日本唯一の竹柄

虎竹柄


座敷箒棕櫚箒は昭和の時代のものとして忘れさられつつあった物やと思います。最近、ちくと見直されてきた理由のひとつには、やはり電気を使わないエコ製品という事。そして、音がしない事なども言われちょりますが、サッと取り出してササッと掃除ができる手軽さもあるように感じちょります。


おっと、けんどもしかしたら若い皆様には「棕櫚」という漢字の読みさえもご存じない方もいるのではいなですろうか?棕櫚と書いて「しゅろ」と読みますけんど、簡単に言うたらヤシの木の一種ながです。南方系の植物らしく見た目が独特で、田舎道を車で走りよっても、すぐ目につく木のひとつぞね。自分など竹屋にも、こじゃんと縁の深い植物で棕櫚箒は皮を箒に使うちょりますが、耐久性があり伸縮性もありますきに昔から紐として多用されてきちょります。竹垣や袖垣を固定したり縛ったりする紐としても、棕櫚縄は欠かせない物ながです。


さて、この座敷箒、棕櫚箒ですけんど、柄の部分をこだわって日本唯一の虎竹を使うたものを作ったがです。最近は手作りできる職人さんが少なくなっちょります。こうやって虎竹を使うた逸品ができあがりましたら、まっこと何と言うてエイか分らんくらい嬉しかったがぜよ。けんど、あまりの喜びに、ひとつ虎竹の弱点を忘れちょりました。実は虎竹は淡竹(はちく)の仲間で、丸竹のまま使うと割れやすい場合があるがです。座敷箒にしても棕櫚箒にしても取り付けの時に竹に穴をあけます。この穴の部分から柄の竹が割れてしまう事があるがぞね。そこで、虎竹でも根元に近く節間の短いものを厳選し、只今、自然乾燥させゆう真っ最中なかですちや。時間はかなりかかるかと思いますけんど、製品にした後に割れて残念な事になるよりは、ここでじっくり手間暇かけちょった方がエイと思うがです。


虎竹柄の箒はそんな理由で只今欠品とさせていただいちょります。お待ちの方もおられますけんど、やっぱり急いで作ることはせず、じっくりじっくり、今のところ販売予定なども未定ですけんど、何卒ご理解いただいてお待ちいただけたら嬉しいがです。


美しい土用干し

土用干し


沢山の梅干しを漬けられるお客様からお便りを頂きましたぞね。今年は例年に比べて更に沢山漬けられちゅうご様子で、まっこと(本当に)圧巻の土用干しながです。お写真を拝見させてもろうて感心しますのは、その量のこともありますが粒の大きさや色合いにより選り分けられて、まるで梅干しが整列しちゅうみたいに丁寧に並べられちゅう事ですちや。これだけでも美しく、絵になっちょりますぜよ。


エビラ


画像の上の方に写っているのが竹編み平かご。こうやって、ご愛用いただく事を見せていただきますと、何とも嬉しさが込み上げてきますけんど、このエビラとも呼ばれる竹編みかごはもともと普通に農家さんなどでは広く使われていた物ながです。自分の母なども梅干しだけではなくて、干し大根、椎茸、時には人参などなど野菜干しにも使い勝手のよいようで良く利用するかごぞね。


土用干しでも、野菜干しでも天気の良い日を選んで数日間干しますので、たとえば2枚、3枚で使う時には、エビラだとそのまま重ねて家の中に収納しておくことができます。これが結構便利なポイントで、みなさまに喜んでいただきゆう所ではないかと思うちょります。こんな風景が日本のあちこちにあってから、ちっくとでもお役に立てちゅうとしたら職人共々、まっこと嬉しい事であり、ありがたい事やと思うがです。


竹虎前掛けで作るショルダーバック

竹虎前掛け


竹屋の仕事では竹を切ったり、割ったり、削ったりで、細かい竹屑が沢山できますので前掛けは、手袋やタオルと同じように必需品のひとつでもあるがです。自分の小さい頃には、当然、エアコンなどありませんので、休憩時間に涼むなどという事もできない。だから夏場などは職人さんは、ほとんどと言うてエイくらいランニングシャツやったように覚えちょります。


ええっ?ランニングシャツが分からない?


まあ、タンクトップみたいなものですぞね。下着やったきに、そんなタンクトップみたいにお洒落ではないですけんど、昭和の働くお父さんというたらランニングシャツですろう。けんど、節の部分に枝を切り落とした後の鋭利な根元がそのまま残る竹材を、ランニングシャツでそのまま担いだらケガをする事もありますきに、前掛けを肩にあてて使いよりました。頭にはタオル、肩に前掛け今でも目を閉じたら、顔を真っ赤にして、エッサ、エッサと竹を運ぶ職人さんたちが見えるようですちや。


竹虎前掛けショルダーバック


さて、竹虎のロゴマークは大好きやった祖父が考案して、かれこれ60数年使うてきた愛着のあるマーク。このマークを入れて新しく作った竹虎前掛けですきに、自分としては色々な思いが混ざって、ちっくと特別なものになっちょります。


夏場は腰に巻くだけでも結構暑いのですが、別に現場に出なくても出張でもなくても一人の事務所でも何となく付けたくなる事もある竹虎前掛け。けんど、なかなか普通の生活の中では、前掛けを付けていただけるチャンスは少ないと思います。女性の方にも日常的に使うて頂ける物はないろうか?そんな事を相談しよったところに、ちょうど前掛けを使うた創作をされゆう腕のエイ職人さんがおりました。そこで、ショルダーバックを製作させていただきましたぞね。


実は、あんまりご要望があるとは考えちょりませんでしたし、まして販売するとは思いよりませんでしたので、本当に数も少しだけやったがです。自分が使いよったら、結構使いやすいし使っているうちに、もしかしたらこのバックを持った方と何処か遠くの町などでバッタリお会いしたり、お見かけする事があれば、こりゃあこじゃんと嬉しいろうにゃあ。今のところ皆様にお分けするほど作る予定はないですけんど、そんな何ちゃあない事を想像したりしてニヤニヤしゆうがですちや。


竹虎インターンシップ本社説明会2013

 
虎竹の里


竹虎では毎年インターンシップを開催させて頂きよります。いえいえ、もちろんささやかな、まっこと(本当に)大きな声で言うようなモノではないがです。けんど、説明会の当日はエイ天気にも恵まれて、車で1時間以上もかかるような所からも学生の皆さんが参加していただいて、こじゃんと嬉しかったがぜよ。


