竹杯

竹杯


高知には「べく杯」言うて、天狗やひょっとこの顔の形をした杯(さかずき)があります。どうしてそんな形かと言うと、注がれたお酒を飲み干すまで下に置けないようになっちゅうがです。中には小さな穴の開いた杯まであって、指で穴を押さえておかないとお酒が流れ出ます。まあ、結局、お酒を飲み干さないと手が離せません。まさに酒豪高知ならではのモノではないかと思うがですが、竹虎にも竹虎ならではの竹杯がありますぞね。


けんど昔は、まっこと(本当に)いろいろな竹製品が作られよったものやと思います。本店の棚の奥にあった竹杯ですが、今では作る事のできる職人さんも居なくなり詳しい事は分かりません。大きな竹の節、こりゃあ、竹で出来ているのは間違いないけんど、一体竹のどこを使うちゅうがやろうか?びっくと不思議に思われませんか?


ご存じのように竹は身がそれほど厚くなく節はあるものの中は空洞です。杯のお酒を入れる部分は竹の節で出来そうだけれど、高台の部分は出来ないハズ。接着やろうか?いろいろ思われるかも知れませんが、実はこれは竹根の部分の身のつまった部分を削りだして杯に製作されちゅうようです。杯の縁部分には微妙に竹表皮を残したりするあたり、この職人さんは、かなりのセンスの持ち主。もう月見には遅い季節になりましたけんど、優美な宴を演出してくれそうな一級品を手に取りながらげに、まっこと昔はいろいろな竹製品が作られよったものやにゃあ。改めて、又思うがです。


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