竹屋一人旅

渡辺竹清作竹トランク


ちょうどお盆休みになりましたぜよ。田舎に帰って、ゆっくり過ごされる方も多いのではないですろうか?さて、そんな帰省のお客様や観光の方でにぎわう表通りをすぎて、細い木立並木を登って行った所に、そのお宿はありますぞね。杉皮の門をくぐり山野草の茂る庭を通っていくと茅葺きの大きな屋根が見えてきましたちや。土壁の温もりを感じながら中に入ると、ヒンヤリ...土間の空気がこじゃんと気持ちがエイがです。


いやいや、まっこと昔ながらの日本の家というのは高温多湿の風土に、まっことピッタリちや。エアコンなど使わなくても、自然な涼を楽しめる先人の工夫をこの建物はまだまだ覚えてくれちゅうよ...。そう思うて高い天井を眺めながら嬉しゅうになるがです。


煤竹トランク


ふらり、気まぐれにやってきた一泊の旅。日頃の「モノ」も「ヒト」も「コト」も全部、虎竹の里に置いてきましたぜよ。何ちゃあ持たずに来たけんど、お供は鳳尾竹の持ち手がしっくりと馴染む煤竹トランクひとつ。


ふと、鞄に目を落とした女将さんが息をとめますぞね。たまるかっ!声にならん歓声をあげてくれよります。着物をこんなに上品に着こなせる方のお眼鏡にかなうとは。こりゃあ、こんな嬉しい事はないがぜよ。


「いやいや、田舎の小さな竹屋ですき」


別にどうという事はないがです。今夜は囲炉裏にあぐらをかいて、作り手の渡辺竹清先生と、引き合わせてくれた祖父と、自分の三人でゆっくり竹を語りたいだけながやき。


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