まず、この安和の地形の事からお話させていただきよります。山の麓から山頂までは竹があるけんど、峠を越したら竹がすっかり無くなるというこの日本唯一の虎竹の里ならではの不思議な竹の話に、本当やったら竹とか伝統とか言うことにあまり興味のないはずの若い皆さんが真剣に耳を傾けてくれるがです。


黒竹玄関すのこ


ここ高知県は虎斑竹(とらふだけ)が特産ですけんど、温暖な地域に成育する黒竹も産地として有名ながです。最初から真っ黒い色をした美しい竹を使うた玄関すのこですけんど、ご存じの方は、さすがに一人もおりませんでしたぞね。まっこと、暑いなかお越しいただいて良かったちや。


虎竹


工場では山から伐り出された原竹の状態の虎竹もご覧いただきます。虎模様は最初から綺麗に表面に出ちゅうのではなくてガスバーナーの高温で炙る「油抜き」という加工をする事により、竹の中の油分がしみ出し、模様が浮き上がってくるがです。竹屋の自分達にとったら当たり前の話しも、若い学生の皆さんにとったら全く未知の話しやしインターンシップの期間中にはもしかしたら、いやいや恐らく人生で最初で最後の油抜きの加工などもやっていただくがぞね。


インターンシップ説明会


インターンシップ説明会の最後では、竹虎の事をもっと知ってもらいたいと思うて会議室に帰ってきてからお話もさせてもろうたがです。あまり熱心な目をされちゅう学生さんばっかりやきに、ついつい時間が長くなってしもうてパイプ椅子に座ったお尻が痛くなる方もおられたようながですが、一期一会、今しかお話することは、たぶん無いろう。そう思うたら、この「今」は竹の未来に繋がる「今」おろそかには出来んがやないかにゃあと思うがです。いよいよ来月、今年のインターンシップが始まりますちや。学生さんにとっても、竹虎の社員や自分にとっても暑い熱い夏になるがです。


緻密なスズ竹編み

スズ竹アヤブチバッグ


スズ竹の手提げ籠と言うたら、どちらかと言うと無骨で丈夫、実用的なので、こじゃんと(とても)プロには人気がある買い出し籠のイメージが強いのではないですろうか?いえいえ、もちろん親から子へ譲って使える堅牢さは他の竹籠から言うたら群を抜いちょりますし、飴色に輝く市場籠は、まっこと使うほどに愛着が増すがですぞね。


さて、けんどそんなタフガイなスズ竹市場籠の印象を覆すような、繊細でスマートな竹編みの手提げかごが実はあるがです。それが、スズ竹アヤブチバッグ。何と言うても一番の違いは、その竹ヒゴの細さぜよ。普通に編み込む市場かごの竹ヒゴ等とは全く比べものにならないような細かさながです。


竹編みは「編み」の方にばっかり目がいきますけんど、実は竹ヒゴ作りが全てながですぞね。どんな名人の職人さんでも、竹ヒゴが上手く取れていなかったら美しい竹籠は編む事は出来ないのです。これだけ細く均一な竹ヒゴを取ることのできる職人さんは、高齢化が進む中でもう一人しかいないと言われちょりますが、普通の市場かごの竹ヒゴに比べると何倍も時間のかかる熟練の職人技ながです。それだから、ギッシリと編み込まれたアヤブチバックは、この細い竹ヒゴでないと絶対にありえないような柔らかさ。そして、しなやかさ、バックを手に歩いた時の腰当たりぞね。今までスズ竹の手提げかごを長くご愛用いただきよったような方にとりましても、まっこと別次元のようなスズ竹バックながです。


竹清先生の昼寝

タイ王室御用達竹籠


渡辺竹清先生の工房にお伺いすると、いっつも新鮮なニュースがあるぞね。「高野の昼寝」という言葉がありますけんど、ご存じですろうか?その昔、今のように電話も新聞もない時代、世の中の動向というのは旅人によって、その地域、その地域にもたらされる事が多かったと聞いちょります。不便な時代ではあり、なかなか遠くの事情は分かりにくい世の中にあって、高野山には人の出入りが沢山あり遠くの情報が黙っていても、それこそ昼寝をしていても自然に集まったことからこのような事が言われちゅうがです。


これになぞるとしたら、まさに「竹清先生の昼寝」ですろうか?竹の世界に色々な人脈があり、古くからの方にも、若い職人さんにも慕われる人徳のある先生ならではやと思うがです。竹の新しい話しは、今日もありましたぞね。祖父も父も、こうやってドキドキワクワクさせて頂けるきにいつも竹清先生の工房には足しげく通うたがやろう。


さて、先生に見せていただいたのはタイ王室御用達の竹職人が作る竹籠ぞね。高さが、ほんの数センチしかない小さな小さな籠をこれだけ緻密に、正確に編み込める技術は圧巻ぜよ。


竹ハンドバック


竹編みの種類は色々とありますけんど、網代編みと言う細かい編み込みを極めた渡辺竹清先生だからこそこの逸品の真価が分かると思うがです。普通、これだけ小さいサイズだと竹ヒゴを取るのも大変な技やけんど、その細かい竹ヒゴを正確無比に間違い一つ無く編み込む技術、これは賞賛すべきものやと言われちょりました。竹のハンドバックにしても、何とも上品な雰囲気を漂わせちゅうのは、さすがに王室御用達ぜよ。一体どんな編み込みをしちゅうのかさえ分からんけんど手から伝わる質感、オーラのようなものが違います。


竹は身近な素材として使われてきたのは、何ちゃあ日本だけではなく、むしろ、南方系の植物やきに東南アジアでも生活に欠かせない大事な素材とされちょります。そんな中で、こんな芸術品と呼べるような美しい竹工芸が完成されちゅうとは、まっこと凄い事やと感心することしきりながです。


楽しいキッチン

白竹広口保存瓶


確か前にも、この保存瓶はお話させて頂いた事があったと思うがです。お料理の好きな方やったらこんなガラスの保存瓶は何本か台所にあるがではないですろうか?何の変哲もないガラス瓶も色とりどりの食材を入れたりして、キッチンにあれば華やいで見えたりちっくとウキウキしてくるかも知れませんぞね。けんど、その楽しさを更に増幅させるがに、がお役に立てるがやないろうか。そんな思いで作った白竹広口保存瓶ぜよ。


別に何ちゃあ考えちゅうワケではないがですちや。ただ、ただ、キッチンを少しでも明るく台所仕事が笑って出来るようになったらエイにゃあ。ちっくと心が豊かになるかも知れんぞね。そんな思いだけで作ってみたがです。キッチンが楽しゅうになったらきっと家中が楽しゅうになるかも知れん。それが、それぞれのご家族の学校や職場にもしかしたら伝わらんろうか?広がらんろうか?


