虎竹下駄の変遷

虎竹男下駄


下駄好きの方のみならず夏の夕涼みの散歩には下駄が一番ですろう。ご存じのように下駄は台が硬く長距離を歩いたり、立ちっぱなしだったりしますと、こじゃんと足が疲れる事があります。履き慣れない方やったら鼻緒で足が痛くなったりもするがです。けんど、日頃履かない下駄だけに、下駄の鼻緒に足を入れてこそ味わえる時間もあるように思うちゅうがぜよ。


そうそう、下駄の素晴らしい所の一つとして、一つの下駄を家族全員で履く事ができる事がありますちや。足のサイズを、それくらい気にしなくても良いがです。現代みたいにモノのあふれる時代ではなかった頃には、下駄は家族で履き回ししたとも聞きます。つまり小さいお子様から大きなお父さんまで、靴のようにサイズをぴったり決めなくともお使いいただく事ができる便利な履き物ではあるがです。まあ、もちろん歩きやすさや格好はあるがですが...。


さて、虎竹を台に貼りつめた下駄は、もう何十年と愛用しよってから、何足履いたか分らないくいらですぞね。自分の場合はガニ股で歩き方が悪いのか、下駄がこじゃんと(とても)片ちびりして、左右入れ替わったら、とてもや無いですが歩きにくいくらいです。今日は、そんな古い竹下駄を奥の方から取り出してきて、最近の虎竹男下駄と見比べてみましたぞね。下駄の変遷と言うたら、ちっくと大袈裟かも知れませんけんど、両方の下駄を見比べたら微妙な違いがあるがです。よくよく見てみないと分かりませんが、実は、新しい下駄の虎竹の細工の方が細かくなっちょります。


虎竹を四角い形に切り取って下駄の台に貼り付けていますが、この四角の一つ一つのパーツが少しだけ小さくなって、以前の数より、より多くが使われちゅうがですちや。これは、どうしてかと言いますと近年の虎竹の里の山々の事情そのものながですぞね。竹は一年の中でも寒い時期にしか伐採しませんので、その年にあるだけの材料でしか製品は作ることができません。今年は、ちっくと大きな竹もありますけんど、ずっと毎年のように太い虎竹が少なくなっちょりましたので、直径の小さな虎竹しか使うてもらう事ができませんでした。


竹はご存じのように丸みがありますので、細い竹では下駄の台の平面に綺麗に竹を並べられるような平たいパーツを以前と同じ大きさでは作る事が難しくなったがです。そこで、細い竹なりにパーツも小さくして、より多くのパーツで虎竹下駄を製造するという作り手の工夫があるがぜよ。それぞれの良さがありますけんど、虎竹模様の自然な美しさは、細い竹ヒゴを編み込むよりも、こういう使い方が一番ぞね。夏の夕涼み、皆様もどうですろうか?


ひすいこうたろう著「あした死ぬかもよ?」

虎竹


最近本屋さんに行くことも、あんまり無くなっちょります。唯一、書店との接点と言えば出張の際に時間があった時などに、通りがかりの本屋さんを覗いてみる程度ですろうか。けんど、昨日はちょうど用事があって、高知の大きな本屋さんに行く機会がありました。広い入り口を入ってすぐのところになかなか目立つように平積みされちょった本があったがです。


それがコレ、ひすいこうたろう著「あした死ぬかもよ?」。ズラリと並べられた壮観な陳列のせいもありますし、インパクトのある題名や表紙の見栄えもありますが、実は前に一度、ひすいこうたろうさんが高知に来られて講演されたのを、たまたま拝聴する機会がありましてこじゃんと楽しく面白いお話で印象深く残っていましたので、著者のお名前自体に、勝手に親近感があってパッと目に飛び込んできたがと思うがです。そして、その本自体もそうながですが、さらに関心をもってそのコーナーで見入ったのが、


「今日が最後の日だったとしたら?」


確か、そんな風な意味の質問やったと思いますが、それを様々な方々に問いかけして、その答えを画用紙に書いてもらった複数の写真があるがです。皆さんやったら、どんな答えを真っ白な画用紙に書きますろうか?それぞれの答えを眺めながら自分はどうやろう?自問自答してみたら、答えは、すっと出てくるがです。


そう、やっぱり、自分なら虎竹の山。


曾祖父が、祖父が、父が通った山道の向こうに広がる、この日本唯一の虎竹の竹林に腰を下ろして、いつもと変わらない風を感じ、小鳥の遊ぶ歌声を聞きながら竹と話よりますろう。「あした死ぬかもよ?」は一見、縁起でもないテーマの様ですけんど、その実、どうやって生きるかを真剣に、前向きに考えなさいと言うてくれゆう気がしますぞね。


「虎竹と生きる。」


自分には、この人生があるだけながです。


竹と漆の新しい世界

田辺小竹さん、若宮隆志さんコラボ展


竹工芸家、田辺小竹さんと、漆工芸家、若宮隆志さんのコラボ展には、初めて拝見する竹と漆の世界が広がっちょりました。竹も漆も日本に昔からある素材ではあるものの、自分の想像を遙かに超えて今まで見た事のない斬新さと、新しさを感じるのは、二人の才能が真剣にぶつかり合うて生まれた作品達やきですろうか。


今回のコラボレーションのモチーフは世界的な美術コレクターとして、広く知られるプライス夫妻のコレクションの若沖(じゃくちゅう)やそうです。伊藤若沖というたら江戸時代の画家ですけんど、現代の自分から見ても、こじゃんと色彩感覚豊かな絵を描いちょりますちや。江戸時代、見られた人達は、どう感じたろうか?恐らく強烈な印象を残して、一回見たら忘れられなかったがではないろうか?圧倒的とも言えるような若沖の魅力。たぶん、名前は知らなくても、絵はどこかでご覧になられた方も多いかも知れませんぞね。


けんど、そんな絵が竹編みの上に漆を使うて描かれちょります。細い竹ヒゴが並んだ上に描かれた鷹、竹編みの上には虎や鶏。モチーフとなった若沖の絵が、まっこと生き生きとしてずっと眺めていたくなるような美しさやったがです。


竹で描く虎


特に竹編みで絵を描かれた田辺小竹さんの技法には魅入りましたぞね。「網代絵」と命名されちょりますが、まさにピッタリのお名前ではないですろうか。高級感のある渋いパンフレットを前もってお送りいただいてましたが、その中にも写真が掲載されていてずっと気になっちょったのです。飾り箱の上蓋に竹で描かれた虎の実物には、一目で圧倒されましたちや。熟練の技、発想、緻密な計算どれひとつ欠けても、このような作品が生まれることはないと思うがです。


飾り箱には蓋を開けてから「おおっ...!」と唸ってしまいそうな遊び心あふれる創りがあり、若沖ファンの方、竹の好きな方、漆の好きな方、それぞれが大満足できるような作品に仕上がっちゅうと感心しましたぞね。


