素朴なテミ

手箕


テミはご存じですろうか?漢字で書きますと「手箕(てみ)」。箕とも言われて穀物の選別など広く農作業用として、昔から使われてきた竹製品の一つながです。中に入れた穀物を振るうので持ち手が付いちょります。ご覧になられた事は皆様あるかと思いますが、なかなか実際に使うた経験のある方は多くないと思うがです


自分の小さい頃には職人さんが働く作業場に行っても、農家の友人宅に行っても普通にテミがあって、大人たちが物を運ぶ時など雑用には重宝していたのを覚えちょりますし、中学時代の野球のグランド整備にも、このテミで石を集めた事を懐かしく思いだすがです。昔からずっと力仕事で愛用されてきた道具だけあって、このテミというのは良く出来ちょりますぞね。両手で持ち手部分をグッと持って平たく成った部分をお腹に当てると、重たいものでもかなり楽に運ぶことが出来るがです。


まっこと、自分たちの作業用としても無いと困るようなスグレモノでしたけんど、竹だったものが、いつの間にか青い色をしたプラスチック製に変わり、そう言うたら高校卒業する事には竹製のものは無くなっちょったかも知れませんちや。プラスチック製のものは耐久性があり水にも強いですが、竹製のものは、しなりがあって使いやすかったように思いますぞね


まあ、そんな竹製の手箕ですが、もちろん使う事を目的とした作業用の道具ですきに、普通にあったものは、出来映えも普通のものでしたが、同じテミでも名人と呼ばれる職人作となると、こんなに素朴でいながら何とも味があって、格好のエイ一つの作品のようなものがありますちや。


決して細部まで丁寧に作り込むという事ではないがですが、無骨さと繊細さとが微妙にマッチして、そのままインテリアにもできそうなテミ。こんな伝統の技が継承されて来た日本の竹細工がこれからも続いていけるように、自分たちには何ができるがですうろか?ずっと見つめよったらテミが竹職人の顔に見えてくるぞね。


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