高知新聞 2001年12月24日

新聞掲載
四国の手仕事のコーナーに竹虎が紹介されました。虎斑竹についてや、工場長が創作する竹細工や細やかな竹工芸、作品の数々をカラーで掲載していただきました。
高知新聞 2001年12月24日

竹工芸
虎斑竹を生かし、日常生活の場にも


日一日と寒さがつのってきたいま、須崎市安和の山あいでは虎斑竹(とらふだけ)の伐採の時季を迎えている。
竹は水分が少ない冬に切り倒して寝かし、しばらく置いたあと火であぶって油分を抜き、来春になって細工にかかるのである。
「いい竹を取るには、山づくりが大事なんですね。色(虎斑)のつかん竹は切ってのけんといかんし、山を元気にするには管理をしていかんといきません」
山岸龍二さんはそんなふうに言う。

家業の竹工芸の仕事を継いで十数年――。刃物を研ぐことから出発し、大分の竹工芸家、渡辺竹清さんのもとでも学び、伝統の技法を自分のものにしてきた。
「もともと自分で使うような物を作ってみるのが好きだったし、竹のパワーといいますか、ぐっと入っていける、のめり込んでいけるところですね。奥も深いし...」
虎斑竹は淡竹の一種で、幹に虎の毛色のような黒褐色の紋様が入る。全国でも安和にしかなく、移植も難しい。安和の自然や土中の菌が作用して、独特の虎斑を生じるのだろうと考えられている。
山岸さんは、この虎斑竹という自然の恵みを素材にしていろいろな物を作ってきた。
いちばん力を入れるのは、竹を割って削る"ひご"作りの作業。一ミリ、〇・一ミリの微妙な単位で、一本一本の幅を合わせ、慎重に削って紙のような薄さにする。それに比べれば、編んで形にしていくのは易しいそうだ。

竹製品の良さは、光沢や温もり、柔らかさにあって、年月がたつほどに味わいも深まる。いろいろな花器や文箱、短冊入れ、硯箱などの籠製品をはじめ、日常生活のさまざまな場に竹を取り入れてもらおうと、山岸さんは工夫と努力を重ねている。
しかし、竹は私たちの生活からだんだん姿を消し、わずかに竹ぼうきや割り箸などが残っているくらい。むしろ高価な工芸品と見なされるようになっている。
「ですから、いまの住宅のインテリアに合うもの、近くに置いてずっと使えるもの、衝立とかテーブルに置くものとか、新しいものをいろいろ考えてるんです」
また、お客さんが「ここが良い、あそこが悪い」「こんな品物は作れないか」と言ってくれる、その声がすこぶる参考になってうれしい。
「やってみたいこと、試してみたいことはいっぱいあるんです」
とも言う。

虎斑竹という全国にもまれな素材、それをどう生かすかは発送とデザイン、細工にかかっている。
「虎斑竹は山に生えているときがいちばんきれいなんです。自然に勝るものはないんですね。私は竹に助けられてやってきました。その竹自体の魅力を殺さんように、どうやって人に伝えていくか。まだ漠然としていて、わかっていないこともたくさんあるんですが...」
竹への情熱と意欲、新しい工芸品の創出――山岸さんの試行と苦労がこれからもずっとつづく。


(新聞「高知新聞 2001年12月24日」より転載)

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