ささやかでもエイですきに、日本のどこかで、水の波紋みたいな事が起こるとしたら自分達にしか出来ない竹の仕事も、こじゃんと又やりがいのある仕事になるがです。


竹工房のお茶時間

竹工房


エアコンなどしなくても網戸にしちゅう縁側の窓からは、緑の葉をゆらして心地のエイ風が通り抜けていくがです。だいたい竹職人さんの朝は早い。熟練の職人さんに話しを聞くと、最初は丁稚奉公ではじまる竹の世界。朝は夜明けとともに、夜は深夜までいろいろな竹の編み方で籠を作る毎日。ずっと親方や兄弟子と一緒に競いあいながら竹の向かい合うたそうです。


竹工房のお茶時間、懐かしい袋菓子を食べながらそんな話しを聞くにつれて自分が小さかった頃の事を思い出すちや。いつも優しい祖父も、竹を手にしたら「仕事の鬼」と言われて、まるで別人のような真剣な顔つきになって竹を切りよりました。後ろで伏せて仕事が終わるのを待っている愛犬アトマもその雰囲気を察してか、いつも黙ってご主人様をじっと見よったです。


竹虎に入社して、ようやっとあの時の事が分かった気がしましたぞね。竹の工場では役職や年功序列は関係ない良い品を、ひとつでも多く作れる腕のエイものが大将やった。この職人さんの仕事場は、どうやったがやろう?それにしたち、のんびり竹に囲まれる午後は気持ちがエイぜよ。そよ風に、大好きやった職人さんたちの笑い声が聞こえてきそうな、ちっくと幸せな時間ぞね。


竹炭灰の炭窯

竹炭灰


竹炭窯を開けてみてギョッとしまたちや。どうしてち?なんせ沢山焼けているはずの竹炭が見えんがです。一つの窯に入れられる材料の量は決まっちょって、それにかかる時間や労力などは同じですので、窯で出来、不出来は竹炭職人にとっては死活問題ながですちや。


竹虎で販売させていただきよります飲料水、炊飯用竹炭は最高級の竹炭と胸を張るだけあってから昔からある炭焼きの技術継承をしつつ、現代ならではの温度管理も活用しよりますが、大きなポイントが土窯であることながです。土窯にこだわっているのは土窯でないと焼けない品質をずっと守っていきたいと言う思いがあるきですが、その代償としてベテランの竹炭職人でさえも、気候や天気、竹材の材質により焼き上がりに思うような竹炭が出来あがらない事がるのです。数十年のキャリアの炭職人さん達でも、もともと炭に焼き上げるのが難しいと口をそろえる竹。実は、この窯の中を一目拝見したときには、


「ああ、やってしまわれちゅう!」 


つまり、竹炭が焼けていないのでこの窯は失敗やったがや、瞬時にそんな風に思うたのです。けんど、この地域で一番の腕利き職人として有名な窯の主は涼しい顔。当たり前のように淡々と仕事を進めていきます。竹酢液を入れた大きなタンクで仕事をしよりました。体格のよい助手の方も、軍手をはめ直しながらやってきて、なにくわぬ様子でキビキビとした動きに変わりなしですぞね。


「竹炭の灰を沢山取るための焼き方だからね...」


なるほど、自然派の皆様にずっとご愛顧いただきよります。洗濯用洗剤、竹炭の洗い水は土窯づくりの竹炭が原料となっちょりますが、この竹炭灰も大事な材料のひとつとなっちゅうがぞね。けんど、竹炭灰の比率を多くするように考えて焼きゆうとは!?またひとつ竹炭の奥深さを教えてもろうがです。

雨もまた楽し

黒竹番蛇の目傘


縁あって和傘の製作に関わらせていただき、なかなか渋い感じの黒竹を使うた番傘が出来上がってきたがです。竹虎は、竹一筋に今年で創業119年になりますが、もともと和傘に使う竹材の取り扱いから会社が始まったという社歴を思いながら開いたり、閉じたりしよったら、いやいや、傘とはまっこと良く出来ちょりますぞね。これが金属とか人工的な新素材とかになると又違うかも知れませんけんど、竹と和紙という身近な自然素材を実に見事に活用して、よくこれだけの機能性のモノが作り上げられちゅうなあと、昔の職人の英知に感心するばっかりながです。


和傘


おっと、今朝は曇り空。ちっくと弱い雨が降ってきましたきに、これこれ、とばかりに和傘を持ち出してきましたちや。当社で販売しよります黒竹番蛇の目傘は製造中でありませんが、試作の最中に職人さんから頂いた一本を手に外に出るがです。


和傘は凄いですぞね。傘を開いた途端に、和傘ワールドのなるがやきに。ポツポツと傘に当たる雨音も心地エイ。雨は、あまり嬉しくない事が多いと思うのです。スポーツやイベントが中止になったり、それほど大がかりな事でなくてもドライブひとつでも天気が良くて晴れちょった方が景色もエイですろう。


そうやにゃあ、雨を楽しめる事はあんまり無いのではないですろうか?あんまり無い体験やきに、かなり新鮮ですぞね。確か「雨に唄えば」というような映画があった気がしますが、まっこと歌でも口ずさみたくなるうな雨体験。これが出来るのが和傘ならではかも知れませんちや。


虎竹カニ連さんの乱舞

虎竹かに


高知では、いよいよ来月ぞね、真夏の祭典よさこい踊りが始まりますちや。今年は60周年の節目の年と言う事もあってから、例年以上に沢山の踊り子さんが出番に向けての練習に汗を流しゆうがです。よく間違われますけんど、よさこいは高知が本家本元ですぞね。聞くところによると参加者の内、4人に1人は県外からの踊り子さんやそうですが、高知がよさこいの聖地と言われゆうそうですし、やっぱり熱い本家の乱舞を体感したいという方も多いがと思います。今年4月には高知よさこい情報交流館もオープンしちょります。高知駅前でのよさこい踊りや、商店街での「まちなかよさこい」等、8月の本番へのムードも、こじゃんと盛り上がつつあるようですちや。


「竹虎さんは、よさこいは踊らないのですか?」


お祭り好きに見えるがやろうか、県外の方にもよく聞かれる事があるがです。実は何を隠そう、見てのとおり踊りは下手の横好きぜよ。よさこい踊りは、中学の時に出会って以来、夏と言えばヨサコイ、終われば夏が過ぎて秋、そんな夏休みをずっと過ごしてきましたちや。大学の時にはずっと幹事をやって地方車で唄わせてもらいよりました。卒業して竹虎で働きだしても毎年ずっと唄いよって、今でも、その時のDVDを大学チームは使いよります。


よさこいを踊らんなってから何年になりますろうか?確か前にもお話させて頂いた事がありますけんど、何ちゃあ、踊りを止めちゅうワケではないがやきに。いやいや、むしろ今の方が激しく踊りゆうかも知れませんぞね。こじゃんと、やりゆうつもりながです竹虎の踊り。


見えませんろうかにゃあ?


