■竹職人の冬
とある冬のこと、竹虎四代目が竹職人を訪ねると軒下に吊るされた大量の干し柿が出迎えてくれました。
話を聞けば、職人が一人で竹仕事の合間にコツコツと皮を剥いで吊るしたんだそう。
竹職人の元へ会いに行くと、一人一人の暮らしの中に人柄が優しく丁寧に反映されています。
別の竹職人を訪ねると海苔で巻かれた手作りの焼き餅を振る舞ってくれました。
竹細工の職人や内職さんの工房では、いつもいつも心温まるおもてなしを受けます。
こうした交流の中に、竹に関わる人々の温もりがあります。
■虎竹の里の冬
虎竹の里では今年も虎斑竹伐採の季節がやってきました。
毎年晩秋から一月下旬までの期間に、一年分の材料が山から運び出され、土場で選別されます。
その後、工場に運ばれた虎竹は七〇〇度の炎で油抜きを施され、より丈夫で美しい模様の竹に生まれ変わるのです。
そして、油抜きの熱を利用し、竹の曲がりをまっすぐに整える「矯め直し」が行われ、やっと一人前の「虎斑竹」となります。
冬の準備期間が美しい竹製品を生み出すのです。