竹の表札を手にして思う

竹の表札


竹はご存じのように中が空洞になっちょります。身の部分が薄いですので木材のように厚みのある製品ができません。そこで、集成材と言う技術があるがです。これは、薄い竹材を貼り合わせて大きな角材のような素材にする加工方法で、この竹素材を一枚板のように切り出し、フローリング材、壁材などの建築材をはじめとして大きなダイニングテーブルのようなインテリア家具まで、色々な竹製品に製造できる可能性が広がっちゅうがです。


竹集成材工場では割竹を風通しのよい竹置き場で十分乾燥させてから、大きな専用窯で圧力と高温をかけて炭化加工させよります。炭化させる事によりカビ止めや防虫効果を高めてから、大型の集成材加工用機械で次々と製造しよりました。


それにしても炭化用専用窯にしても集成材製造機械にしても、およそ今までの竹材店とは違う大がかりな施設がありますちや。竹は画一化する事が難しく、どちらかと言うと工業化とは遠い存在ですが、ここの竹工場は工業化という言葉が似合う雰囲気ですぞね。


さて、暮れの大掃除の時に古い段ボール箱から出てきた試作品の表札があります。実はこれも下地が竹集成材で出来ちょります。それにしたち、お洒落でセンスがエイですちや。こんな表札やったら家の格も、ちっくと上がる言うもんです。竹集成材はタテに色目が付いてハッキリと違うので、一枚一枚幅の薄い竹材を貼り合わせているのが分かるかと思います。竹特有の繊維の流れも木材等とは違うて独特ですし、所々竹の節の部分が面白い模様になっちゅうがです。


いつも言う事ですけんど、竹は不思議な力を秘めていて、こじゃんと(とても)成長が早いがです。一日に1メートル20センチも伸びる事がありますので、筍の生えだした竹林は、しばらく見なかったからその風景が変わったように感じるくらいですぞね。


だから、木材との大きな違いは、たった数年で製品利用できること、そして、地下茎で自然にドンドン増える事ぞね。継続利用可能な唯一の天然資源と言われる竹を、こんな形にして新しい活用方法を模索していくことは、これからの将来に向けて必要不可欠ですろう。竹の明日はどんなになっちゅうろうか?思い付きもしないような未来かも知れませんけんど、人に必要とされ続けゆう事だけは確かな事やと思うがです。


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