代わりに日本唯一の虎竹カニ連さんに、ちっくと(少し)踊って見せてもらいますぜよ。おっと、こりゃあ、なかなかの乱舞やにゃあ。どうですろう、こじゃんと(とても)楽しそうやないですろうか。


竹皮草履の編込み前の仕事

竹皮ぞうり


自分は今、いつもの竹皮草履を履きながら、皆様にお話させていただきよります。もしかしたら、このブログをご購読いただきゆう方の中にも、竹虎の竹皮草履をご愛用いただきながらと言う、こじゃんと嬉しい方がおられるかも知れませんちや。


いやいや、今は履いてはいないけれど、自宅の玄関に置いてきちゃある、会社の下駄箱にあるぜよ...。そんな方もおられるかも知れませんにゃあ。けんど、いずれにしましても、この竹皮草履の材料はすべてが高知県の山の竹皮。筍がドンドンと成長する時期にあわせて竹林に入り、地面に落ちた竹皮だけを集めてきて天日干しするがです。まっこと、この竹皮集めたけでも簡単な事ではありませんぞね。


竹皮草履


竹皮草履を実際に製造する工程になったら、この道を極めた職人さんは目がさめるようなスピードで時々笑みや、話しをしながら、ある時は、チラリと視線を余所に移しながら美しくギッチリとした編み込みが作られていきますけんど、その前の作業を思う方はあまりおられませんろう?


けんど、草履の芯にする藁ひとつにしても、稲刈りを手伝うたりして、稲藁を農家さんから分けてもらい、その藁も、そのままでは使えないので柔らかくするために 大きな機械で叩く工程があったりしますし、肝心な竹皮は竹皮で、数年乾燥させて寝かしちょいて草履に編む時になったら竹皮を水にもどして細かく裂いたり、手編みの時間の何倍もの手間と労力がそこにはかかっちゅうがです。今、竹皮草履を履かれちゅう方がおられましたら、ちっくと(少し)、ご自分の竹皮草履をご覧になられてください。そんな事を聞いてから草履を履いて頂くと草履の表情も違うて見えてきませんろうか? 草履の履き心地も違うてくるのではないですろうか?


黒染めの箕

竹職人


東北地方で編まれた物のような雰囲気が漂う(み)を見かけましたぞね。けんど、こじゃんと緻密に編まれちゃある。これは名人の方の作だろうと思いよりましたら、思いがけず作り手の職人さんにお会いする機会を頂いたがです。もともとはアケビのツルを細かく裂いて二本並べたところに、竹ヒゴを編み込んでいくという説明から始まり、詳しく箕の製作工程を教えて頂いて感激しますちや。


初めて見た時に東北の籠やろうか?と感じたのは中に編み込む桜皮のせいやったです。四国や高知にはカズラや蔓の細工はありますけんど、木の皮を使うた物づくりというのは少ないきに、余計に珍しく目を引きすまぞね。どこの地方でも同じですけんど、箕は細かい雑穀類の選別に使われてきた農具なのです。桜皮を使うのは編み込みに入ったり、下に落ちないようにとの工夫ながです。


箕


それと、この箕の一番の特徴は前半分の編み込みは竹表皮が上向きに使わちょり、後ろ半分は反対に底に竹表皮がくるように編まれている事ぜよ。時間がたてば色合いは区別できなくなりますけんど、出来たての時は鮮やかなツートンカラーのように見えますぞね。けんど、これはもちろん見栄えのためではなく、前半分の滑りをよくして効率よく雑穀の選別ができるようにするためちや。縁にはビワの木、桜皮を竹編みと補強に使うて持ち手の仕上げはカズラで巻いちょります。身近な自然素材を組み合わせて継承されてきた伝統の箕。


竹はチンチク(沈竹)、またはホウライチクとも呼ばれる事が多い竹で、地下茎ではなく株立ちで密集して生える南方系の竹ぞね。しなやかで粘りを持っちょりますので、昔は細く割った竹ヒゴで紐代わりに物を縛って使われたと言いますきに、さぞ、色々と使われて人々のお役に立ってきた竹やと思うがです。ビワの木は太さが一定で、柔らかい木質なのに丈夫な木だからとか、他の素材にも、それぞれに使われてきた理由があり、これ以上の組み合わせはないと思わせる完成度があるがです。さすが長い時間の中で鍛われてきた逸品ちや。


「これ持って帰り......」


奥からもってきた黒染めした一枚を、優しい笑顔で差し出してくれますぞね。これは人工的に色を付けちょりますが、きっと昔は囲炉裏端に置かれていたものが煤けて、こんな色合いになったりもしたがですろう。もう、そんな時代は無いがやにゃあと思うたら、頂いた箕を見つめながら少し寂しい気もする竹職人さんの工房ちや。


手削り、竹のビアグラス

竹ビアグラス


竹のビアグラスは、ただの竹の筒なのでちょっと見た目には簡単で、もしかしたら、どこにでもあるグラスと思われるかも知れませんけんど、その実、竹の節、竹の形、竹の風合い、できるだけ自然そのままの竹のを活かしながら実用的に使える耐久性も追求したギリギリの商品だと思うがです。竹は縦に繊維が無数に走っちょりますので、丸竹のまま使うと、縦方向に割れやすい性質を持っちょります。また、旬の善し悪しもあるのですが虫が食う事もありますし、食器として使用の場合にはカビなどにも注意が必要ながです。