そして、今回の作品展で嬉しかったのは、田辺小竹さんが、いつもお使いただく虎竹のモチーフがあったことです。その中でも虎竹の里を描いて頂いたものがありました。飾り箱を開けると、懐かしい虎竹の里の光景が広がり、その景色を背景にして虎竹が大きく一本描かれちゅうがです。綺麗に虎模様の入った竹には、引き込まれるような神々しさ覚えるような、ちっくと特別な美しさを感じたがです。いつもとは違う、竹と漆の世界を、こじゃんと体感させていただきました。


日本唯一虎竹のパーティション

虎竹衝立


木枠に日本唯一の虎竹をアチコチ不規則に取り付けた、ちっくと変わったパーティションができましたぞね。ただ、同じ幅に割った竹を張り付けただけやのにこんな面白い表情になるがは、やっぱり日本唯一の虎竹ならではちや。できあがってから工場の入り口近くに立てかけちゅうだけやのに、どうしようもなく存在感があってから、これを室内で、どうやって使うがやろうか?考えただけでワクワクしてくるがぜよ。


たしか、これを窓枠に取り付けると聞いちょりますが、背後から光りが入って竹組の影を楽しめるろうにゃあ...。エイろうにゃあ...。そもそも、竹は照明器具としても昔から多用されてきましたけんど、この竹の隙間からもれる灯りが竹の表情をさらに引き立て、反対に竹が作りだす光りと影が室内の雰囲気を醸しだしてきたと思うがです。


そうそう、たとえば天井に竹編みの影を写し出される虎竹照明丸筒ライトのようなものですちや。この虎竹パーティションも、これから運ばれていって取り付けられたら、日本唯一の虎竹が使われちゅうとか詳しい事まではお気づきになられなくても、きっと沢山の方の心を和ませてお役にたてるのではないろうかと、今から楽しみにしちゅうがです。


竹ビアグラスが生まれる所

竹ビアグラス


ギュイィィィィィンーーーーーーーーーー!


大きな音をたてる竹工場に入って音源に近づいてみたら、なるほど、これぜよ。表皮の付いた丸竹を、しっかりと固定しちょってから高速回転させる。そこにヘラのような金属をあてがい、リンゴの皮を剥くように竹の皮を剥いていきゆうがです。いえいえ、リンゴの皮を剥くようにと言うたち、竹の皮は硬く、綺麗に剥けるわけではありませんぞね。勢いよく竹の破片が飛び散りますきにガラス板で防いでいるがです。


剥きあがった竹はビアグラスになりますきに、さながら、ここは竹ビアグラスが生まれる場所ぜよ。しかし、これが熟練の職人技ぞね。竹は一本、一本太さが違うし、形も違う、堅さも違う。そんな、それぞれの竹の個性を見極めながら同じように仕上げていく。ちょっとした手加減で深く削れたり逆に削れなかったりするがです。


「いやいや、簡単だよ...」


目だけは竹から離す事なく笑みを浮かべる職人さん。けんど、片手で竹の位置を変えながら、片手で金具を調節して削り出すとは見よっても一体どちらに注意をしたらエイか、どちらに神経をとがらせたらエイか、さっぱり分からなくなりますちや。しかも、高速回転で回る機械は待ったなし。ちょっとでも気を抜いたらグラスのバランスが悪くなり商品にならなくなるがです。


こんな中で一つ、一つ、竹と向き合い作りだされる竹のコップ類。軽くて、落としても割れないですし、何と言うても口あたりの優しさ。そして、手触りの良さが大好きながです。子供の頃、山で遊びまわっていた時に、手作りの竹コップで湧き水をくんだ遠い日の事を思い出す、かすかな甘い香りがしますちや。


季節の変わり目の竹酢液

竹酢液


竹酢液(ちくさくえき)と言うたら冬のイメージがあるがです。と言いますのも竹酢液をお風呂に使う事が多くて、使い方も入浴剤として使用される方がほとんどだからです。けんど、まっこと(本当に)試していただくと分かりますけんど、竹酢液のお風呂につかると湯冷めが全然違いますぞね。女性の方で半身浴などされる方も多いと聞きますが長時間ぬるめのお湯で、ゆったりリラックスされる時などにも最適ではないですろうか?


ただ、独特の香りがありますのでこれが好きな方、ダメな方とハッキリ分かれます。そんな竹酢液ですが最近またお問い合わせが増えてきちょります。どうしてかと思いよりましたら寒い日があったり、暑くなったりの毎日ですが急に暑くなって汗をかいてからまだまだ夏までは、しばらく時間がありますが早くもアセモとか皮膚のトラブルがあるようながです。


何を隠そう自分なども小さい頃から肌が弱かったですき、この季節の変わり目というのはこの歳になっても、ちっくと気になる時期ではありますちや。昔からアトピー体質でステロイドを日常的に使う事はないまでも、いつも薬は自宅にあるという事など今の自分からは想像も出来ないかもしれませんが母親に言わせると皮膚科の病院にいくらお金を払ったか分からない!などと苦労話を聞いちょりますし。


さらに極めつけは、あまりに皮膚病が治らないので菩提寺の住職さんにお願いして祈祷していただいた事もある程ぜよ。その祈祷の時の、子供心にも、じゃんと(とても)怖かった。真っ赤に燃え上がる炎のお祈り(?)の話は前にしたこともあったろうか?今日は時間がなくなりましたきに、又の機会があればお話してもエイがです、まあ今となっては笑い話やにゃあ。


さて、竹酢液はそうやってお風呂に使うたり、肌に直接触れる使い方をしますきに竹炭を焼き上げる職人、窯の種類、竹材料、製造方法、保管方法などしっかりと管理されて作られゆうがです。おっと、そろそろ山に行くのにヤブ蚊がでてくるかも知れん。防虫効果も高い竹酢液ですので春から秋にかけては、竹林に行く前にいつもプシューとスプレーできるように用意もしちゅうがぜよ。


竹皮男下駄の散歩道

竹皮男下駄


カラン、コロンと乾いた音をさせて竹皮男下駄の夏がやってきますぞね。久しぶりに足を入れると、ああ、これこれ。この足裏への心地良さやきに。思うたら、この竹皮下駄の製造にも色々ありましたちや。一時期、歯下駄を頻繁に履く時期があって一足履きつぶしてしもうたがです。自分はガニ股らしく、後ろの歯が極端に斜めにちびてしまいます。新しい下駄を、あれこれ探してみましたが、ついに自分が履きたい下駄が見つからず、それやったらちっくと作ってみようと考えたのが始まりやったです。初めての一足仕上がった時には、まっこと感激やったぜよ。あれから何年ですうろか?


