秋の夜長に竹灯り

竹灯り


3つ揃って並んでいるのは竹編みの製品です、今は竹タンブラーを中に入れていますけれど元々は「竹かまくら」と呼ばれて日本料理店などの演出のひとつとして作られていたものなのです。


竹照明


ところが時代の変遷と共にあまり使われることもなくなり行き場を無くしていました。昔から丁寧な仕事をされてきた職人の顔が目に浮かびます、せっかくの竹編みが誰の目にも触れず活躍しないままいるというのが忍びありません。


竹ランプ


そこで、内側に入れている竹タンブラーなのです。この中には電池式の小さな電球を入れました、この電球は蝋燭の炎が風に揺らぐようにユラユラと灯ります。ちょうど季節も秋なので、夜長を楽しんでいただく癒しの竹灯りとして生まれ変わりました。





虎竹縁台の作り方

虎竹縁台職人


日本唯一の虎竹を使ってずっと作り続けている縁台があります。竹虎二代目義治が考案してすでに40数年が経っていますが皆様にご愛顧いただきながらロングセラーとなっている製品なのです。


虎竹縁台製造


さて、それではこの虎竹縁台は一体どのように製作されているのでしょうか。脚部分を竹から木材に変更した他は、形、大きさ、構造まで昔からほとんど変わる事がありません。


虎竹、竹虎四代目(山岸義浩)


両サイドには特産の虎竹を使用しています、頃合いの太さで節間の短い元部分の竹は土場の選別作業の時から特別に選り分けられています。太さ、節間に加えて色合いと三拍子そろった竹なので実はかなり難しいのです。


虎竹縁台


座面に並べているのは同じく特産の黒竹です。びっしり隙間なく使えるように真っ直ぐな竹を使いますけれど、もちろんこんな真っ直ぐな竹は自然にはありませんので一本一本すべて「矯め直し」されています。これはガスバーナーで炙って油抜きをする際の熱を利用して矯正するのです。鉄は熱いうちに打てと言われますけれど竹も熱いうちだと曲りを真っ直ぐにできるのです。


虎竹縁台、職人


黒竹を四万十カズラで縛っていくのも昔からのやり方、こうやって職人の仕事を見ていると内職のおばちゃんを思い出します。忙しい時期にはこの座面の工程だけすぐ近くで製作頂いていた事もありました。


虎竹縁台


竹の縁台と聞くと若い方はご存知ないし、ある程度のお年の方は古いイメージしかないのかも知れません。けれど、モダンな雰囲気に溶け込むのが竹の素晴らしいところです。ずっと長く製造できているのがその証だと思っています。






オーバーナイツ

白竹籠、忘れな盆、オーバーナイツ


今年は40年、50年前の竹細工、竹製品をデッドストックという形でご紹介させていただく機会が何度かありました。この白竹製の盆ざる(オーバーナイツ)も実はそのような昭和の時代に人気だった竹細工のひとつなのです。


白竹籠、忘れな盆、オーバーナイツ


オーバーナイターと聞くと随分前に愛用していたハートマンというアメリカ製の鞄を思い出します。確かベルティングレザーという工業用にも使われる丈夫な革が使われていましたが、自分と同じように1、2泊の旅行用鞄を思い出される方が多いかも知れません。


白竹籠、忘れな盆、オーバーナイツ


しかし、オーバーナイターには携帯電話や腕時計など身の回りの小物を一晩置いておく収納ケース(忘れな盆)という意味もあって実は50年前には竹製の盆ざるオーバーナイターが世のお父さん方の間で人気だった事があるのです。


白竹籠、忘れな盆、オーバーナイツ


当時は、どのご家庭にもコタツがありましたので座椅子の横に置かれた竹製オーバーナイターに腕時計、煙草、ライター、財布や鍵など毎日持ち歩く大切なものを入れておきました。就寝時には枕元まで持って行って慌ただしい翌朝に備えるために長い持ち手が付いていました。