日本の家庭の台所には昔から竹籠、竹ざる、竹箸、竹ヘラ、竹御簾など、いろいろな竹細工が所狭しと置かれたり、吊されたり、いちいち挙げるとキリがないくらい使われちょりましたが、管理はプラスチックなどの比ではなく大変で、水に濡らして使ったあとは風通しのよいところで完全に乾燥させよったのです。竹のビアグラスも同じこと。虫やカビをできるだけ防ぐために油抜き加工した後に、高温と圧力で炭化加工しちゅうがですが、無塗装で仕上げられちょります。表面の輝きはひとつひとつ熟練職人のサンドペーパーの手磨きです。お使いになられた後は浸け置きなどせずに、サッと水洗いして十分乾燥させとうせよ。


それぞれ個性のある竹を、長年の経験で見極めながら高速回転させるロクロで形を削りだし、ひとつ、ひとつ確認しながら製造しゆう国産の竹グラスは実は価格以上の価値があるがですぞね。


丸まった半割竹

竹踏み


青竹踏みは昔からある健康法の一つですけんど、こんなに簡単でお手軽なものは他にあんまり無いのでは?そう思ってしまうくらい、いつでも、どこでも、誰でも出来るがです。では、どう使うか?当たり前の事のようですけんど近頃の若い学生さんなどは、青竹踏みを知らない世代もいますので念のため説明しますけんど、説明も、こじゃんと簡単ですちや。


それでは、使い方。


半分に割った竹をフミフミするだけ。


たった、これだけですぞね。


けんど、この青竹踏みも足裏に当たる曲がりの部分が色々あって、初心者の方にはこのカーブがゆるやかな方がエイのですが、自分のような毎日踏む者にしたら足裏への刺激がなくなり、もっと急な角度のついた青竹踏みが欲しくなってくるがです。


実はそんなお客様は全国に多くて、細身でカーブの急な、足裏への刺激がギュッ!とくる、そんな青竹踏みをとのご要望にお応えして出来あがりましたのが強力青竹踏み踏王(ふみお)くん。通常の竹踏みは、太い竹を半分に割っているのですが、この踏王くんは、3センチ程度細くなった竹を半割ではなく、6:4の比率で竹を割って製造されちょります。つまり1本の竹から2本取れる所を、あえて使い心地を考えて1本しか作っていません。竹虎の社員からのアイデアで作りましたけんど、どうして今まで無かったのか?不思議なくらい素晴らしい商品ぞね。


さて、ところでこの青竹踏みの材料も結構大量に入荷して、どんどんと製造されよりますので中には竹が若く乾燥が十分でない竹も混ざってしもうちょります。乾燥が十分出来ていない竹で竹踏みを作ったらどうなるか?最初は6:4の比率で割って上等の形に仕上げられた青竹踏みが時間の経過とともに乾燥して、竹が収縮してくるのです。縮んで縮んで、最後にはこんな丸まったような形にまでなってきますきに、まっこと天然素材というものは面白いものながです。


こんなに丸くなったら当然お客様にご紹介はできません。けんど、なんちゃあ捨てることはなですぞね。自分のような超上級青竹踏みマスターになりますと、こんな角度のものが足裏にピッタリやったりもするがですきに。これくらいになったら竹の安定感が悪いので、十分に気をつけて踏まねばらりませんけんどこれは効きますぜよ!ピンポイントでグイグイッくる!いやいや、書きよったら又踏みたくなってきた、もう一回、フミフミしますぞね。


手のひらの大きな課題

竹の杯


自分の小さい頃にはに従事される方もずっと多かったですし、今とは比べものにならないような様々な竹細工がありました。竹は筍は食用になるし、その竹の皮も使えますし、大きくなったからでも穂先から地中の根まで、まっこと全て捨てる所がないほど役に立つ植物ですけんど、その中でも地面の中の部分。そう、竹根や竹根に近い部分を使った竹製品も実に色々とありましたぞね。生け花用の花入れから、お茶道具、香道で使われるものから始まり日常品の様々な小物、装飾品など、そうそう変わったものでは照明などもありましたちや。


そんな竹根細工は今では、すっかり作られる職人さんもおられなくなっちょりますが、太い竹根を使い製作された竹の杯というものがあるがです。これは祖父が全国をまわって集めてきた竹細工の中にあったもので、同じ方の製作した竹根茶碗を自分はずっと愛用しよります。もう十年程になりますろうか?ずっと愛用しよって、やっぱり手触りや口当たりが良くてもともとは焼き物も好きではありますけんど、この竹茶碗を越える焼き物の器には、遂に出会うことなくおるがです。だから、ひとつだけ残っちゅう竹の杯を見るにつけて、なんとか復刻できんものやろうか?ずっと思い続けてきたがです。そうやって思い続けよりましたら、不思議なもので、何とか形になるような機会ができて、先日、こうやって一つだけ出来あがったがですちや。


なるほど、なかなか悪うないぞね。ただ、適材の竹根が思うよりも、ずっとずっと少なく、この一つだけで次の製造見込みが全く立たないと言われよります。まっこと、一度なくなった加工技術を復刻するのは、材料をはじめとしてその道具、そして、その周りの職人さんまで、考えたら実は大勢の方に関わってきますので、そうそう簡単な事ではないがぜよ。まさに、至難の業と言うてもエイがです。けんど、古き良きものが消えていくのをどだれけ見送ったらエイがやろうか?手のひらの上にのる小さな竹杯の向こうに大きな手作りの課題があるがやにゃあ。


※竹職人のミステリーサークルの答え。釘の間に竹ヒゴを並べて菊底編みの編み始めに使うように工夫して作られたものです。


竹職人のミステリーサークル

竹職人のミステリーサークル


ミステリーサークルは有名ですきに皆様もご存じの方も多いですろう。イギリスの麦畑などで見られよりました朝起きたら円形に麦がなぎ倒されちゅうと言うアレですちや。発見が重なるにつれて模様が複雑になったり、大がかりになったりで一時期は、まっこと色々な憶測が飛び交いよりましたぞね。自分も、ちょうど円盤が着陸した跡みたいに見えますきにあれは恐らくUFOのせいやろう...。もし、違うやったらイギリスの地域独特の何らかの自然現象か...?そりゃあ、虎竹やち、ココ虎竹の里でしか成育しないがやき広い世界には信じられない場所もあるがやないろうか?真剣にそう思いよりましたちや。


そうこうしている内に、ついには日本の田んぼでも発見されたりして確かテレビでも、こじゃんと(とても)放映された覚えがあるがです。結局、このミステリーサークルは、人為的に作られたモノだったという事で最近では話題になる事も、めっきり少なくなってしもうてなかなか見る機会もなくなってしもうちょりましたが。


けんど、けんどこの竹職人の工房へ来たなら、まっこと世紀の大発見ぜよ。虎竹や白竹、黒竹、青竹など色々な竹材やカズラ、籐編みかけの竹ざる、竹籠それから自作で製作した竹ひごを取る道具類や、味のある刃物たちいろいろなモノがゴチャゴチャと置かれちゅう使い込まれた古い木のテーブルの隅に見つけましたちや。


そうです、この竹職人のミステリーサークルぜよ。


誰が作ったのか?どうして出来たのか?何の目的があって?本当のミステリーサークルではそんな事が取りざたされちょりましたけんど、これについては誰が作ったのかは一目瞭然ぞねこの竹職人のおんちゃんやにゃあ。けんど、一体何の目的があってか分かる方はおりますろうか?どうやって使うがですろうか?


