「竹清」の銘

渡辺竹清作文庫


渡辺竹清先生の「竹清」のお名前はお父様から襲名されたもの。網代編みの素晴らしい技は、師でもあった初代竹清氏譲りながです。その初代が網代編みで仕上げた文庫が右の作品ぞね。何とも美しい模様に目を奪われますちや。長い年月を飛び越して見る者の心を打つというのは本物やきですろう。初代の作品の隣に渡辺先生の作品を並べてみたがです。竹芸の技を極められたお二人の競演。まっこと、自分だけの父子展のような贅沢な時間やきに。


二代目竹清先生が幅の広い竹で編まれた文庫は、もしかしたら見た目で簡単そうに思われる方がおりましたら、大きな、大きな間違いですぞね。この文庫こそ、最高の竹との出会いが無かったら編む事はとうてい出来なかったと言われる渾身の作品。一本、一本の竹ヒゴを線が三本浮き上がるように磨くという、熟練の技があってこその究極とも言える逸品ながです。


竹清銘


さて、美しい文庫をじっくりと拝見させていただいた後、大事に手にとって裏返してみます。「竹清」と銘が入っちょります。初代の文庫も裏返して銘を拝見させていただくがです。


初代竹清銘


一目見て、ちっく鳥肌が立ちますぜよ!血は水よりも濃いという言葉がありますけんど、そんな事を、しみじみと感じる銘ちや。どちらか初代で、どちらが二代目かせ分かりますろうか?時代を超えて、作品とうして親と子が語り合いゆうような温もりと優しさがジンジン伝わってくる。渡辺先生の工房に、自然と人が集うのはこんな空気感に、いつも包まれちゅうきですろう。


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