昨年の夏の終わりに履きはじめたばっかりの下駄。秋以降は履く機会もありませんでしたので、鼻緒がギュッと足を少しきつめに締め付けるのも何か初々しい感じで嬉しいがです。高さ6センチ、何と言うことのない高さのようで、実は履いたら景色が違いますぜよ。いつもとは違う風景が広がっちゅうような気がして、別段用事もないけんどカラン、コロンと近くを散歩してみます。


まっこと、不思議ぜよ。履き物が違うだけやのに歩く速度が違う。日頃、あまり感じたことのない風が田植えを終えた向こうから吹きゆう。いつもは見過ごしよった古い木の電柱に足が止まる。あぜ道の脇の小川の音が聞こえてくる。なんか贅沢な、ゆったりした気分で歩かせてもらえて豊かな気持ちになってきましたきに、だんだんと沈みかけた夕日もまた、こじゃんと綺麗に見えてくるがぞね。


大変身!竹虎前掛け

竹虎前掛けショルダーバッグ


いやいや、まっこと(本当に)たまげましたぜよ!!!!!!


何を慌てて大声で言いゆうと怒られそうですけんど、こりゃあ、声をあげたらイカン言う方が無理ですろう。なんせ、竹虎で使いよります前掛けが、こじゃんとビックリするばあな、お洒落で機能的な竹虎前掛けショルダーバッグになったがやきに。作ってくれたのは、高知にお店のある遊びやまちださん。出来たぞね言うて手渡ししてくれた品を手にして、あまりの素晴らしい変わりように声が出ませんでしたちや。


前掛けはご存じのように工場で働くときに汚れを防いだり、時には竹を担ぐ時に肩当てにしたりと仕事の道具として使われてきたものですので、バッグのようなファッション性のあるものではないと思いよりましたが前掛けの持っちゅう無骨で男らしいイメージが上手くデザインに溶けこんで。こじゃんと(とても)おもしろい味を醸しだしちゅうがぜよ。


どれっぱあ変わっちゅうか皆さんに知っていただきたいきに、虎竹前掛けショルダーバッグのページを作りましたので是非ご覧いただきたいですけんど、どうしてもこの場で言葉で説明せよ、と言われたら、本郷猛が「変身っ!」と叫んで仮面ライダー1号になって次々と現れるショッカーと怪人をやっつけて世界平和を守る、それくらいの「大変身」ながです。と、ご説明したらお分かりいただけますろうか?


ええっ!?本郷猛や、ライダー1号を見た事がない...


確かに、あれから何十年と経っちょりますがちっくとショックやちや。まあ、けんど、ご存じない皆様はなおさら、こちらの虎竹前掛けショルダーバッグで前掛けの大変身ぶりをご覧いただきたいがです。


竹の玉入れ籠の種類

白竹玉入れ籠


自分の学生の頃には運動会と言えば当たり前のように使っていた竹製の玉入れ籠。だんだん作る事のできる職人さんも少なくなりつつありますが、軽くて丈夫、身近な素材で出来る竹籠を少しでも使うていただける機会があればと、竹虎では4種類の竹の玉入れ籠をご用意させていただいちょります。


ひとつは、一番お手頃で普及しているタイプ。竹の中でも最も強い竹表皮部分と竹の身を交互に使用して編まれた籠。強さと、材料を無駄なく使うて価格をできるだけ押さえています。そして、その同じ竹籠の竹編みをもっと細かい網目で仕上げた玉入れ籠。約40センチの高さの籠に使う横竹が3本も多くなっていて、目の細かさは一目瞭然ながです。それから、玉入れかご(丸)と言うて底部分が丸くなったタイプ。他の玉入れかごは重ねて保管ができませんが、この籠は重ねてコンパクトに仕舞っておく事ができますので、狭い倉庫などでは便利ながです。


最後に、真竹製の籠ですが、真竹をそのまま使うのではなく晒して白竹にした最高級なタイプぜよ。白竹玉入れかごになると、見た目も涼しげでもありますし運動会に使うてもエイのですが、ちっくともったいないように思いますちや。できたら是非室内でも使うていただきた程の出来映えです。それぞれ、価格も違いますし用途によってお選びいただきたいですが、どの竹籠も皆様方がお住まいになられているすぐ近くにも見る事のできるであろう竹で編まれたものながです。


「近くにあって遠いもの」


もしかしたら今の竹は、こんなイメージではないですろうか。だとしたら、これは人にとっても竹にとってもエイ事ではないちや。竹に携わる自分たちに責任がありますろう。小学校の運動会からも変えていけたらエイと思うちゅうがです。


竹炭の洗い水無料サンプル

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全国的には暑くなったり、寒くなったりしよります。この季節は気温の方もちっくと変わりやすいので、体調管理をしっかりしないといけませんぞね。けんど、日に日に日差しが強くなり、まっこと「初夏」という言葉がピッタリくるような高知の天気ちや。さすがに汗ばむような陽気になってきたら、柔道や剣道の時に着るような厚手の作務衣はお休みして夏場によく着る薄手の作務衣に衣替えするがです。


作務衣は、もともと作業着として出来たものなので、とにかく身体が楽で、動きやすい。机に座る事もありますけんど、現場に行ってから工場で竹を運んだり、山にあがって竹林に行ったりする自分にはこじゃんと便利な作業着ながです。ただひとつ不満があったのはポケットが少なかった事ですけんど、それもお尻のポケットの他に、最近、内ポケットも付けていただいてかなり機能的になっちょりますぞね。


まあ、それはさておき。


作務衣は上下でワンセットですので実はお洗濯するのに結構な量になってかさばるがです。濃紺の藍染めのものが多いこともあって、特に新しいうちは色落ちしますきに作務衣だけで洗う事も多いです。さて、そう聞くと気になるお母さん方もおられませんろうか?毎日のお洗濯は大変ですけんど、洗濯回数が増えると当然使う水の量も多くなりますので水道料などを考えてしまいます。


けんど、ご安心ください。竹炭から生まれた竹炭の洗い水というお洗濯の強い味方がおりますぜよ。黒い竹炭が汚れ落としにどうも結びつかないと思われる方もいるかも知れませんが、もともと祖母の時代には、まだまだお風呂の灰を使うて大きなタライと洗濯板を使うて洗いよりました。原理はそれと同じながです。竹炭の洗い水やったら、すすぎの回数も少なくてすみますし、竹炭と竹炭の灰と水という天然成分だけで出来ちょりますので肌の弱い方や小さなお子様など安心して使うとうせや。


けんど、最初は不安になる方もおりますろう?今までの洗剤のように泡がたつこともありせんので、これで本当に汚れが落ちるがやろうか?そう、思われるかも知れませんちや。竹炭の洗い水へのお客様の声もありますし、お試ししてみたい方のためには竹炭の洗い水無料サンプルもありますので一回使うていただきたいがです。


小さな竹プレート

竹プレート


竹プレートなるものを、ご存じですろうか?そうです、文字通り竹を薄く加工して板状にしたものながですが、紐を通してストラップとか、タグ、札などに色々と使ってみたいと言うお客様もおられるがです。


竹工場におって、竹に囲まれちょりましたら実は意外と、こういう素材の良さというものを見逃しがちになりますぞね。お客様からご意見などいただいて初めて、ああ、そんな使い方もあるがやにゃあ...と感心したりもするがです。


