竹の紐で仕事する職人

竹ざる


近くの山に入って伐り出した竹は節間も伸びて、まっこと見事な竹ぜよ。その長い竹を肩に担いでもくもくと運ぶ竹職人。竹は元が太くて、ウラ(先端)は細くなっちょります。身の厚さも全然違いますので、当然両端の重さが違うがです。その上、伐ったばかりの竹は水分が多く生々しくてズッシリと肩にくる。そんな竹をバランスよく担ぐには、ちっくと経験もいりますぞね。最初はバランスが上手にとれずにフラフラ...フラフラ...。


「こりゃあ、イカン、本当に肩の骨が折れるがやないろうか?」


そんな風に思うほど肩は痛いし、方向が定まらないし、竹は小学校の頃から担ぎよりましたがこれが、なかなか慣れるまで大変やったにゃあ。けんど、不思議なものですちや。一旦コツを覚えたら、どんな長さの竹でも、どんな束の竹でもヒョイッと重心を測ったように担ぐ事ができるようになるがぜよ。職人さんの仕事を拝見しよったらそんな遠い日の事を思い出したりしますぞね。


天気のエイ、昼下がりに竹編みの工場に入ったら編みかけた竹籠がひとつ、ふたつ置かれちょります。これから縁巻きをして仕上げていく竹籠には型くずれしないようにと、中央の部分を紐で縛って固定されちゅうぞね。なるほど、なるほど、そうながやにゃあ。普通やったら、それだけの事ですがよくよく見たらこの紐、普通の紐ではないがです


「ええっ!?何と、竹ぜよ!!!」


竹を細く細くして紐替わりに使うているのです。さすがに昔ながらの竹細工の現場は違うちや。何ちゃあ、もっと使いやすいロープもありそうなものですけんど、熟練の職人さんは言うこと聞きません。ずっとやってきた自分のスタイルがあるのです。


そう言えば虎竹の里の山の職人さんの中には、ナタ一本だけもって竹林に入り、伐った竹を束にするのに、商品にならないような二級品の竹をササッと割って節をはらい細く割った竹ヒゴを紐代わりにして竹の束を又ササッと縛る名人がおりましたちや。竹の束は、さっきも言うた通り伐ったばかりなのでかなり重たいのですが、その竹ヒゴで二箇所縛るだけで、しっかり束になっちょりました。格好のエイ、しびれる職人と言うのは男も女も、若いも年寄りも関係ないきに。こんな仕事ができる人ながです。


コメント(2)

服部 益久 返信

竹をロープにするなんて、発想できないなぁ。
かなり硬いような気がするんだけど・・・。
職人は、やっぱり違うね。

竹虎四代目 返信

服部 益久様

竹虎四代目です。
コメントありがとうございます!

普通に考えたら竹は硬そうなイメージがあるかと思うがです
けんど、細く割りますと、しなりのある
こじゃんと(とても)丈夫な紐替わりとなります。

まっこと昔の方の知恵は凄いです。

コメントする