白竹籠、忘れな盆、オーバーナイツ


先にお話ししたハートマンのベルティングレザーが好きだったのは使い込むと飴色に変わっていく革の光沢でした。この白竹細工も時間の経過によりこれだけの色合いに違いができるのでたまりません。


白竹籠、忘れな盆、オーバーナイツ


それにしても、こんな歴史と格好良さのある竹ざるがあれば忙しい朝も気持ちよくスタートできそう。もちろん慌てて何か忘れものをした等は皆無です(笑)。



京都の手箒

松井竹材店の手箒


古都のお寺には沢山の方が訪れて庭の美しさに目をうばれていますが、あの庭園の管理には大変な労力と技が隠されている事をご存知でしょうか?そのひとつとして、ここに京都は松井竹材店さんの製作される小さな手箒があります。全長約45センチ、別になんという事もないとお思いかも知れません。


松井竹材店の手箒


ところが少しご覧いただきますと尋常ではない作りに気がつくかと思います。


松井竹材店の手箒


丁寧にまとめられた竹の小枝、切り口、節、漂ってくる品格、ちょっとしたアート作品のようにも見えます。


松井竹材店の手箒


更に目に見えない品質がこの細やかな竹穂です。


松井竹材店の手箒、竹虎四代目(山岸義浩)


この柔らかな竹穂があってこそ庭園を美しく保っている苔の手入れが出来るそうです。しかし、この竹穂は若竹の穂でしか作られません、竹細工に適した3~4年竹では最初は柔らかい竹穂が次第に硬くなり使えないと言われるのです。


孟宗竹、清水銘竹店


普通の竹林では若竹など伐採しないので、それでは枝の入手は困難ではないかと思いがちですが、さすが京都は竹どころ上手くできています。図面竹を生産する向日市、清水銘竹店さんでは1年竹を伐採しますので、その竹穂が手箒に使われるのです、


松井竹材店の手箒、竹虎四代目(山岸義浩)


この手箒あってこそ、あの青々とした苔の庭が楽しめると思うと小さな手箒一本を見る目が変わってきませんでしょうか。


松井竹材店さんの手箒


それにしても、あまりの美しさに床の間に飾りたくなるほどです。ちょっと試しに置いてみました、末広がりの形が縁起も良さそうです(笑)。



特注の竹簾で漉く土佐和紙は...?

特注竹簾


別誂えで色々なサイズの竹簾をご用命いただく事がありますけれど、これだけ長いものはあまりありません。しかも今回はこの竹簾で和紙を漉くと言います、和紙職人さんの方も初めての仕事なので竹簾作りも手探りです。和紙漉きに最適であろう一枚が完成したところなのです。


竹和紙繊維


竹虎では虎竹繊維を使った和紙を土佐和紙職人さんにお願いして漉いてもらっています。ドロドロの繊維質になった材料が手漉きされる様子をご覧になった事はありますでしょうか?





このようにして和紙漉きをする際、今回の動画では使っていませんでしたが水切り部分に使われるのが竹簾なのです。


和紙漉き


どんな風合いの和紙が漉きあがるのでしょうか、漉きあがった土佐和紙は東京の某ホテルさんの壁をすべて飾ると言います。和紙風壁材ではありません、本物の手漉き和紙で作られる空間というのはどんなに温もりがるのか今から楽しみにしています。


虎竹ソファベンチに横になって見る夢

虎竹ベンチソファ、竹虎四代目(山岸義浩)


三台製作している虎竹やたら編みソファベンチは竹虎本店に置いてお客様に自由に
座っていただけるようにしています。見比べていただければすぐにお分かりになるように最初に作ったモノと新しいモノとでは見た目も座り心地もかなり違います。