実は、これは...おっと、おっと、せっかくやきにこれは問題にしちょこうちや。明日のブログで答えは発表しますきに、もし、このミステリーを解いた方おられましたらこのブログ記事で自分宛のへコメントでもしとうせよ~。正解者には、何ちゃあありませんけんどこじゃんと褒めたたえさせて頂きますぞね。


虎模様の涼味

虎竹新聞入れ


最近の若い方は新聞を読まれない方も多くなっているそうですが、やっぱり自分は古いタイプと言うことですろうか?朝、新聞を読まないと何かちっくと落ち着かない気持ちがするがです。ただ新聞もどこの新聞でもエイという事ではなくて、やっぱり読み慣れちょって地元の事が多く載っちゅう高知新聞がエイにゃあ。


出張で高知新聞を読む事ができなかったから、日にち遅れでも構うことなく目を通しよります。新聞のバックナンバーはあんまり役に立たないと思われがちかも知れませんけんど、ローカル紙は意外とそんな事がないようですちや。


虎竹新聞籠入れは試作の時に、一回り大きな籠を作っちょりますが、このサイズなら新聞だけでなく日頃、読んでは散らかす雑誌の収納にも便利そうなき自分が使うてみろうかにゃあ。暑い日が続きよりますが、夏の日差しの下でも虎模様が以外と涼味を感じるような気がして、ちっくと、そんな事も思うたりしゆうがです。

秘密兵器?ウツボかご

ウツボかご


自分は、あまりテレビは観ない方ながですが、楽しみにしちゅう番組のひとつにNHKで放送されよります「ダーウィンが来た!生きもの新伝説」があるがです。毎週日曜日にやりよりますけんど、国内外問わず、実に色々な動物の生態を分かりやすく、そしてよくこんな映像が撮れるにゃあと感心してしまうくらい詳しく鮮明に、まっこと楽しく拝見させていもらいよりますぞね。


前回の番組に取り上げられちょったのは、海のギャングとも、スーパー怪魚とも言われる、あのウツボ。高知県ではウツボのタタキが郷土料理となっていて、宴席では定番となっちょります皿鉢料理などでは大きなお皿にタップリ盛り付けられて出てきますし、そうでなくても、アチコチの居酒屋さんなどではごくごく普通のメニューとして食されちょります。


そんなワケで、ちっくと親近感のある生き物やったがですが、その海の中での暮らしぶりは、ほとんど知らない事ばっかりやったです。一番、驚いたのは食べ物を求めて磯にあがって来た時です。皮膚が厚く丈夫で皮膚呼吸できる関係で、身体が濡れていれさえすれば何と30分くらいは平気と言いよりましたちや。潮が引いた時に磯に取り残された小魚などを狙うそうながです。まっこと知らんかったちや。磯を歩きよって、あのちょっとグロテスクなウツボがニョロニョロしよったら...、イカン、イカン、想像しただけで腰ぬかすかもやにゃあ。そして、あだ名の通り海の中では食物連鎖の頂点に君臨しちょります。結構な強敵と思いよりましたタコなども一撃。まっこと、怖い者知らずの暴れん坊という見た目通りの魚やったがです。


けんど、この長い形をした竹籠を知っちょりますか?


そうですちや、その暴れん坊を捕まえるウツボ籠ながですちや。海の中では、いくら恐がられちゅっても、この竹籠には降参するしかないがやきに。おっと、そう考えたら、ニコニコと優しそうな顔して職人が手にしちょりますけんど、こじゃんと(とても)怖い、秘密兵器という事になりそうぜよ。


竹虎マークの入った竹プレート

竹林


は成長がこじゃんと(とても)早く、毎年どんどん生えてくると言うお話は、この30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」をご覧いただきゆう方ならいつもお話させていただく事やきに百も承知やと思います。そこで、こんな環境にやさしい素材は他にないですし、もっともっと活用せんとイカンと思うちょりますしもしかしたら自分達にかせられた使命かも知れませんぞね。


そう考えたら竹プレートなどは、サイズが小さいので使用する竹の量としては少ないものの、竹表皮を他の製品に使った後の竹の身部分を利用できますので、竹素材を無駄にしないという点では、なかなかの優等生と言えますろう。


けんど、これが面白いものですぞね、ほんの小さな竹札ですけんどレーザー刻印で竹虎マークが入りますと、とたんに愛着がわいてきます。最近では、自分でも結構お気に入りになっちょりまして、とうとう、いつも持ち歩くバックにも取り付けるしまつ。更には「どうですか?この竹プレート、エイですろう?」そう言いながらバックから取り外して、半ば強制的に差し上げた事もあるくらいながです。


レーザー刻印


一度に、こうやってズラリと並べたら後は機械が自動的に刻印してくれるがです。確かに時間は、ちっくとかかりますけんど、ひとつ、ひとつ手彫りすると思うたら、手間はかからないし、同じものが出来ますし、まっこと、技術の進歩というモノは、ありがたいものですちや。


けんど、それより有り難い事は、こうやって刻印させて頂いた竹プレートを時には竹バックや竹籠などに付けさせて頂いて、全国のアチコチにお届けさせていただける事ですぞね。小さな竹札一枚でも喜んでいただけるお客様がおられる事に深く感謝したいと思うちゅうがです。


竹虎四代目くん登場

竹虎四代目くん


せっかくお客様が竹虎のお店にご来店いただいても、自分は山にも行くし職人さんのところなど現場がほとんどですきに、お会いさせていただく事はあまりないがです。もちろん、「心」はいつもお店と共にありますけんど、なかなか形として見て頂く事は出来ませんぞね。そこで、実際に形に見えるものを作る事にしたがです。


