タケちゃん

都会の空


もうかれこれ30年来の友達付き合いの彼女は、ワシの事を「タケちゃん」と呼ぶがです。竹屋やきにタケちゃんやけんど、初めて会うた時にはまだ医大の学生さんやった。いっつも自分の夢に向こうて全力疾走しよった。しばらくぶりに話した彼女は、仕事の資料を片手にやっぱり走りゆう。ちょうど空港バスの待合室で会うてから、伊丹行きの車中でゆっくり話ができたけんど、


「タケちゃん、仕事が面白いろう?」


「どうしてで?」


「歳をとって、エイ顔になってきゆう」


若い時から頑張りゆうにゃあと思いよって、今は開業医として活躍する彼女に言われると、こじゃんと(とても)嬉しいが違うちや。いやいや、けんど、仕事が面白いらあ言う事は余裕は無いがぜよ。日本唯一の虎竹を、100年の伝統をどうやって残していくか、しんどい事や、辛い事や、泣きたい事ばっかりやきに。けんど、周りの人が助けてくれゆう。天国の祖父が見ゆう。そして、自分がする事は分かっちゅう。


幸せな人生を知っちょりますろうか?朝起きた時に、自分にしか出来ない、自分だけの仕事が待っていること。ああ、これやったら、ワシも少しは幸せな人生やろうかにゃあ?ひょんな再会があって、何やら更に元気がモリモリわいてきて、今日の飛行機は「高知行き」というより「燃える自分行き」そんな気さえしてきたがです。


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