虎竹ベンチソファ、職人


骨組みとなっている鉄製フレームを虎竹で編み込ながら仕上げていますが、初めての時にはその鉄フレームを重ねて溶接していたために若干の段差がありました。


虎竹ベンチソファ


竹の編み込だけでは修復は難しくて座面や側面をフラットにすることが出来ませんでした。


虎竹ベンチソファ編み込み


改良してもらった二度目のフレームでも平らで腰かけやすい座面には少し及ばず三度目のフレーム製作となりました。


虎竹ベンチソファ、竹虎四代目(山岸義浩)


時間と費用がかかるのはいつもの事です。横になってウトウトしながら、このソファベンチが何処かのロビーで見られるようになる事を夢見ています。



スズ竹行李、柿渋で仕上げた一閑張行李

スズ竹行李


中学校から全寮制の学校でしたので入学時には自分用の衣類はプラスチック製の収納ケースを運んで部屋に入りました。もう何十年も前の話ですけれど衣装ケースと言えば軽いプラスチック製か、少し丈夫な金属製かのどちらかで誰ひとりとしてスズ竹で編まれた衣装籠など持っている生徒はいませんでした。


スズ竹行李


当時の事なので恐らく自宅ではまだ使われていた人もいたはずですが、さすがに小さな子供にわざわざ竹行李を持たせる親などいません。安価で扱いやすいプラスチック製のケースがいくらでもありました、竹はこうして忘れられていったのです。


スズ竹行李


プラスチックなどとは比べ物にならない通気性があり、プラスチックのように割れたりすることもありませんので持ち運びや使用時の耐久性も格段に上。さらに使うほどに色合いと光沢が深まり愛着が増して手放せなくなりますから、そもそも同じに考えること自体が間違い、まさに別次元なのです。


スズ竹行李


衣装を収納するのには柳行李か、このスズ竹行李かという時代がありました。柳行李も非常に堅牢性の高い自然素材です、そして同じように用途にあわせて色々なサイズが作られていました。


柿渋一閑張行李


柳行李もスズ竹行李も良質の素材や職人が少なくなり製造数は激減していて、それが竹の一閑張行李を製作することにした背景ともなりました。竹素地に土佐和紙を貼って柿渋で仕上げた自然素材の衣装籠をだすと猫ちゃんも自然近寄って昼寝をはじめます。竹のある暮らしで作りたいワンシーンです。


竹根の団扇立て50年

竹根団扇立て


久しぶりに懐かしい竹根の団扇立てに出会う事ができた。竹は根から葉まで捨てるところなく利用されてきたが特に竹根は見た目の面白さだけでなく、しなりと粘りと強さもあり太さも様々だったので小物からステッキなど大きな物まで色々な製品に加工されてきた。喜劇王として知られるチャップリンのトレードマークとして持っていた竹根ステッキも日本製だった。


竹根団扇立て


それにしても50年前の創業当時に製作されたものだという団扇立ては色々な形があって見ているだけで楽しくなる。現在でも竹は沢山あるものの竹根を掘って提供してくれる人がいなくなった、そして在庫がある限り製造を続けていた職人が一人、また一人とやめていく。


竹根盛器


そんな中、この竹根の盛器は当時の職人の技術の高さと心意気を感じて嬉しくなる。曲げの角の部分には焼け焦げが見える、これはダメだろうか?いやいや、これがまた大量生産されていた証であり、小さい頃から慣れ親しんだ職人仕事の名残りのような気がして愛おしいのである。



樹皮を使った細工たち

樹皮籠


日本中に成育しているキハダ(黄膚、黄柏)は、内皮を胃腸薬に使用されるなどされてきた薬用植物のひとつです。そして胡桃や、山葡萄、マタタビ科のツル植物であるサルナシなど、まるで、室内に樹木がそのままやって来たように感じる山の素材をそのまま使った樹皮籠があります。


スペインで見た樹皮買い物籠


竹と木は同じような所に生えていますので似た者同士と思われる方はいらっしゃいませんでしょうか?竹は地下茎でそれぞれの竹が繋がっていますが、木はそれぞれ単体で根を張っているとか、成長のスピードや材質、性質など全く違う植物です。