実は、これは先日取材にお越しになられちょった記者の方からのある言葉がヒントになりました。まっこと、不思議なものです、全く違うお話をさせて頂きよったはずなのにちょっとした話から今までグルグル回りよったある回路と回路が、ピピッとつながったような気がしたがです。それで、その日のうちに決めてしもうて、あれよ、あれよという間に、こんな立て看板が出来あがったという訳ぞね。確かに、自分が発注したのは間違いありませんけんど、何やら自分にしたら誰かに「やらされた」感があるきに、まっこと可笑しなものですちや。


竹虎本店


けんど、出来上がってきた看板を見せていただいたら、まっこと、良く出来ちょりますちや。虎竹の里のような田舎におったら分かりませんでしたけんど、こんなモノが作れるとは時代は日々進化しよりますぞね。


勝手に、そのまんまですが名前まで付けましたけんど、「竹虎四代目くん」は2つお願いして製作しちょります。ひとつは、普通に立っているタイプ。それと、もうひとつは竹虎前掛けショルダーバックを提げて顔抜きになっちゅうタイプながです。顔抜き言うたら、あの観光地によくある顔を入れて写真撮れる、あれです。まさか、竹虎四代目になった気分で写真撮られたい言う方もおられませんろうけんど、まあ、せっかくのついでですきにススメられるまま作りましたぞね。


届いたら、やっぱりまず、この顔抜き看板を使わんとイカンろう。そう思うて社員と一緒に試しに写真を撮ってみたら、これが結構楽しいがやきに、こりゃあ、エイ、自分が一番楽しいちや。まあ、そんなのどかな虎竹の里の一日です。


竹の稲妻模様

簾(すだれ)


夏に活躍する竹製品のひとつに竹簾がありますぞね。竹簾は、細く割った竹を紐で結んで一枚の製品にしていきますが、強い陽射しをさえぎりながら、風通しが良く昔から愛用されてきちょります。


ひさしからズラリと簾をたらしているお宅を拝見する事はありませんろうか?なんとも風情があってエイもんですちや。そうそう、京都の町屋などの写真や映像で、この季節はよくご覧になられる事があるかと思いますが、川べりのお宅で簾を垂らしてある景色だけで何となく涼を感じてしますぞね。さて、この竹簾の所々に、白っぽく見える稲妻模様がありますが、一体何かお分かりですろうか?


そうながです、実はこれは竹の節の部分です。表皮を活かした簾は、こうやって竹節が表にでてきますので、竹を斜めにちょっとづつずらせて、このようにジグザグに見せているのです。竹節など、どこに入っても良さそうだと思われる方もいるかも知れませんが。これが竹職人のこだわりで少しでも良く見せて、お使いいただく方に喜んでいただきたい。そんな想いの現れやと思うちょります。


竹簾だけでなくて袖垣なども太い孟宗竹の芯の上を、こうやって細く割った竹で巻きつけて仕上げていくがですが、この工程では簾の竹と同じように巻き竹を少しづつ斜めにずらせて、竹の節で模様を作っているのです。よくよくご覧になられないと気づかれないので、見逃される方が多いのですが、竹節が乱雑にアチコチしているのと、こうやって稲妻模様に規則正しく並べられているのでは、出来上がった竹製品の見栄えには雲泥の差があるのではないですろうか?竹細工には長い歴史がありますきに、その間に磨かれてきた本物は間違いないがです。


大きな梅干しざるで干し野菜も

梅干しざる


梅干しを、こじゃんと(とても)漬けられちゅう方言うても、そんなに多い方はいないだろう...。前はそんな風に思いよりましたが、やっぱり世間は広いですちや、田舎者の自分など思いもよらないような強者の方がおられるようですぞね。


それは、お客様から頂くお便りや写真などで知るがですが、まっこと、沢山の量を漬けられる方がおりますちや。そこで、こんな特大サイズ何と直径が70センチもある竹ざるです。この土用干し用の竹ざるも、この大きさですきに、タップリ5キロ程度の梅干しを干す事ができますぞね。そして、重さに耐えられるように、しっかりと編み込んで、縁巻きも籐で二重巻きされちょります。


梅干しだけでなくて最近では干し野菜作りにも使われよります。干し野菜もお客様に教えていただきました。普通に竹ざるで干し大根を作る事くらいしか知りませんでしけんど、トマト、きゅうり、人参、ナス、ズッキーニ、ピーマン、セロリ、グリーンアスパラガス、ゴボウ、蓮根......。まっこと、色々な野菜を干して楽しめる事に驚きましたちや。余分な水分がなくなって、まず野菜の歯ごたえが良くなる。それから調理時間短縮とかあるそうですけんど、一番エイのが調味料が少なくても、しっかり味付けできて野菜の持っちゅう旨み、甘みが出るとの事やったです。


自分も野菜は大好きですけんど、確かに干して美味しくなる食品は結構ありますぞね。料理が簡単になって、更に美味しいとなったらこれは静かなブームというのも頷けるがです。梅干しにしろ、干し野菜にしろ、長く安心して使える竹ざるを使うて欲しいと思うちょります。


古い竹根杖

竹根ステッキ


まだまだステッキの似合う歳でもありませんけんど、竹根のゴツゴツした感じや手にした感触が大好きで古い竹根の杖を数本持っちょります。ほとんど持ち歩くという事は出来ちょりませんが、いつか、この渋い一本を手にして街を歩きたいにゃあと夢見ゆうがです。けんど、この竹根というヤツは、まっこと凄く丈夫です。自分くらいの体重やったらいくら重さをかけてみても、しなりはするものの、まったく折れるような気配はナシ、頼れる相棒という所ですけんど、この強さの秘密は竹根の節間の短さですろう。


そもそも竹の稈(かん)は空洞ですが、強風にも、積雪にもじっと耐えぬきますぞね。これが、ただの空洞の植物なら、とっくの昔にポキッとなっちゅうかも知れませんが、節があるお陰でどんなに吹かれても、しなって風をいなしながら、あるいは雪の重さに逆Uの字型に曲がりながらも折れる事なく、まっすぐに立ち続けられゆうがです。ましてや竹根部分となると空洞ではなく中身も詰まっちょりますので、竹で一番、堅牢な部分と言うても間違いないかと思います。


