篠崎ざる

草薙秋男さん


竹は防災にも役立っていた事をご存じですろうか?地震の時は竹林に逃げろと小さい頃教わりましたけんど、竹の根は天然の鉄筋コンクリートと言われるほどあっちこっちに張りめぐらされちょりますので、地盤がしっかりしています、そこで高知県でも川の護岸用として川岸に竹を植えることが多かったのです。


四国で有名なのは吉野川の川岸やろうか。川沿いに走る高速道路から眺めるとさすが大きな川だけあって、竹林もこじゃんと立派なのです。これは東京でも同じことやったようで、江戸川沿いの護岸工事としては篠竹という少し小降りの竹が植えられこの篠竹を使うた竹細工が盛んやったそうなのです。


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「ウチのかごは、これだけ丈夫なんだよ」


この道一筋の草薙秋男さんは言います。篠崎ざると呼ばれ、当時は200軒もの竹細工職人がいたという地域。今では周りの景色もすっかり変わり、最後のお一人の職人となられているのですが、いろいろとお話をお伺いする機会をいただいたのです。


外縁


「外縁」の竹籠は持ちやすく、中にいれたもの他の容器などに移しやすい。まっこと(本当に)実用的な編みやと思います。東京で竹細工というのはピンときませんでしたが、竹を割ったような性格という言葉があります。


「竹は江戸っ子気質にピッタリなんだよ」


竹を天職とさだめ歩いてきたプライドかのぞきます。いやいや、格好のエイ竹職人さんながです。


めかいざる


ここ篠崎で、一番多く生産されちょったのがこの「めかいざる」昔は魚屋さんにも八百屋さんにもこの、めかいざるを持っていき食材をのせてもらって自宅まで帰る。そんな買い物のスタイルだったそうながです。この竹ざるを50枚重ねて紐で縛り、船にのせて川を渡って運ばれていったと言う話はテレビで見たことのある東南アジアの国々の川辺の暮らしを思いだします。竹とは、しなやかで、作る人と使う人で完成するものなんだよ。はじめて会うた職人さんがなんか懐かしい気がするのは祖父がいるように感じたからですろうか?


コメント(4)

濵田 國貞 返信

青木玉著『底のない袋』講談社刊。(p.126)に
「めかい笊」とあったので、検索したら、このページで見ることが出来ました。昔、見たような気もしますが。
この本には、篠崎の草薙秋男さんの名が出ています

竹虎四代目 返信

濵田 國貞 様

ブログをご覧いただきありがとうございます。
めかい笊は一昔前には、こじゃんと作られていたようで
生活の一部に竹細工がなくてはならないものであったがと思うがです。

草薙秋男さんの作られる竹細工は、まっこと綺麗で
しかも丈夫、実用的に作られたものばっかりでした。

高宮紀子 返信

篠崎ざるの記事、楽しく拝見しました。
お伺いしたいことがございます。素材の篠竹に興味があるのですが、
以前作っておられた方にお聞きしても、メダケでもなく、アズマネザサ
でもないと言われました。細いものと思いますが、わかりませんでした。
来週にでも江戸川区郷土資料館に行って報告書を見るつもりですが、
判明しない可能性が高いと考えております。
もし、竹虎さんにお伺いできるようであれば、お返事をいただければ
幸いです。
よろしくお願い申し上げます。

竹虎四代目 返信

高宮紀子様

お問い合わせありがとうございます。
篠竹を使った細工は他にもありますが
主に東日本を中心とした地域で西日本ではあまり見かけません。

スズ竹という、これも細く背丈も低い竹素材がありますが
地域により同じスズ竹でも微妙に違います
篠崎ざるに使われよりました篠竹は江戸川沿いに生えていたものだと
職人の草薙さんは言われよりました
関東で編まれていたメカイ籠も素材は同じ篠竹ですが
篠崎ざるの素材のと同じようで少し性質が違うように感じています。

ありがとうございます!

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