竹箸や、名刺入れなどに刻印するためのレーザー刻印機がせっかくありますので、この竹プレートに竹虎のロゴマークと文字を入れてみましたぞね。まずジグを作って竹プレートがズラリと並べられるようにしてスタートしましたけんど、さすがに枚数が多いですきに時間が、こじゃんとかかります。けんど、レーザーの動きが止まって蓋を開けてみると、おおおっ!!!これだけ沢山できあがりましたきに、あれに使おう、これにも使えるろうか?もっと何かに使えないかと考えゆうがです。


まずは、手近で自分が毎日使いゆう黒いバックにつけてみました。なるほど、付けてみたら、それなりに格好エイがです。ちっくと変わったところでラッピングなどにも上手い事使えたら皆様に喜んでいただけるかにゃあ。こんな小さな竹プレート一枚で、大きな嬉しさをお贈りできることもあるのではないかと思うちょります。


竹の中へ

竹林


先日は祖父と向き合う時間があったがです。祖父言うても何十年も前に亡くなっちょります。けんど、今でも自分にずっと影響を与え続け、ずっと竹の事を教え続けてくれよりますので、本当の意味ではまだ亡くなってはいないのかも知れませんちや。


大阪で竹材商として創業した初代の後を継ぎ二代目として戦後の焼け野原から、母の里でもあり日本唯一の虎竹の産地でもあった、この地に本拠を移し真っ直ぐに走り続けた男。真っ暗い内から働きはじめ盆も正月も休まない仕事の鬼と言われた祖父も、自分には優しいおじいちゃんやったです。


県外への竹の仕入れには幼い頃からずっとついて回っていて、小学校にあがる時には日本で行った事のない県は北海道と沖縄くらいやと言われよりました。ある時、いつものように車で走っていると急に祖父がブルブルと震えだし


「おお寒っ~!ヨシヒロ、寒ないか?」


半袖の季節なので、まったく寒くないのでキョトンとしていると、目で道路脇の山肌を白く覆ったモルタル・コンクリート吹きつけを指して、


「あれ、雪とちゃうんかいな?」


「違うで~おじいちゃん」


「なんや、白いから雪かと思うたがな」


まあ、こんな調子でユニークな一面もあったがです。


不思議なものですちや。いろいろな事があるたび、今いるのが日本のどのあたりかも分かりませんけんど、人の格好や、町の景色、車、日差し、空気感、ニオイ、山や空の色で、高知から遠く離れた場所である事だけは分かる土地で、祖父と交わした言葉をフッと思い出すがです。そして、導いてくれる。


自分は、まっこと頭は悪いし、田舎者で何ちゃあ分かっちょりません。これと言うて人に誇れるものもないし、ここだけの話ですけんど社長とか人の上にたてるような器量がない男ながです。そんな小さい小さい男が竹林の中を歩きよましたら、ふと差し込む夕日の中に祖父がおる。こうやって竹虎四代目として何とか毎日立たせていただけちゅうのは、三代目の父のおかげであり、二代目の祖父のおかげ。その影の中には、そのうち会える初代宇三郎もきっとおりますろう。


ネパールの魚籠(びく)

ネパールの魚籠


は世界に1300種類以上あるというように言われますきに。その竹を使うた竹細工、竹製品はこじゃんと(とても)豊富です。竹工芸は大陸から伝わり、四季のある美しい日本の感性で磨かれたと思うちょりますが、工芸品としての竹も東南アジアにも沢山ありますぞね。もともと竹は熱帯性の植物です。日本では北海道に竹はなく青森県あたりが北限やったりしますので、赤道の通る東南アジアで竹が生活の中に多用されるのは当然の事ぜよ。


ネパールの魚籠


そして、そのような国々の中にはかっての日本がそうやったように、今でも竹が人の近くにあって、ありとあらゆる暮らしの中に竹は溶け込んでいて、漁をする時の魚籠なども当然のように竹編みの籠が使われちょります。大阪は国立民族学博物館に展示されていた古びた魚籠もそのひとつ。


そう言うたら、かって日本には海流にのって東南アジアの地域から人々が移り住んで来て、竹文化も同時に伝わったと何かで読んだことがあります。この二つの魚籠を見たときには日本の古い籠かと思いました。近くにいって「ネパール西部」という文字を見た時には、ちっくと鳥肌が立ってしもうたがです。


魚籠


今でも日本で編まれゆう腰てご等と呼ばれる事もある魚籠。職人さんに話しを聞いたら、父親がやりよったのを見よう見真似で編みゆうとか、師匠の方に教わった通りに作っている、と必ず言われます。つまり、昔からの伝統の形やいう事やと思うがです。


ネパールで使われゆう魚籠と日本の魚籠がこんなに形が似るという事は、長い時間をかけて機能性を追求して、だんだんと進化したがですろうか?まさか、偶然ではないですろう。他の竹ざるや竹籠でも、まるで日本で編まれたものと同じような竹細工がありました。


遠い時間や距離を越えて伝わった技術が今まで脈々と続いてきちゅう......そう考えただけでこの手にした魚籠がロマンの塊のように思えてきましたぜよ。行った事も、言葉も分からん国と繋がっちゅうかも知れんとは、まっこと素晴らしい事ですちや。今日は地球が、ちっくと(少し)だけ小さく感じれる。こんな世界観もあるがやにゃあ。


特別展「マダガスカル霧の森のくらし」

「マダガスカル霧の森のくらし」


大阪の万博公園にある国立民族学博物館なるものを知ったのは2年前ぞね。昔ながらの日本の竹細工を研究されゆう先生がおられて、東北の大学教授の方と二人して竹虎に来られたのが初めてやったです。鰻を捕る昔ながらの竹の道具である、うなぎうけ(鰻筌)の職人さんの製作工程を撮影したいとの事で機材を携えてわざわざお越しになられちょりました。


それで民族学博物館を知り、場所が千里の万博公園と聞き、小学校の時に連れて行ってもろうた大阪万博を思い出したがです。自分が小さい事もあってか、あの万博はこれからの日本が、世界がこんなに変わるぜよ!みたいな展示が多くて、まっことワクワクして見て周りましたちや。あんなに沢山の人が集まったのを見た事がなくて、ビックリ仰天した事も今だに鮮明に覚えちょります。


中でも強烈な印象に残っちゅうのが、やっぱり太陽の塔ぞね。あの顔、形は一回みたら忘れられませんきに。作者の岡本太郎さんはテレビCMでも有名やったし、ずっと後になって来高された時に近くで拝見した事もあり、勝手に親近感も持っちょりまして高速道路やモノレールから塔を見るたび、いつも懐かしく思いよったがです。


そんな、万博公園にエキスポ70大阪万博以来ずっと一度も行った事がなかったですけんど、国立民族学博物館さんの開催する、特別展「マダガスカル霧の森のくらし」で現地の家を再現するのに虎竹ヒシギを提供させていただき、お伺いする機会をいただきましたぞね。


