雪の下のマタタビ

マタタビ


あんまり暑いきに、ちっくと涼しい事を考えよりましたら、思い出したのがマタタビ細工ながです。東北で編まれよります、この細工は竹とマタタビという素材は違うても、ひとつ、ひとつ作られる昔ながらの手仕事と言う事では同じことぞね。


水に強い性質があり台所で使うのに適しちょりますので、米研ぎザルなどには昔から、こじゃんと使われてきちゅうがです。職人さんの手にもよりますが、薄く剥いで編まれた物は丈夫な上に軽い、そしてしなやかさも違う。まっこと、日本の山の力は凄いと感じさせてくれますぞね。


けんど、どうして涼しい事考えてマタタビかと言うたら、たまたま職人さんにお話を伺う機会があった時、なんと、まだ雪が残っちょったがです。ストーブに火が入っちょりましたきに、涼しいどころか寒かったちや。雪の下には、近くの沢から採って来たという、材料のマタタビを丁寧に束にして保管しちょりました。これも素材を大切にする職人さんの知恵やと言われよりましたぞね。


まあ、雪国に暮らす方にはどうという事もないですろうけんど、自分の小さい頃とは違うて高知に雪は、まっこと降らなくなりました。当然、積もる事も平野部では、ほとんど無くなったかです。寒いのは苦手な方ですけんど、霜が降りるくらい寒さがこないと、虎竹の色合いが付かないとも言われちょります。まっこと、こう連日の猛暑やと無い物ねだりやろけんど、あの時に拝見させていただいた雪がどうも恋しく思えてきて仕方ないがぜよ。


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