根曲竹杖


そんな竹杖ですけんど、先日何と又変わった一本と出会いましたちや。一目で引き寄せられたのは、その色合い。やっぱりはエイですぞね。時間が経てば経つほどに色合いが渋く飴色に変わってくるがやき。まっこと、古くなって味のでる自然素材のモノに敵うものらあ、ちょっと無いがではないろうか?この竹杖には「根曲竹」と誰かが手彫りしてくれちょります。これは、どういう意味やろうか?実は自分も根曲竹のステッキというのは初めてみましたきに、もしかしたら、


「これは、根曲竹で出来ちゅうがぜよ!珍しいろうがよ」


そう、言いたかったがやろうか?いや、きっとそうに違いないろうと自分は思いよります。わざわざ竹の種類を彫るいうたら他に理由はないがではないですろう。後の時代の人に、この竹が根曲竹であること「珍品だから大事にせんとイカンぜよ」「ワシの好きな竹を厳選して丁寧に作ったきにゃあ...」そんなメッセージが込められちゅうような気がして、愛とおしく感じるがです。


節付きの丸竹炭

竹炭


梅雨時は竹炭(バラ)が活躍する季節ですちや。炭の調湿作用というのは、良く耳にされるかと思いますけんどニオイの吸着にも竹炭は、こじゃんと力を発揮しますぞね。晴れちょったら窓を開けて風を入れるのが一番ですが、雨が降って、それもできない時にはお部屋の空気がよどみがち、ニオイもこもりがちですろう?そんな時には、きっと竹炭がお役に立てるがです。


そして、梅雨が明けたら明けたで又竹炭ぜよ。けんど、今度活躍する竹炭は高温で焼き上げた最高級のもの。どうやって使うと言うかと言いますと、一回煮沸消毒しちょってから飲み水に入れて使うかですちや。こじゃんと(とても)美味しい竹炭ミネラルウォーターになりますき、ペットボトルの水を買う必要はありませんぞね!


おっと、そうぜよ。竹炭は窯の種類や、燃焼温度によって性質が違うのを知っちょりましたでしょうか?先にお話しさせていただいた調湿やニオイ対策には低温で焼かれた炭が効果的やし、ピッチャーに入れて冷蔵庫に冷やして美味しい水にするなら高温の炭窯で焼き上げられた竹炭がオススメです。そうです、そうです。高温の竹炭というと、叩くと「キンキン」と金属のような音のする銀色に輝く竹炭の事ですちや。昔ながらの土窯を竹炭専用に改良して熟練の竹炭職人が焼き上げますので、竹虎では最高級の竹炭と言うちょります。


さて、先日見かけた、この節付きの丸竹炭。割れも少なくて、なかなか良く焼けちょりました。竹と言うたら節がアクセントになりますきに、このままインテリア用の飾り竹炭にしても格好エイですし土窯で焼かれた竹炭やったら綺麗に洗うて盛り皿にしても楽しいかにゃあ。炭は料理にあわせても、ちゃんと引き立て役にまわって名脇役に徹する事のできる名優やきにゃあ。


虎竹ペーパータオル入れ

虎竹ペーパータオル入れ


華やかな街から少し離れて、門くぐって入って行く奥まった所にその旅館はありました。古都の趣を思わせるような静かで落ち着いた雰囲気の通路には随所にのあしらいが使われちょりまして、やっぱり日本は竹文化だと、つくづく感じさせてくれるがぞね。


館内に入ると更に少し薄暗く、しっとりした空気感。こりゃあ、うっかり時間を忘れそうになりますちや。忙しい毎日を送る現代人には、こんな空間が必要な事もありますろう。暖簾をくぐって案内していただく長い登り階段の向こうまで、足元を優しく照らす竹灯りが並んじょります。おもてなしの心に感激しながら、歩きゆうだけですっかりリラックスしてしもうたがですが、ちっくと立ち寄ったトイレのドアを開けたらさらに嬉しい感激の再会が待ちよりましたぜよ。


そうですちや、日本唯一の虎竹がペーパータオルでお出迎えやきに。はじめて寄せていただいた、虎竹の里から遠く離れたこの土地で今日の自分のように訪れる旅人の疲れを少しでも癒してくれゆうがやろうか。虎竹の里の山に生えている時にも、その凛とした清々しさでサラサラと音をたてる心地よさで楽しませてくれる竹達ですが、伐り出され、運ばれ、選別、製竹など加工を経て職人の手で、それぞれの竹細工に昇華して誰かのお役に立っている。そんな竹の里でみる竹の表情と又違う顔を見させてもろうたら、それぞれの竹が人に喜んで頂きゆう姿を見せさてもろうたら、毎日の自分たちの仕事にも張り合いが全く違うてくるがやき。


まっこと、おまんらあが頑張りゆうように。自分も、やらんとイカンにゃあ。そう勇気をもらいますぞね、ありがとう。


ありがとう。


リニューアルした男の桐下駄

桐下駄


桐材は軽くて、吸湿性もあり独特のやさしい木肌である事から、下駄としても昔から多用されてきちょります。表面をムラのないように焼いた後に、丁寧に磨いて艶をだす焼き磨きという技法で製造された下駄は、「桐」だけに足元を「キリッ」引き締めてくれるような見た目の渋さだけでなく足入れもスムーズで、こじゃんと履きやすいがです。


こんな鼻緒の履き物の嬉しいところは、何ちゃあ浴衣や着物の必要がないところではないですろうか。いつもの作務衣やったら和風やきに、もちろんバッチリ似合いますけんど、ジーンズにTシャツのような格好にも意外と合わせる事ができて、そのままちょっとしたお出かけなどにも悪くないので、下駄はかなり優秀な履き物ですぞね。


鼻緒リニューアルした男下駄


男の桐下駄の鼻緒がリニューアルとなって鼻緒の柄が変わりましたけんど、「男」と名前が付いちゅうきに男性しか履けないかと言うとそうでもなく女性で足の小さな方でも、もっと言うとお子様でも鼻緒を指にひっかけたら誰でも使う事ができるがです。ひとつのモノを家族中で共有できる履き物というのは下駄くらいぞね。


前に江戸時代は、こじゃんとエコな暮らしをしていた時代と何かで聞いた事があるがです。当時、履き物と言うたら下駄か雪駄しかなかったと思いますが、鼻緒の履き物は少々の足の大きさを気にすることなく、誰でも使うことができて最後まで無駄になりませんので、日本人の「もったいない」というモノを大切にする心にもピッタリのエコな履物と言えるかも知れんと思うがです。