虎竹ヒシギ


マダガスカルと言うたらバオバブというユニークな形の木で知られちょりますが、アフリカ大陸の横の小さい島やと思いよったら意外にも日本の1.6倍の広さがあるそうぞね。冊子には「みたことのある異郷」と書かれちょりましたが、日本の里山のような景色が今でも残っちゅうそうです。


そう言うたら山の斜面に棚田が続き、集落が寄り添うように立ち並ぶ、昔は日本のどこにでもあったような。懐かしい気分になる場所はマダガスカルだけでなく海外の写真等でもたまに見かける事があるがです。


竹製マダガスカルの民家屋根


長い別注の虎竹ヒシギは屋根の部分に使われちょりました。竹をエイジング加工されると聞いちょりましたが、さすがに展示のプロの方々ですちや。真新しかった竹が、まるで何十年も雨ざらしになって古くなったような雰囲気を醸しだしよります。何とか現地の住宅のイメージをそのまま展示物として観ていただきたい、そんな熱心な思いが伝わるような仕上げなので、マダガスカルの家の屋根をそのまま運んで来た、そう言うても全然分からないような風合いに、ただ、ただ感心したがです。


今回は、思いがけないチャンスをいただいてこうして民俗学博物館の方にお邪魔することができましたが、他の展示物も少し拝見させていただこうと担当の方にご案内いただきながら館内を回らせてもろうたがです。ここの展示点数は、まっこと凄いものがありますちや。ご関心のあられる方は一度、時間をゆっくり取って観にいかれる事をオススメしますぞね。


さて、明日は沢山ある展示物の中でひとつだけ、ご紹介したいものがありましたきに。担当の方に許可を頂きましたので掲載したいと思うちょります。


雑誌「すてきな奥さん」に掲載頂いた洗濯板

すてきな奥さん


先日とある量販店を歩きよりましたら


「ありゃあ...?」


ふと目にとまった品があるがです。


それはトタン板を小さくしたような、波うった長方形の白い板で、壁に引っかけて陳列されちょりましたが近づいて良く見たら、とにかくペラペラ薄いがです。そして、触ってみたらプラスチック製ですろうか、ソフトな感触で自由に曲がることの出来る微妙な硬さ。これは、竹虎でも扱いよります山サクラの木で作った洗濯板みたいや。そう思いながら説明書きを見てみたら、やっぱり、洗濯板でした。


薄っぺらで、コンパクトな形にしているのは、狭い洗面台などでも使えるようにとの工夫みたいです。柔軟性があることで丸くなった流しの底などに置いても使い勝手が良さそうな、なかなか考えられちゅう商品やったです。また、小さいサイズは、どうやら持ち運びも考えての事のようながです。出張や旅行に、洗濯板を持って行くとはまっこと感心やにゃあと思いながら見よりましたぞね。


まあ、一人暮らしの時には場所を選ばすササッと使える、このような小さいサイズが使い勝手がエイがかも知れませんちや。けんど、やっぱり家族ができてお子様の洗濯もの、ご主人の洗濯ものと増えてきたら、今回、雑誌「すてきな奥さん」に掲載して頂いたようなちっくと本格的な洗濯板が必要になってきますぞね。そうですろう?世のすてきな奥さん方!


汚れのひどい洗濯物も、少しだけ手間をかけて洗濯板で汚れを落としてから洗濯機にかけますと、部分洗い用の液体洗剤を使わなくてもエイのが肌の弱い自分などはこじゃんと嬉しいがです。竹虎では竹炭を使うた洗濯用洗剤、竹炭の洗い水を、お洗濯にイチオシしよりますけんど、この洗濯板+竹炭の洗い水がお肌にも優しくてお洗濯の水の量も少なくてすみますので、環境にも、それからお財布にも優しいがですぞね。竹炭の洗い水には初めての方のために一回分無料サンプルをご用意しちょりますぞね。


四万十川基金 2013

四万十川基金


まっこと一年とは早いものですちや。去年は5月に四万十川財団さんの方にお伺いさせていただきましたけんど、あれから、もう一年も経つがやろうか?四万十町は、仕事でたまに通る事もありますが、この財団のあるビルに寄せていただくことは年に一回ながです。前回来たのが、ついこの前みたいですきに、本当に「光陰矢のごとし」という事を感じずにはおれませんぞね。


この四万十町は、有名な四万十川が流れる町でもあり、本州から橋を渡り香川県、あるいは徳島県を通り高知に続く高速道路が伸びてきて降り口ができたり、海洋堂ホビー館という人気の施設が出来たりして、これから夏にむけてはこじゃんと観光のお客様も来られるし賑やかにもなり、高知県の中でも活気を感じる町ながです。


近くに暮らす自分などが見ても盆地の地形を活かした仁井田米という美味しいお米や、このお米で育てた豚肉など豊かな自然を感じる食材がいっぱいで、とにかく食べ物がこじゃんと美味しゅうて食いしん坊の自分などは大好きな町の一つながですぞね。


そして何と言うても魅力は、昔と同じようにゆったりと流れる四万十川ですろう。この清い流れをいつまでも残して最後清流と言われ続けるために、本当に微力ではありますが何かしたいと思うて、日本一の清流を守るためですきに、日本唯一の虎竹箸がエイろうと虎竹削り箸の売り上げの一部を四万十川基金へ寄付という形でお届けさせてもろうちょります。金額は恥ずかしくなるほどのものですけんど、こうやってお届けさせていただき、日頃は近くにありすぎてなかなかゆっくりと眺める事の少ない川を改めて見つめる事も必要やと思うちゅうがです。


源流は意外にも虎竹の里からもそんなに遠くない場所ですが、そこから196キロも流れて高知県の西の端のほうの四万十市から土佐湾に流れでる四万十川は、普段まわりに当然のようにあるのでついつい、有り難さや大切さを忘れがちになる。高知ならではの大自然を振り返らせてくれる大いなる川ぜよ。もちろん、日本唯一の虎竹もそうながぜよ。


竹炭皿に初鰹

竹炭皿


土佐の高知と言うたら皆様まず思い浮かべるのは「鰹」ですろう。自然豊かな土地ですので野菜も美味しいし、山の幸も沢山ありますが、雄大な太平洋に面した高知はやっぱり海の幸がエイです。そして、色々と珍しいもの、独特の食文化のある中でも県外の方がお越しの際には、まず一番には鰹のタタキぞね。


鰹は勝男などとも書いて勝負事などの縁起もエイと言われる魚です。勝ち負けの好きな土地柄の高知には、まっことピッタリの魚ぜよ。ちなみに鰹節も「勝男武士」という勇ましい文字を書く事があって、昔から武運祈願にも使われよったそうながです。