ただ樹皮の自然感には竹表皮の美しさにも通じるところがあり魅かれるところがずっとありました。実はそこにハッと気づいたのは2月に訪れたスペイン、ビトリアの街中でした、店頭に置かれた樹皮編みの手提げ籠に目が釘付けになったのです。


樹皮笠立て


なんと素朴で味わい深い籠だろうか?人と木が共存している...自分で竹林に分け入り、笊を編む分だけの竹を伐り出し庭先で黙々と竹編みをはじめる、あの職人さんの顔が浮かびました。しかし、こんな遠い国に来ずとも自分達が竹を生活の中に取り入れているように、木が普通の毎日にある暮らしは日本にあります。


桜皮鞘


胡桃の樹皮を使った傘立て、イタヤカエデで編まれた籠に入っているナタやハサミの鞘にはヤマザクラ。


キハダ、胡桃手提げ買い物籠バッグ


丈夫な山ぶどうを樹皮の繋ぎ目を編み込む紐に使い、口巻に使い、一番傷みやすい持ち手にした樹皮手提げバッグまであります。


胡桃樹皮


胡桃の材質は柔らかく木材としての価値はありませんが、樹皮は手提げバッグなどに多用されていて近頃では表裏の風合いの違いを活かした面白いものも良く見かけます。


樹皮籠


すべて天然の樹木からなので同じ種類の木であっても見た目にはかなり違いがあるのも魅力です。


東北の山々


日本は北から南まで長くのびた国なのだと改めて感じます。南国高知の車内ではエアコンが必要だったのに、こうして東北にやってくると山々は雪景色が広がります。このような寒い気候に鍛えられた木々は、四国の樹木と違う良い表情をしているのです。


ANA機内の安全動画に注目!漆を使った一閑張り

Japan Creative、竹虎四代目


竹虎に来社された事もあり、ストックホルムで「Japan Creative」の展示会にもご一緒させていただいた廣村正彰さんが東京五輪ピクトグラムを開発されたとニュースで放映されていました。


誰でも見ただけでスポーツをイメージできる分かりやすいデザインは、さすがだと思いましたが来年にせまった東京オリンピックに向けて、このような海外から来日される方に向けた色々な動が活発になっているように感じています。


ana機内安全ビデオ


ANA機内にて離陸前に放映されている機内安全ビデオも歌舞伎風に変更されています。日本らしくて素晴らしいと思いますけれど、これもオリンピックで海外からのお客様が増える事を意識しての事ではないでしょうか。


ANA機内安全ビデオ


この動画は、さすが全日空と思える凝った作りになっていて何度見ても楽しいのです。特にご注目いただきたいのが隈取(くまどり)した歌舞伎役者が手荷物を棚に上げるシーン、使っている小道具ひとつにもこだわりを感じます。


一閑張行李


本当に短いカットで一瞬ですので気づかれない方が多いかも知れません。しかし、良くご覧いただくと棚に上げている荷物は今では国産は少なくなった漆で仕上げた一閑張です。


そしてさらに、見えにくのですが昔の衣類収納の定番であったスズ竹で編まれた行李もチラリと写っています。(連日沢山の方が搭乗されると思いますが一閑張、スズ竹行李に気づいた方はアッパレ!)


一閑張行李


あまり光沢のある細工が好きではないので今まで竹虎では地元の土佐和紙を使い、柿渋で仕上げた自然な感じのモノ作りを目指してやってきました。国産の竹編みを使って柿渋で仕上げる一閑張行李など恐らく竹虎だけではないかと思います。


ですが先日のブログでお話しさせてもらったように、この動画に登場するような漆塗りの一閑張を試作中です。ビデオに出てくる黒塗りは少し重たいだろうかと考えていますが、耐水性だけでなく化学物質などにも強いと言う漆に期待しています。