竹皮スリッパ作り

竹皮スリッパ


「これは綺麗な仕事しているね。」


もう何年前の事になりますろうか?竹皮スリッパを手に取ってこう言うて褒めて頂いたのは、あるサンダルメーカーの社長さんでした。竹皮スリッパのEVAスポンジは機械で型抜きしちゅう訳ではなく、こうやって一足一足、竹皮に合わせて削りゆうがです。けんど、この削り出した作業が丁寧で、手削りしたとは思えないと社長さんは言うてくれたのです。


実は最初の頃の試作はワシがやりよりました。不器用なもんやきに何度やっても上手く削れず失敗の山やったにゃあ...。けんど、最初の一足が仕上がった時には、今のような完成度の竹皮スリッパでは無かったけんど、嬉しくて、嬉しくて、皆に見せてまわったもんぜよ。集塵機などの設備も無いし、ホコリが工場に舞うという事で外でしろと言われ、夜になり、コカコーラの自動販売機の灯りの下で真夜中まで、何度も何度も削りよった事も今は、まっこと懐かしく思いだされるがです。


「これは綺麗な仕事しているね。」あの社長さんの言葉は今でもハッキリ覚えちゅう。まっこと、ありがたい言葉やちや。



コメントする