そんな高知名物の鰹のタタキですが今日の主役はタタキではなくて、その下にあるお皿。ありゃあ?妙に地味な黒い皿やにゃあ...そう思われる方も多いがではないですろうか?何か土佐の焼き物の皿かと思われるかも知れませんけんど、実は焼き物ではないがです。


あっ、いえいえ焼き物には違いがありせんぞね。ありませんけんど土を焼いて出来た皿ではなくて、なんと、竹を焼き上げて作った皿、つまり竹炭皿ながやきに。普通の炭の印象でしたら手に黒くついたりボロボロと壊れたり、皿に使えるがやろうか?とのご質問が聞こえてきそうやちや。


竹炭


しかし、ご安心ください。竹虎の竹炭皿は土窯にだわり、高温で焼き上げちょります。叩くとキンキンと金属の音がして、キラキラと銀色に輝くような竹炭。陶器や磁器のお皿と同じように食器としてもお使いいただけるのです。


竹は炭に焼き上げる過程で何と20%近くも縮みますので、出来るだけ大きな太い孟宗竹を厳選して使うちょります。焼き上がった竹炭皿の大迫力に驚かれるお客様もおられますが実は、元の材料の竹は更に太い立派な竹を使うちゅうがです。そして、竹炭に焼き上げる際には高温の窯の中で割れたり、歪んだりしてしまう竹もありますので、そんな竹炭を選り分けて竹炭皿としてご紹介しゆうがです。


高温で焼き上げた自然な竹の節や、竹炭の光沢が美味しい料理を更に引き立てるのではないかと思うがですが、注意点があるがです。硬く焼き上げた竹炭と言うても、やはり割れる事もありますぞね。繊細なガラス食器を扱うような気持ちでお取り扱い頂きたいという事と、洗う時には洗剤を竹炭が吸着してしまいますので、絶対に使うてはイカンです。水洗いしとうせよ。


見え隠れする熟練の技、黒竹玄関すのこ別注サイズ

黒竹玄関すのこ


昨日は黒竹を使うた大きなパーティションの事をお話しました。黒竹はご覧のように、だいたいが細い竹ではありますけんど色合いが渋いですし、ズラリと並べて室内のインテリアなどに使うたらまっこと雰囲気があるがです。壁や天井に並べたら、まるで異空間のようになりますきに、たまにお店で拝見させていただいて竹屋の自分たちの方がビックリ仰天してしまう程ぜよ。


考えてみたら竹虎の工場では比べモノにはならないような長さで、そして、圧倒的な量の竹が並べられちょりますが、都会のコンクリートの中で計算されて使われている竹は、やっぱり流石やにゃあ。見栄えが全く違ちゅう。こじゃんと立派で迫力があると感じる事も多いがですちや。


さて、そんな黒竹では玄関すのこも製作しよります。革靴を一日履いて疲れた足ウラに竹の心地良い刺激があってオススメながですが、最近は別誂えでご自宅に合わせたサイズでのご注文も多くなったがです。壁面や天井などと同じように、少し竹が玄関先に並ぶだけで玄関の趣がガラリと変わります。お客様の中には「ちょっと料亭っぽい...」とご感想いただいた事もあるがぞね。


黒竹をこうやって並べて使う竹細工は簡単なように見えます。真っ直ぐな竹を単純に並べているだけと思われちゅう方もおられるかも知れませんけんど、実は、自然の竹で真っ直ぐな竹などほとんど無いがです。竹林から曲がりくねったた竹も伐採されて出てきます。その竹を太さ別に選別した後に一本、一本、真っ直ぐに矯め直すという工程があるのです。こんな竹製品ひとつにも、熟練の技が見え隠れしよりますちや。


黒竹の林のような

黒竹パーティション


森林浴とか言うことが、たまに言われます。当たり前の事ですけんど人も自然の一部ですきに、山でも川でも自然の中におったら心地よく感じるものではないですろうか。以前、東京や大阪の大都市に行ってから、1週間2週間も連続して仕事せんとイカンかった時がありました。最初の頃は、それでも刺激の多い都会は面白いし、人も多くて楽しゅうに感じますけんど、滞在がだんだんと日を重ねるにつれて田舎育ちですきに妙に息がつまってくるような気がしよったがです。ほんで、そんな時についつい足の向くのはやっぱり緑の中。


手近なデパートの屋上であったり、公園であったり、緑の多い場所が求められちゅうのは、やっぱり都会ですちや。虎竹の里におったら何ちゃあ感じなかったものが無くなったら、必要なものやったとしみじみ思うたがです。そうそう、早朝に木立のある河川敷を歩きに行ったこともあったちや。普段なら、まずそんな事はしないのにまっこと(本当に)人口密度の高いのは得意ではないがやにゃあ...まあ、そうやって人工的な自然でもエイですきに、近くに感じることによって生き返るような気持ちになりよったがです。


そんな風に街の中にある緑にさえ人を元気にする力があるような気がしますけんど、例えば雨の多い高知県には四万十ヒノキという油分の多い木があります。このヒノキの香りなどには、気持ちを落ち着かせる効果があるように聞きますぞね。この木々の香りの力もあってか、とにかく森の間を歩くとリラックスはしますし、気分がよくなってから、集中力も増したりするそうちや。森林浴の効果は科学的にも裏付けられちゅうと前にテレビ番組でも見た覚えがあるがです。


近年、便利になりながら、ますます忙しくなりゆう気がする現代人に、森林浴という言葉が広く親しまれるようになり、沢山の方を魅了しちゅうのは分かるような気がするがです。まあ、自分の場合は森林浴というより、やっぱり竹林浴ですちや。


竹林浴も森林浴と同じように心が落ち着きますので、ひとりになるには、これほどエイ場所はないがです。サラサラと笹の葉の音が聞こえ、山鳥の鳴く声が聞こえる虎竹の林。高校生の頃から、大事な考え事したい時には竹林に行きよりましたので、今にして思えば変な学生ではあったけんど、理にはかのうちょったがかも知れませんぞね。


森林浴と同様に、竹林浴のすばらしさはわざわざ説明などしなくても、恐らく十二分にお分かりいただけちょりますろう。ただ、竹林をご自宅までお届けすることは難しいがです。さて、そこで、この黒竹パーティションの出番ぜよ。まるで、竹林がお部屋にやってきたみたいな気分なるがですきに。


名人作虎竹耳かきの黒

虎竹耳かき


耳かきは、やっぱり「しなり」のある竹が一番やと思うがです。先端の皿部分が耳に当たる肌触りも竹ならではの優しさですし、持った感じも軽やかで自然素材の温もりがあります。日本唯一の虎竹を使い熟練職人が一本づつ丁寧に製作した名人作 虎竹耳かきが、お陰様でボツボツと人気なのはこんな理由があるのかも知れません。


