若さん、売っとうせよ!

竹虎四代目


竹虎に入社したばかりの頃やったです。近くの内職さんの作業場に行ったらホコリもつれの職人さんが飛び出して来ます。


「若さん、売っとうせよ!」


「若さん、売っとうせよ!」


当時、自分は大学を卒業したばかり、竹の事など何も知らない青二才。「ボクちゃん」と呼ばれたり、「若さん」と呼ばれたりしよったがです。若いと言うたち二十歳過ぎの男をつかまえて「ボクちゃん」は無いですろう...。けんど、竹の古老から見たら、そうやったかも知れんぞね。


まあ、それはさておき、飛び出して来てしわくちゃの両手で頼まれたものですきに、まっこと(本当に)ビックリして、こじゃんと(とても)困惑したがです。そりゃあ、そう「おばちゃん、ボクにはそんな力ないで!!!」「若さん、アテは、この仕事しか知らんがやきに」自分に一体何ができるがぜよ。そう思いながらも、その声に押されて大都会のデパートの売り場に立ちよりました。足が震えたちや。田舎者の方言に、お洒落なスーツ姿が笑う。格好悪いにゃあと思いよりました。何で、こんな時代遅れのような仕事しゆうがやろうか?


それでも、あの時、あの、おばちゃんの声に背中を押してもろうたちや。心強かった、応援してもろうた。


竹虎の商品は日本一だと思っている。虎竹がここでしか出来ないこと、118年の老舗であることを伝える。自身が作る品物に誇りを持てる。竹虎はブランド。ガスバーナーで虎竹を製造している。竹の商品知識でプロになれる事。お客様に喜んでいただけるように工夫する。竹虎ならではのコンテンツを発信する。お客様からの声をすぐに反映する。人を元気にしてくれる商材を広める。インターネットを通じてリアルに伝えていく。毎日の積み重ねと継続。虎竹の里の風景、雰囲気を味わってもらう。お客様の知らない商品を紹介する。こんなものがあった!をお届けする。明るい会社。虎竹に一番近く、お客様に一番近く。


竹虎では毎月全員が集まって全社会議をしよりますが、そこで自分たちの働く「竹虎」について社員全員に尋ねてみたがです。その答え、一人、一人の言うてくれる声が、おばちゃんの声に聞こえてきた。今でもハッキリ耳に残っちゅう、おばちゃんの声に聞こえてきた。


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