ヘワと呼ばれる鍋敷き

鍋敷き


こりゃあ青々とした綺麗な座布団やにゃあ。中心に穴もあいて、こじゃんと座り心地もよさそうぜよ。と、そんな風に思われる方が多いかと思うがです。けんど、これは座布団ではありませんぞね。実は自分も座布団か何かと、ずっと思いよったがです。藁でしっかりと作られちゅうしこんな大きなサイズですきに、ちっくと想像もしにくかったがです。けんど、実はこれは「ヘワ」と呼ばれる蒸し器の下で使う敷物ぜよ。


蒸籠(セイロ)で作る蒸し料理が一般ご家庭でも人気になっちょります。まず初めての方でも簡単にできる手軽さ、油を使わず蒸すだけなのでヘルシーと言うこと、そして、何と言うたち美味しい事ですうろか。野菜など素材の持つ旨みを一番味わえるような気がするがです。自分の小さい頃の事を思い起こしたら、そんな家庭用の蒸篭の何倍も大きな木製の蒸し器を、大きな大きな鍋にのせて餅米を蒸したり何だりしよりました。鍋が熱くなりますきに蒸し器との間にはこのような鍋敷きが必要ながです。最近の鍋敷きと言うたらせいぜい家庭用のお鍋やヤカンを載せる程度。だから、こんな大きな鍋敷きは正直ピンと来ないかも知れませんちや。


今年に入ってからでも、昔から作り続けられてきた大好きな竹細工や竹製品が段々と出来なくなってきたり、出来る数が少なくなってきたりしちょります。まっこと、自分達の手作りの世界では皆様が想像される何倍もの早さで高齢化が進みゆうがです。日本のモノ作りの空洞化などと言う事が新聞等で取り上げられる場合、竹業界の事などは人数も少なく影響力もありませんきに、あまり考えられてもないかと思うがですが「空洞化」と言う言葉を聞く度に、その重みを痛感しよります。


そんな中にあって、こんな藁の香りがしてくるような鍋敷きが今年も作られ、そして購入されゆう方もおられる光景を見ていると少しはホッと心が温かくなる気持ちながです。


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