの、竹皮だけはこのように全く違っているのだ。
雑誌「momo」に掲載いただいた白竹三段ピクニックバスケットは人気となっているキャンプやハイキングに持っていっても雰囲気が良いので、皆のテンション上がりそうだ。竹弁当箱の中でも一番容量の大きなタイプを取り上げてもらっているが、竹のピクニックバスケットやランチボックスはタイプやサイズを結構色々とご用意しているので、お出かけの人数などによって楽しくお選びいただきたい。
野外の行楽特集で知らなかった便利そうなグッズが載っている、こうしてドンドン新しい物が作られていく中で昔からある伝統の竹細工は少し異色ではないだろうか。しかし、思えば自分たちにとっては馴染みの弁当箱のひとつであっても、今までご存じなかった若い世代にとっては、まさに新製品のような感覚かも知れない。
白竹三段ピクニックバスケットは、ご家族の人数にあわせてご使用いただく事もできるので、使い方やお手入れ方法はコチラのYouTube動画も参考にしてください。
竹弁当箱の良さのひとつに通気性がある。細かい竹ヒゴでギッシリと編み込まれていても小さな隙間はあって適度に熱や湿度を逃がして中の食材が蒸れる事がない。夏のレジャーに、秋の運動会にと、是非活躍させていただきたいと思っている。
虎竹と白竹で作るランチボックス、ピクニックバスケット、二段・三段ピクニックバスケットは、角物と呼ばれて普通の竹細工とは一線を画しています。大量の細かい竹のバーツを用意して編むと言うより、組上げると言う表現方が分かりやすい角物細工の職人の仕事は、虎竹ピクニックバスケットを製作する工程をご覧いただくと納得されると思う。
そんな角物の二段弁当箱でも、恐らく誰も見た事のないような籠が出てくるのが山岸家の食器棚なのだ。奥から取り出した50年前の虎竹は色艶が増して風格満点、持ち手の足が長く伸びて底の通気性が良い所など本当に秀逸な作りだ。二代目義治でないと思いつかない発想だと圧倒される。
今日のお休みは絶好の花見日和なので、桜の名所には沢山の方が向かわれている事だろう。竹虎は新年度から社内でいくつかの大きな変革を予定していて、その準備で自分は窓から眺めるしかないけれど、それでも山桜が焼坂の山々を彩り美しい。
「花より団子」という言葉があるように、行楽に行かれる皆様には綺麗な桜も楽しみだけれど、美味しいお弁当の方を心待ちにされる方も少ないないと思う。
竹虎のお客様の中には、竹のお弁当箱を持参されている方もおられるのではないか?などと想像している(笑)。虎竹三段ピクニックバスケットなら遊びに行かれる人数によって二段、三段と使い分けられるので便利だ。
何より、竹の弁当箱など周りをご覧いただいても誰も使っている人などいないと思う。日本唯一の虎竹なら尚更だ。楽しいお花見が何倍も盛り上がる事間違いない。
使いやすい手付きの角籠で人気となっている竹ピクニックバスケットは、元々は豆腐籠と呼ばれていて近所に来たお豆腐屋さんで買った豆腐を持ち帰るのに使われてきた籠だ。豆腐を籠に入れる?少し違和感を感じられる若い方もいるかも知れない。ところが、今ならスーパーで普通に見かける肉や魚を入れたトレーの無かった時代には、魚屋さんに竹ざるを持って出かけるのは当たり前の事で、竹ざるに夕ご飯の魚を載せてもらっていたのだ。
竹籠や竹ざるが毎日の暮らしに欠かせなかった当時のお話しだ。豆腐籠が豆腐を持ち運ぶ道具としてだけでなく、お弁当箱や小物入れなど様々な用途に活躍しだすと金属製の留め具が使われるものも出来てきた。
しかし、竹に合わせて金具を製作するのなら良いけれど、既製品の金具を竹に取り付けるのはどうも似つかわしくない。それなら昔ながらの竹の留め具がやはり好ましい。