ただ、素材の虎竹というのは虎模様が全く天然の柄で、1本の竹でも根元部分とウラ(竹の先端)部分では違うし、同じ部分でも右半分と左半分で色合いが全く違うこともあるがです。だから竹箸や、今回のような耳かきなど虎竹を細く使う竹細工の場合には斑な虎模様だけでなく、色合いがまったく無かったり、反対に真っ黒だったりするような竹製品ができます。色合いの無い竹というのは、製品に使用しませんので虎竹箸では、虎模様のものと黒っぽいものの2種類ができますぞね。そこで虎竹男箸や女箸では、虎竹男箸(黒)として、黒っぽいものを選べるようにさせて頂いちょります。


お客様にはやはり好みがあってらか、虎模様がエイ方もおられたら黒っぽいものを選ばれる方もおられます。先日、耳かきにしても虎竹の黒い部分で製造したものをお選び頂けるようにしましたちや。こうする事によって、ようやくですけんど材料の竹を選別するのに、ちっくとだけ楽になったがです。


虎模様の包装紙

竹虎包装紙


竹虎はお陰様で今年で創業119年になっちょりますが、実店舗を作って竹細工の販売をはじめてからでも40数年という歳月が経っちょります。日本でも、ここにしか成育しない虎斑竹(とらふだけ)を生産する地元の皆さんが虎竹を使った様々な竹製品や竹工芸に触れる機会を作りたい、そんな祖父の思いを形にしたお店やったです。


外観はもちろん、壁も天井も竹だらけ。そして、所狭しと並べられた大小様々な展示されている商品も全国各地で作られよった竹細工。子供心にも、どこを見ても、まっこと竹ばっかり。何ひとつ面白みのない店やにゃあ、歩き回りながら、そんな事を思いよったのを覚えちょります。そうそう、子供の目には興味を引くモノは少なかったですけんど、引き戸を開けて店内に入った時の、竹特有の香り。これは妙に心が落ち着き、好きな香りやにゃあと思いよりました。


こうやって小さい頃から、このような日本のそれぞれの地域で作られてきた伝統の竹に親しみ、竹ばっかりに囲まれちょったからこそ、はじめての遠く離れた竹の職人さんに会うた時にでもまるで昔から知り合いやったような懐かしさを覚えたりするのかにゃあ。そんな風にも思いよりますが、この竹虎の店には、当時から使いよった竹虎の包装紙があるのです。


竹林の写真を刷り込んだ、若竹をイメージしたような薄い緑色をした包装紙ぞね。これを長い間、竹虎では使用してきて、家族はもちろんですが、働く社員の間でも、そして古くからのお客様にもこじゃんと愛着のある包装紙でもあったがです。だから、包装紙をリニューアルするのに実は何年もかかりましたちや。やはり虎竹模様の包装紙が竹虎らしいと思い、写真を撮り直してロゴマークなどをあしらい完成したのが1年半前。今ではギフト包装などは、全てこの虎竹模様の包装紙を使いよります。


そして、さらに最近ではラッピングに工夫をこらすようにしちょります。専門の方のご意見を伺いながら本物の虎竹を表に貼り付けてみたり、せっかく虎竹の里からお届けさせていただきよますので自分たちに出来る事があればそれを精一杯やらせてもらいたいにゃあと思うがです。


愛用率80%の竹炭石鹸ぞね

虎竹の里炭石鹸


月に一度、全社の社員が集まって全社会議なるものをやりよります。もう、かれこれ7年目になるのではないかと思いますが、どうやら、こうやら一度も休むことなく毎月続けられゆうのは、まっこと、社員の皆さんの協力のお陰やちや。ありがたい事ながです、感謝ぜよ。


さて、その月はじめの全社会議で前回は社員の皆さんに自社商品について感想文を書いていただくという、はじめての試みをやってみましたちや。何でも自由に書いて頂くのがルールでしたので、一体どんな感想が寄せられるがやろうか?正直なところ、ちっくと不安もありましたけんどやってみて改めて知った事があるがです。それは、社員一人、一人が意外と竹虎の商品を愛用いただいており、働いて頂く社員は、社員でありながら一人のお客様と言うか、竹虎ユーザーのお一人ながやと感じました。


自身が肌が弱かったり、ご家族に敏感肌の方がおられたり、小さなお子様やったり、ご高齢の方がおったり、自分もアトピー体質ですけんど、肌の弱い方は都会だけでなく田舎にも結構いますきに、都会や田舎の環境などはどうやら、あんまり関係ないようながですちや。何か自然の多い田舎は空気も綺麗やし、アトピーなど少ないイメージですけんど、実は、そんな事はないようです。


そんな関係で竹酢液を数年来愛用してくれゆう社員とかおって、なかなか、身内にも竹がお役に立ちゆうよと思い嬉しかったがですが、なんと、色々な商品がある中で虎竹の里竹炭石鹸が大人気でその日出席しちょりました社員の中で実に80%が愛用者やったがです。これには、まっことビックリしましたちや。


そもそも自分が出張中にホテルの石鹸ではピリピリして洗えなくなり、肌に優しい石鹸を使いたいにゃあと思うた事がはじまり。あれから、もう10年を越える月日が経つがやないですろうか?コツコツと、少しづつお使いいただく方が増えて、こうやって社員の皆さんが、これだけ使うていただける石鹸になっちゅうとはまっこと、感無量な事ぞね。


まっこと、のうが悪いぜよ

竹皮 草履


「まっこと(本当に)のうが悪い」こんな土佐弁を聞いたら県外の方は、どう思われますろうか?


「なに?脳が悪い......!?」頭が悪いという意味ですか......?頭痛がするという意味でしょうか......?


まあ、色々と言うて頂くのですけんど、実は、具合が悪いという事を「のうが悪い」と言うがです。使われなくなった土佐弁も多い中、この方言は今でも普通に使われゆうと思います。えっ?使いよりますろう?(虎竹の里だけかも知れませんちや)いえ、本当は普通に使いよります。


今朝は、この「まっこと(本当に)のうが悪い」を連発しましたぞね。どうしてかと言いますと、ずっと愛用していました竹皮草履が、とうとう履けなくなったがです。まだまだ使えると思って次の草履を用意しちょりませんでした。


たまたま今日は朝からカーペットを敷き詰めた仕事場におりますが、用意されちゅう普通のスリッパは蒸すので履きたくありません。タビックス履いちょりますが、いつもの竹皮草履ではなくてそのまま歩くと......ええっ!いやぜよっ!何か違和感があるがです。


もう初夏のような陽気の高知でカーペット敷きの部屋で素足もイヤやし、まっこと竹皮草履がないと、こんなに不快とは知りませんでしたちや。


だから、朝から


「まっこと(本当に)のうが悪い」


「まっこと(本当に)のうが悪い」


言いよります。


竹皮草履の底面は、最初はこじゃんと(とても)毛羽立ちがあります。カーペットの場合、毛羽立ちが引っかかる事があるのです。そこで、快適にご愛用いただくコツは毛羽立っちゅう中央部分にまっすぐガムテープを貼るがです。格好悪いようですけんど裏側ですきに誰にも見えませんちや。こうするとウソのように履きやすくなりますきに、フローリングの床だけでなくてカーペットを敷きつめたオフィスのような所でも、この快足感を味わっていただけると思うちょります。


