「竹に注意」虎竹の里の山道

虎竹山だし


「クマに注意」こんな立て札なら分かりますけんど、「竹に注意」...!山道で、こんな風に書かれた立て札を見たら、ご存じない方は、一体何の事だろう?不思議に思われるかも知れません。


虎竹の古里、焼坂の山道などを通ると、道路より上の竹林からは伐採された虎竹が斜面をゆっくりと、滑るようにして山だしされゆうがです。「竹に注意」の立て札は、そんな竹が勢いあまって道に飛び出す事もあるので、通行する方に注意を促しゆうと言う訳なのです。


山の職人さんが竹を伐る場合、ナタを使う職人さんと、鋸を使う職人さんがおられるがです。鋸の場合は切り口が平らになっちょりますが、ナタの場合やったら鋭角に、まるで竹槍のようになっていますので、道の上で竹を伐る音がしていたら自分などでも注意して通ようにしちゅうがです。


昔なら竹は筍を掘る、建材にする、身近な生活用具にする、農作業用に使う、玩具にする、そして竹細工を編むなど、衣食住の様々なシーンに活躍していた大切な山の恵みでしたが、今の日本では竹林は、もちろん遠くからは見るけれど、竹林に入った事もない、生えている竹に触れた事もない若い世代になればなるほど、そんな方も増えている時代ながです。大量の竹が伐り出される山出しをしていたら、ええっ!?何ごと?......事件か?真剣にそう思われるかも知れませんちや。まあ、虎竹の山の職人さん以外では、そんなに通行する事もない未舗装の山道です。


けんど、昔の遍路道をわざわざ歩かれている、遠くから来られたお遍路の方などが道一杯に竹が滑り落ちて来ている光景をご覧になられたら、さぞ、驚かれるのではないろうか?


「この山は不思議なところだねえ」


峠の山道で出会うたお遍路さんが、山頂から向こうの山々に竹が急になくなるのを見ながら話した言葉を今でもハッキリと覚えちゅうがです。


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