けんど、まっこと良く分かりましたぞね。毎日履きよったら普通だと思うちょりましたが、不便さを感じて初めて竹皮草履の存在の大きさ、履き心地の気持ち良さに改めて気づくがです。


雑誌「お弁当記録帖」

お弁当記録帖


この季節になると新入学とか新入社という事もあってか、お弁当箱が何かと話題になる事が多いように思うがです。温かくなってきて、桜も咲いて華やぐ時期に色々なお弁当箱を見て、何かしらワクワクしてくるがですけんど、それにしても、弁当箱と一口に言うても実に色々な形、素材、機能性、大きさがあってから、まっこと、あっちこっちと目移りしてしまうがです。そんな沢山ある弁当箱の中に、昔ながらの素朴で手作りのぬくもりを感じる弁当箱を見たらホッと心が安らぎますちや。


そうぞね、天然生活ブックの雑誌「お弁当記録帖」はまさに、この心安らぐ自然素材を大事にしたお弁当箱を掲載しちょります。竹虎からも日本唯一の虎竹で作った、虎竹ランチボックスを取り上げていただきました。見れば見るほどにお弁当の楽しさや、台所に立って作る方の愛情が紙面からあふれてくるような、そして、一緒にヨダレもあふれてくるような、素晴らしい本に掲載いただける事は、まっこと光栄ぜよ。


情報誌「ほっとこうち」


それから、こちらの地元高知の情報誌「ほっとこうち」。こちらも4月号はお弁当特集やにゃあ。男弁当VS女弁当と表紙に書かれちょって興味を引かれます。こりゃあ、ひとつ店頭で探して見ちぉおう、そんな事を思われちょりませんろうか?


実はこちらの雑誌にも掲載いただいたのですが、取り上げていただいたのはお弁当箱ではなくてリニューアルしてから初めての夏を迎える八割BLACKぜよ。桐材を使うちょりますが普通の下駄とは全く違うソフトな歩き心地。普段は鼻緒の履き物に慣れていない方でも、このフィット感やったら大丈夫ぞね。


浴衣に合わせて履くだけではちっくともったいないきに、夏の休日はジーンズなどに合わせて頂きたいがです。こじゃんと太さにこだわった極太の鼻緒が足をしっかりホールドして、歩きやすく、鼻緒が痛いという事も極力少なくなっちょります。


けんど、雑誌社の皆様にも、いつも可愛がっていただきゆう竹虎は、まこと幸せものちや。皆様のお陰で何とかやらせて頂きよりますぞね。


ハーブティーのひととき

虎竹茶漉し


コーヒーは好きで毎日数杯は飲むがです。特に朝はコーヒーで始まらないと、どうもシックリ行かんぜよ。手軽で何杯分もたてる事のできる、コーヒーメーカーを使うて頂く事が多いですけんど、たとえば、ゆっくりと時間のある時などは好きな銘柄の豆を買うてきちょってから、ミルで手挽きして丁寧に蒸らし大事に入れる格別な一杯を楽しみますぞね。椅子に腰をおろして美味しく飲む前に、ドリッパーからふんわかと立ち上る湯気と香りに、すでに結構いい気分になっちょって手間暇以上の味を感じるがです。


ハーブーティーなどを好まれる方も増えちゅうと聞きますけんど、そんなお茶を楽しまれる方も、もしかしたら同じような気持ちがあるのではないですろうか?どうもオシャレなハーブなどにはあまり詳しくないがですが、ハーブやったら色々な種類があって味や香り、色合い...自分好みのものを探す面白さもありそうぞね。


簡単にお茶の入れられるティーバックなどもありますけんど、茶漉しを使って入られる方、自分だけのくつろぎの一杯を楽しまれる方用に小さな持ち手付きの虎竹茶漉しができたがです。実は、こういう素朴な編み込みの竹籠も最近は編む事のできる職人さんが、まっこと少なくなっちょります。


茶漉しは金属製のモノも多いのではないかと思いますが、以前、この茶漉しの金属臭がどうしても気になるという事で急須にいれる茶漉し部分を竹編みで作らせていただいた事がありました。


最初は、それほど時間もかからないだろうと思っていましたが、なんの、なんの。これが、小さい竹の編み込みの割に、いえいえ、小さいからこそ編みづらく、初めての竹籠だった事もあり職人が何度も何度もやり直してこじゃんと(とても)手間がかかった覚えがあるがです。次に同じようなモノを編む時にはかなり楽になると思いますが、やはり最初のひとつは大変ぜよ。金属臭がダメなこだわりの方にも、ふんわりと立ち上る湯気と同じようなのんびりリラックスした時間を感じてもらえる。そんな虎竹茶漉しやったらエイにゃあと思うちょります。


あの宮殿の扉が開く!?

テレビ取材


「何んちゅうか!?あの大陸かよ?宮殿かよ!?」それでなくても声が大きい自分ですけんど、この時ばかりは輪をかけて声が大きゅうになったがです。それもそのはず、あれだけ有名なテレビ番組やきにゃあ、まっこと、たまげたぞね!けんど、最初に電話があった時にはさすがに、こじゃんと疑うたがですちや。だいたい自分たちのような田舎の竹屋にそんな有名なテレビから声がかかるワケがないですろう?とりあえず話しだけ聞かせていただこうと思うているうちに、トントン拍子に話しが進み取材クルーがやって来る、この日を迎える事になったがぜよ。


けんど、実は、その当日までずっと夢や夢やとずっと信じる事ができんかったがです。それも、そのハズ、前には、こんな事があったがやきに。東京の武道館で超有名ロックンローラーのコンサートを観ていました。最前列でタオルを持って手を振りよったら。


タケトラちゃん、来なよ!」


言うてくれるがです。(なぜ自分の名前を知っちゅうがやろうか?)


「ええっ!?舞台上がってエイがですか?」


けんど、エイと言われるので思わず駆け上がったら、今度は、


「タケトラちゃん、やりなよ!」


あの憧れの超大物スーパースターがそう言うてくれるがです。まっこと(本当に)たまげたちや、けんど一体何をすればエイがやろうか!?ふと、考えて前の客席を観ると、こりゃあ、凄いぜよ!信じられないような人、人、人!!!ずっと遠い、高い、客席の、向こうの向こうまで人ながです!!!


こりゃあ、たまるかっ!!!


顔面蒼白になって彼の方を振り返ると、何と、あのスーパースターと思っていたその方は、地方回りの営業で高知にも来られた事のある、そっくり芸人の人だった...


ええっ!?何これっ...!!!


と、思ったところで、ハッと夢から覚めたがです。何を隠そう、これが今年の初夢。そんなスタートを切った2013年に、あの宮殿とな?いやいや何か怪しいと思いよったら、やっぱり、今度も布団の中やったぜよ...。


まあ、今日は4月1日、許しとうせ。